日本で暮らしながら「フルリモート」で海外企業勤め 税金はどうなるの?
確定申告

世界中で猛威を振るう新型コロナウイルスは、人々の暮らしを大きく変えました。その1つがリモート勤務ですが、中には日本で暮らす日本人が、海外企業にリモートで働くケースもあるようです。
日本で暮らしながら、海外企業にリモート勤務しているという方からの相談が税理士ドットコムに寄せられています。
相談者は外国の会社で働いていますが、日本に家族と共に居住しています。日本での収入がないため、確定申告や住民税等はどのように対処すればいいのか悩んでいるようです。
市の税金関係の部署に問い合わせたところ「外国で収入があり外国に税金を払っているのなら確定申告も何もしなくて良い」と言われ、更に困惑しています。
このような場合、相談者は日本に税金を納めるべきなのでしょうか。また本当に確定申告は不要なのでしょうか。新井佑介税理士に聞きました。
●日本において確定申告が必要になる
コロナ禍により国境を跨ぐヒトの移動が制限されているため、海外勤務の在り方も変わってきています。
今回の相談者のように、実際に現地赴任せず、リモートワークで日本国内にて業務に従事するようなケースも多くなってきているようです。
こうした状況を受け、国税庁もコロナ禍におけるそのような状況に対応したFAQを取りまとめて公表しています。このFAQを参考にすると、海外が関係する場合、給与の課税関係を整理するポイントは2点になります。
1点目は、日本の居住者に該当するか否かの判定です。
相談者は日本で家族と共に居住しており、日本国内に住所があるとのことですから、日本の居住者に該当すると考えられます。
日本の居住者に該当する場合、課税所得の範囲は全世界所得という国内及び国外において生じた全ての所得が対象となります。
2点目の判定は、給与が誰から支払われたのか、という点です。
具体的には日本国内の親会社から支払われた国内払か、それとも海外会社から支払われた国外払いかという点になります。
相談者の場合、国内払いであるか国外払いであるかは明確にはわかりかねますが、外国で税金を支払っているという状況から国外払いと推察します。
国外払いの場合、日本国内で支払われる給与でないため、日本の所得税等は源泉徴収されません(所得税法第183条)。
この2点から、日本の居住者である相談者は、全世界所得が課税対象となるため、国外払いの給与について確定申告をする必要があります(所得税法第120条)。
なお、海外会社から支給される際、現法に基づく外国所得税が源泉徴収されている場合には、確定申告において外国税額控除によって税額控除が可能になります(所得税法第95条)。
以上から、相談者は日本において確定申告が必要になります。確定申告をした結果、所得税等を納税する必要もあります。また1月1日に国内に住所があれば個人住民税も課税されるかと思います。
最後になりますが、コロナ禍以前では、国境を跨ぐ取引は、トレーディングなど金融取引がメインでした。しかしながらリモートワークの発展によって、労働による役務提供も比較的容易に国境を跨ぐ時代になりました。
ドバイではビーチに住みながらリモートワークで働くことができるワーキングプログラムを国家として用意しているようです。今後も働き方の変化により、税金の支払い方法に悩む方も増えていきそうですね。
【取材協力税理士】
新井 佑介(あらい・ゆうすけ) 公認会計士 税理士
AAG代表。内国法人唯一の高速取引行為者、ダルマ・キャピタル株式会社CFO。慶応義塾大学経済学部卒業後、KPMGを経て現職。
事務所名 :AAG新井綜合会計事務所
事務所URL:https://www.aag-group.co.jp/