宝塚元スターの母「巨額脱税」 納税も「清く 正しく 美しく」が教訓
税金・お金
宝塚の元トップスターの母親に、脱税の疑いーー。衝撃的なニュースが2月19日にいっせいに報じられ、宝塚ファンに大きな動揺が走った。
●「税務に無知」だったのが原因と主張
読売新聞によると、宝塚歌劇団星組トップスターだった女優の北翔海莉さんの母が、私設ファンクラブの運営で得た所得を申告せずに脱税したとして、東京国税局から所得税法違反の疑いで千葉地検に告発されていたという。
母は私設ファンクラブを個人で運営し、会費収入や関連グッズを売ることで多額の利益を得ていたが、税務申告はまったくしていなかったと報じられている。2016年に約1億2100万円の個人所得を隠し、約4900万円を脱税した疑いがあるという。
一方、母側は「税務に関して無知だった」とし、すでに期限後の申告・納税を済ませたという。この問題が報じられ、娘の北翔さんは次のようにHPでメッセージを載せた。
「報道されている調査や捜査に関しましては、対象外とのことで、詳細を把握できておらず困惑しておりますが、私にできることがありましたら、誠心誠意対応して参る所存です。もしお許しいただけるのであれば、お受けしているお仕事についてはしっかりやり遂げたいと考えております。
ファンをはじめとする皆様、そして関係者の皆様には、大変なご迷惑とご心配をおかけすることになり、誠に申し訳ありません」
今回の脱税疑惑について、「無知」というには金額が大きすぎる気もするが、実際にこうしたケースは珍しくないのだろうか。宝塚ファンの安藤由紀税理士に聞いた。
●大事なのは「清く 正しく 美しく」
ーー今回の問題を聞いてどう思いましたか
「最初の感想は『めっちゃ稼いでる!』です。ファンクラブと言っても、せいぜいサークル活動に毛が生えた程度なのかと思っていたけれど、全然違いました。宝塚ファンの税理士としては、事実なら、規模の大きすぎる脱税がショックで夜も眠れません」
ーー「無知」というには金額が大きすぎるのではないかという気がします
「宝塚歌劇団のモットーは『清く 正しく 美しく』です。その宝塚の元トップスターの母が『無知』のためと言っているわけですから、そうなのかなと信じたい気持ちはあります。
ただ、1年間で1億円以上もお金が入ってきているのに、何もしないのは怖くなかったのかなとも思います。もしかしたら『ファンクラブ運営による利益は申告しなくてもいいらしい』というデマを信じていたのかもしれません。
税金や経理に関するデマは意外と多く、驚くようなものを真に受けている人が多いのも事実です。とはいえ、無知でデマを信じたとしても、脱税は許されることではありません」
ーー他にも似たようなケースがあるかもしれませんね
「規模が小さいものも含め、同じようなケースはあると思います。ファンクラブの運営をしている方は、改めて活動内容を振り返ってみてください。チケットをまとめて購入し、会員から同額を集金するだけなら申告不要です。
ただし、会費やグッズ販売、お茶会参加費などで収益をあげることは、完全にビジネス。どのような名義で運営しようと、申告と納税が必要となります。
税理士や税務署に相談し、指摘される前に手続きをしましょう。悪気なく脱税してしまうことがないように。大事なことは『清く 正しく 美しく』です」
【取材協力税理士】
安藤 由紀(あんどう・ゆき)税理士
大学卒業後、銀行勤務を経て2008年に税理士登録(簿記、財務諸表論、法人税法、所得税法、相続税法の5科目合格)。大学講師、セミナー、執筆など業務は幅広い。経理初心者向けのわかりやすい解説に定評あり。(ブログ : https://ameblo.jp/ando-tax/ Twitter :@andoyuki_
事務所名:安藤由紀税理士事務所
事務所URL:http://www.ando.jdlibex.jp/index.html
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