ノーベル賞の賞金は約9300万円!課税対象になるの?

ノーベル賞は物理学や文学などの専門分野の発展等に貢献した人が受賞する名誉ある賞です。このノーベル賞を受賞すると賞金として800万スウェーデン・クローナ(約9,300万円)を受け取ることができます。このページでは、このノーベル賞の賞金に対して所得税が課税されるのかについてご説明いたします。
目次
ノーベル賞とは?
ノーベル賞はアルフレッド・ノーベルの遺言によって始まった賞です。ノーベル賞は厳密にいうと以下の2つに分類することが可能です。
ノーベル賞に該当する5つの分野
ノーベルの遺言によれば、ノーベル賞は5つの分野の功績をたたえる賞となっています。その5つの分野とは物理学、化学、生理学・医学、文学、平和です。これらはノーベル賞が始まった1901年から設立されている賞です。
賞金の拠出元はノーベル財団であり、スウェーデン王立科学アカデミーやカロリンスカ研究所、ノルウェー・ノーベル委員会、スウェーデン・アカデミーが選考を行っています。
ノーベル賞に該当しない経済学賞
ノーベルの遺言には先に説明した5分野しか記載されていません。そこで、1968年にスウェーデン国立銀行の設立300周年を記念して「ノーベル経済学賞」が設立されました。
ただし、ノーベル財団は経済学賞をノーベル賞としては認めていません。そのため、経済学賞は正式名称を「アルフレッド・ノーベル記念スウェーデン国立銀行経済学賞」といいます。
これにより経済学賞の賞金はスウェーデン国立銀行が拠出元になっています。
ノーベル賞は課税されるのか?
ノーベル賞が設立された当時からある5部門で受賞した場合には、その賞金に対して所得税が課税されるのでしょうか。
ノーベル賞の賞金は非課税所得
ノーベル賞の賞金は非課税所得として扱われる決まりになっています。したがって、ノーベル賞の賞金「800万スウェーデン・クローナ」はそのまま受け取ることが可能です。
この決まりは日本人初のノーベル賞受賞者・湯川秀樹氏が受賞した1949年に「ノーベル賞の賞金に対して課税するのか」と議論が起きたからです。その結果、ノーベル賞の賞金に対しては非課税所得として扱われるようになりました。
非課税の根拠となる所得税法第9条
ノーベル賞の賞金が非課税になる旨は所得税法第9条に記されています。この第9条は「非課税所得」について記してある条文です。その中で1項13条ホに「ノーベル基金からノーベル賞として交付される金品」と記されています。
これが根拠法であり、ノーベル賞の受賞によって得られた賞金は非課税所得として扱われるのです。
経済学賞は課税されるのか?
ノーベル賞とは別の扱いがされる経済学賞を受賞した場合には、賞金に所得税が課税されるのでしょうか。
経済学賞の賞金は課税所得
現時点では、経済学賞の賞金は課税所得として扱われることになっています。したがって、「800万スウェーデン・クローナ」の所得税を納めたうえで、残りを受け取ることが可能です。
なお、賞金は一時所得として扱われます。特別控除も適用することができますが、800万スウェーデン・クローナの場合は最高税率(45%)が課税されることになるでしょう。
課税の根拠となる理由について
経済学賞が課税される理由は、非課税所得の条文に該当する旨の文が記されていないからです。先に説明したとおり、経済学賞の賞金の拠出元はスウェーデン国立銀行です。ノーベル基金ではありません。
そして、所得税法第9条には「スウェーデン国立銀行からノーベル賞として交付される金品」とは記載されていません。したがって、経済学賞の賞金には所得税が課税されます。
なぜ経済学賞だけ課税されるのか?
なぜ経済学賞だけ所得税が課税されるのでしょうか。この理由について検討していきます。
ノーベル賞が非課税になる時点では経済学賞はない
ノーベル賞が非課税所得にとして扱われるようになったのは、1949年の湯川氏がノーベル賞を受賞した時です。この時点では経済学賞がまだ設立されていませんでした。そのため、ノーベル賞と一緒に非課税所得にできなかったのです。
ノーベル経済学賞受賞者がいないから
そしてもう1つ考えられる理由が、現時点で日本人のノーベル経済学賞の受賞者が現れていないからです。
ノーベル賞が非課税所得になったのは、湯川氏がノーベル賞を受賞したことがキッカケです。けれども、現状としては日本人のノーベル経済学賞の受賞者が誕生していません。そのため、経済学賞の賞金に所得税が課税されるままになっていると考えられます。
おわりに
ノーベル賞の賞金は非課税所得として扱われることになっています。けれども、経済学賞は現時点では課税所得として扱われます。もし今後、経済学賞を受賞する人が現れたり、ノーベル経済学賞がノーベル基金から拠出されるようになれば非課税所得として扱われるかもしれません。
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