新ふるさと納税で「泉佐野ロス」も 総務省に「排除」される自治体の運命は?
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6月に始まる「ふるさと納税」の新制度で、総務省は「趣旨に反する」と問題視してきた4市町の参加を認めない方向だと5月9日に報じられた。4市町は静岡県小山町、大阪府泉佐野市、和歌山県高野町、佐賀県みやき町。排除される自治体はどこへ向かうのか。4市町に聞いた。
●佐賀県みやき町長「報道のとおりなら残念」
「公式に連絡を受けていないので、除外されないことも想定はしている。ただ報道のとおりなら残念だ」。9日夜、電話インタビューに応じた末安伸之みやき町長はこう語った。
4市町には9日、記者や事業者からの問い合わせが相次いだ。正式発表ではないが、ショッキングな報道を受け、幹部が朝から緊急で集まったり、会見を開いたりした自治体もあったという。4市町の首長や担当幹部らの話は以下のとおりだ。
●排除後の「再チャレンジ」模索も
・静岡県小山町(シティプロモーション推進課長)
「急きょ、9日午後に町長が記者会見を開いた。今後正式な通知がきたら、除外なら除外で、その理由の説明を総務省に求めていきたい。
もし除外なら、また次回に対象になれるタイミングがあれば申請をしていくということになる。ふるさと納税の寄付金をもとに、学校給食の無償化を進めてきたが、ふるさと納税の対象外となれば継続が難しくなる。ただ、基金を取り崩してでも継続していきたい。
町長(4月の町長選で初当選)は『除外されても仕方なく、これまでの手法が制度の趣旨から逸脱していて他自治体に迷惑をかけた』と話している。住民サービスへの影響がないようにしたい」
・大阪府泉佐野市(政策推進課の担当者)
「現時点では正式な発表ものではないので、コメントは控えさせていただく」
・和歌山県高野町(企画公室の担当者)
「突然のことで詰められていない。なぜ正式な情報がくる前に報道があるのだろうと困惑している。総務省から正式な通知がきてから、対応を考えることになる」
・佐賀県みやき町(末安伸之町長)
「公式に連絡を受けていないので、除外されないことも想定はしている。ただ報道のとおりなら残念だ。
1月にすべてのサイトでの受付をいったんストップし、総務省が求める基準に合うものの掲載を2月下旬以降、徐々に再開した。4月に総務省市町村税課によるヒアリングを受け、いまの状態なら大丈夫だという感触を得ていたところだった。
除外が正式に決まったら、事業者にもしっかり説明しないといけない。いつまで除外期間が続くのかわかれば、その期間は知恵を出すための期間だと前向きにとらえるつもりだ」
●6月1日以降の寄付は注意が必要
日経新聞(5月9日付)などによると、4市町とすでに参加を辞退する意思を表明している東京都を除く1783自治体の参加は、認められる方向だ。総務大臣の諮問機関である「地方財政審議会」の意見を聴き、5月中旬にも最終的な判断がくだるという。
5月14日の閣議後定例会見で総務大臣が発表し、その翌日(15日)にも正式な告示などが出るとの見方もある。新制度になる6月1日以降、参加が認められない自治体に寄付をしても、税の優遇は受けられないことになる。寄付を考えている人は注意が必要だ。
ネットでは「やりすぎたので仕方ない」と参加を認めないことに賛同する声がある一方、「もう泉佐野に寄付ができなくなるのか」など、「泉佐野ロス」とも呼べるような反応もあった。
特に、泉佐野市の手法は、その大胆さから注目を浴びた。総務省が問題視するなか、2019年2月から、返礼品に加えて100億円分のAmazonギフト券を還元するキャンペーンを実施。いまも5月末までの期間限定で、大々的なキャンペーンをして寄付を呼びかけている。















