カネ集め「慶早戦」 三田会が圧倒、早稲田OBの愛校心どこへ
資金調達

日本を代表する私立大学といえば、慶應義塾大学と早稲田大学でしょう。ともに創立から100年以上となる伝統校で、これまで多くの人材を輩出してきました。なかでも、慶應卒業生でつくる「三田会」は結束力が強いことで有名です。
そのひとつの表れが、寄付金収入の差。2017年度決算ベースでみると慶應は63億円なのに対し、学生数で上回る早稲田は33億円となっています。
慶應では卒業生に寄付金を募ることが盛んで、かつ、それに応じるだけの資力がある人が多いということなのかもしれません。中等部から塾生である冨田建税理士に、決算報告をもとに、なるべく中立に分析してもらいました。
●寄付金収入、慶應が圧倒
ーーなぜ寄付金収入にこんなにも差が出るのでしょうか
「慶應には『社中協力』という言葉があります。慶應に関わった人たち全員で慶應を盛り立てていこうというマインドです。それが、根付いていることが大きいのだろうと思います。
私は中等部から慶應ですが、自分の感覚としては、中学や高校で慶應に通っていた人同士の結束は特に強いと感じています」
ーー早稲田より慶應の方が寄付金を募る機会が多いのかもしれません。OBとして慶應への寄付を求める書類やメールはよく届くと感じますか
「私はさほど気になりませんが、『また来たか』と感じる人もいるでしょうね。直近の5年間の寄付金収入をみると、2017年度は早稲田の倍近く、2013年〜2016年度は倍以上も慶應が集めています。
『母校への愛』は必ずしも寄付の有無や額により判断されるものではないですが、とはいえ多くの寄付を続ける一部OBには敬意を表したいと思います」
●総資産は慶應、土地は早稲田
ーー両方の決算報告をみてどのような点が気になりましたか
「学生数では早稲田の方が多いのに、貸借対照表を見たところ総資産も固定資産も慶應の方が上だということは驚きでした。
ただ、早稲田も十分にすごい規模だなと思います。例えば土地の資産は、2017年度決算ベースでは早稲田が603億円であるのに対し、慶應は約6割の375億円となっています。
少子化に伴い経営に苦しむ大学もあるなか、両校とも資産規模は大きく、やはり私学の雄なのだと感じました」(2018年5月時点の学生数、早稲田大学=4万9436人・慶應義塾大学=3万3629人)
ーーほかに「図書」という資産項目も大学らしいですね
「はい。貸借対照表の有形固定資産に『図書』という項目があるのは目を引きますね。直近のものだと早稲田は339億円、慶應は433億円だそうです。これだけの金額に相当する本が活用され、あるいは眠っているということは知りませんでした」
【取材協力税理士】
冨田 建(とみた・けん)税理士・不動産鑑定士・公認会計士
42都道府県で不動産鑑定業務経験あり。著書執筆や雑誌・会報等に寄稿の他、何度も新聞広告に顔写真掲載の上で不動産会社様で講演。自作曲「ふどうさんのうた」で公認会計士協会東京会音楽祭優勝。「ぜいりしのうた」の動画(https://www.youtube.com/watch?v=lmy7j4qxfjs)をネットにアップした。
事務所名 :冨田建 不動産鑑定士・公認会計士・税理士事務所
事務所URL:http://tomitacparea.co.jp/