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消費税の納税方法は?計算式から申告、納付までをわかりやすく解説

消費税は、税金を負担する人と税金を納める人が違うしくみの税金で、「間接税」に分類されます。
事業を営む方は「1年間に消費者から預かった消費税」から「仕入等で支払った消費税」を差し引いた金額を、翌年3月31日までに申告および納税します。

そのため、「いくら消費税を預かり、いくら納税しなければならないか」を正確に把握しなければなりません。

このページでは消費税の納税方法について、納税義務がある事業者の条件から納税金額の計算式、申告手続きや納付方法までわかりやすく解説します。

目次

消費税の納税義務がある人は?課税事業者の条件

消費税の納税義務がある事業者を「課税事業者」といいます。

事業者が国内で事業として行い、対価を得て行う取引に対しては、消費税の納税義務が発生します(非課税取引を除く)。なお、納税義務を負うのは「事業者」に限定されているため、事業者ではない個人間の取引には納税義務はありません。

輸入取引の場合は、その輸入品を保税地域から引き取る者が納税者となっています。そのため、保税地域から輸入品を引き取った場合には、事業者でなくても納税義務が発生することになります。

納税義務が免除される「免税事業者」の条件

国内で取引を行う事業者には納税義務が発生しますが、すべての事業者に納税義務が発生するわけではありません。納税義務が免除される「免税事業者」と判定されるには、以下の条件を満たす必要があります。

  • 基準期間の課税売上高が1000万円以下
  • 特定期間の課税売上高と給与支払額がどちらも1000万円以下

ただし、基準期間がない法人の期首の資本金額が1000万円を超える場合は、免税事業者にはなれません。そのほか詳細条件など、実際の判定は税理士にご確認ください。

課税売上高とは

事業を行ううえでの取引には、消費税がかかる「課税取引」と、消費税がかからない「不課税取引」「非課税取引」「免税取引」の4つの種類があります。この中の「課税取引」と「免税取引」における売上高の消費税抜きの金額が課税売上高となります

課税売上高には以下のようなものも含まれます。

  • みなし譲渡の売上高額
  • 手数料収入や事業用固定資産の売却代金
  • 消費税、地方消費税を除いた他の個別消費税

※免税事業者の場合は、消費税込みの金額が課税売上高となります

取引の区分

インボイス制度の導入で免税事業者はどう変わった?

2023年10月からのインボイス制度導入を機に、インボイス発行事業者の登録を受け、課税事業者となった場合は、課税売上高が1000万円以下でも消費税の納税義務が発生します

ただし、一定の要件を満たせば、消費税を簡単に計算できる「2割特例(軽減措置)」が利用できるため、消費税計算に伴う事務負担の軽減を図ることができます。

消費税納税額の計算方法は3パターン

消費税納税額の計算方法は、どの消費税の課税方法を適用するかで異なります。

【1】原則となる計算方法(一般課税、本則課税)

簡易課税の適用事業者ではない場合、原則となる計算方法を用いて消費税を算出します。この計算方法は一般課税・本則課税などとも呼ばれ、具体的には以下のとおりです。

納税額 = 売上税額(課税売上 ✕ 消費税)ー 仕入控除税額(課税仕入 ✕ 消費税)

このように、消費税の原則的な計算方法では、「課税期間中の課税売上高にかかる消費税額(売上税額)」から「課税期間中の課税仕入にかかる消費税額(仕入控除税額)」を差し引いて納税額を求めます

【2】簡易課税

簡易課税とは、仕入控除税額をみなし仕入率によって簡素化して計算する方法です。簡易課税における納税額の計算式は以下のとおりです。

納税額=売上税額(課税売上 ✕ 消費税)ー仕入控除税額(売上税額 ✕ みなし仕入率)

みなし仕入率は事業区分に応じて40%~90%の範囲で決められています。ただし、簡易課税制度を適用できるのは、基準期間の課税売上高が5000万円以下の事業者となります。

【3】2割特例(インボイスにおける軽減措置)

2割特例とは、インボイス制度導入をきっかけに、免税事業者から適格請求書発行事業者になった場合に利用できる制度です

納税する消費税を、売上金額にかかる消費税額の2割で計算することができます。

インボイス制度導入に伴う消費税計算の負担を軽減することが目的の時限措置のため、適用期間は2023年10月1日から2026年9月30日までとなります。

2割特例における納税額の計算式は以下のとおりです。

納税額=売上税額(課税売上 ✕ 消費税)ー仕入控除税額(売上税額 ✕ 80%)

ただし、基準期間または特定期間の課税売上高が1000万円を超える場合や、消費税課税事業者選択届出書を提出した場合は、2割特例を適用することはできません

仕入控除税額が多い場合は「還付」になることも

売上税額よりも仕入控除税額が多い場合は、還付を受けることができます。

還付が受けられるケースとしては、仕入れや経費が多く赤字の場合や不動産の購入や設備投資などの高額な支出をしたときが挙げられます。

ただし、免税事業者である場合や簡易課税、2割特例を選択している場合は、消費税の還付を受けることができません。消費税の還付が受けられることがあらかじめわかっている場合は、あえて課税事業者を選択したり、簡易課税を選択しないなどの対策が必要となります。

消費税の申告書作成〜納税までの流れ

消費税申告は、おおまかに以下のような流れで行います。

1.申告書を用意する

まずは、消費税の確定申告書を用意しましょう。申告書を入手するには「最寄りの税務署窓口に行く」「国税庁ホームページからダウンロードしてプリントアウトする」というのが従来の方法でしたが、e-taxを利用すれば申告書の作成から申告・納税までをインターネット上で完結できます

なお添付書類は、消費税の課税方法により必要なものが異なります。

原則となる計算方法(一般課税、本則課税)を選択している場合

・付表1−3 税率別消費税額計算表兼地方消費税の課税標準となる消費税額計算表
・付表2−3 課税売上割合・控除対象仕入税額等の計算表
・消費税の還付申告に関する明細書(還付申告の場合)

簡易課税を選択している場合

・付表4-3 税率別消費税額計算表兼地方消費税の課税標準となる消費税額計算表
・付表5−3 控除対象仕入税額等の計算表

2割特例を選択している場合

・付表6 税率別消費税額計算表

2.申告書を作成し、提出する

申告書の作成に先駆けて、課税期間中の売上高を「課税売上高」「免税売上高」「非課税売上高」に区分して集計しましょう。あわせて、課税売上割合も算出しておきます。

作成は「付表→申告書第二表→申告書第一表」の順に行うとスムーズです。申告書が完成したら、納税地を所轄する税務署に提出しましょう。

申告書の詳しい書き方は、下記国税庁ホームページにて確認できます。

3. 納付方法を選び、納税する

納税方法は、以下のようなさまざまな方法を選択することができます。

納付方法 詳細 必要なもの
ダイレクト納付 e-Taxによる操作で、預貯金口座からの振替によって納付する ・e-Taxの利用開始届出
・ダイレクト納付利用届出書の提出
インターネットバンキング等 インターネットバンキング等から納付する ・e-Taxの利用開始届出
・インターネットバンキング等の契約
クレジットカード納付 「国税クレジットカードお支払サイト」を運営する民間企業に納付を委託する ・クレジットカード
・納付税額に応じた決済手数料
スマホアプリ納付 「スマートフォン決済専用サイト」から、スマホアプリ決済を利用して納付する ・スマホアプリ決済の契約
コンビニ納付(QRコード) コンビニの窓口で納付する ・コンビニ納付用QRコード
コンビニ納付(バーコード) ・バーコード付の納付書
振替納税 預貯金口座からの振替によって納付する ・振替依頼書
窓口納付 金融機関や所轄の税務署の窓口で納付する ・納付書
(金融機関の窓口で納付する場合)

これらの方法は消費税に限らず、法人税などの国税の納付手続きを行う際にも選択できます。

消費税の申告・納付はいつまで?

消費税申告および納税は、原則として課税期間が終了した日の翌日から2か月以内に、納税地を所轄する税務署に対して行います。個人事業主の場合は、課税期間の翌年の3月31日までとなっています。

なお、課税期間中に課税事業者が亡くなった場合は、相続開始を知った日の翌日から4か月以内が期限となります。

課税期間の特例

「消費税課税期間特例選択・変更届出書」を所轄税務署に提出することで、以下のように申告・課税期間を短縮することができます。

課税期間 区分 申告・納税期限
3か月ごとの場合 個人事業主 1月から3月分:5月31日まで
4月から6月分:8月31日まで
7月から9月分:11月30日まで
10月から12月分:翌年の3月31日まで
法人 その事業年度の開始の日以降、3か月ごとに区分した各期間の末日の翌日から2月以内
1か月ごとの場合 個人事業主 1月から11月分:1か月ごとに区分した各期間の末日の翌日から2月以内
12月分:翌年の3月31日まで
法人 その事業年度の開始の日以降、1か月ごとに区分した各期間の末日の翌日から2か月以内

期限内に申告・納税できないとき

消費税申告や納税が期限に間に合わないときは、本来納めるべき税額とあわせて延滞税や加算税が課される場合があります。

まず、期限内に申告ができなかった場合には最大30%の「無申告加算税」が、納税が間に合わなかった場合には、最大8.9%の「延滞税」が課されます。

間に合わないときは「申告期限の特例」を利用

法人税、法人住民税、法人事業税は、法人税法により申告期限の延長の特例が設けられているため、要件を満たし申請を行うことで、最大1か月まで申告期限することができます。

令和2年度の税制改正により、この特例を受ける法人は「消費税申告期限延長届出書」を提出することで消費税の申告期限も1か月延長できるようになりました

なお申告期限の延長が認められた場合も、延滞税は課されない一方で、延長された期間にかかる「利子税」を併せて納付します。

納税額によっては「中間申告」が必要

消費税の納付額が一定額を超えると「中間申告」をする必要があります。中間申告とは、消費税の申告および納税を分割して行う方法のことで、事業者ごとに納付回数は異なります。

中間申告が必要となるのは、個人の場合は前年、法人の場合は前事業年度の消費税額が48万円を超えた事業者です。ただしこの48万円には地方税は含まれず、国税のみの額が基準となります。

中間申告の回数は、消費税額によって1回、3回、11回に分かれています。申告期限は申告回数によって異なるため、注意が必要です。

正しい納税のために知っておくべき消費税の仕訳方法

消費税の納税額を正しく計算するため、消費税がかかる取引と消費税がかからない取引に区分して記帳したり、税込方式税抜方式で記帳を統一する必要もあります。

税込方式か税抜方式かは、どちらの方式を選択しても良いことになっており、いずれの方式でも消費税の納付額に違いはありません。

税抜方式は取引金額から消費税を抜いて「仮受消費税」や「仮払消費税」として処理するなど手間がかかるのがデメリットですが、期中の消費税が別の科目に集約されるため損益が把握しやすいメリットがあります。

一方で税込方式は記帳は簡単ですが、期末まで実際の損益がわからないことや、経理処理が完了するまで消費税分だけ利益が多くなるなどのデメリットもあります。

なお免税事業者の場合は、税込方式で処理しなければなりません。

税込方式の仕訳例

税込方式の場合は決算で消費税額が確定したタイミングで、「租税公課(費用)」と「未払消費税(負債)」という勘定科目を使って仕訳します。

例:消費税の納税額30万円が確定
借方 貸方
租税公課 30万円 未払消費税 30万円
例:上記の納付をしたとき
借方 貸方
未払消費税 30万円 預金口座 30万円

還付の場合は「雑益(収益)」と「未収消費税(資産)」という勘定科目を使って仕訳します。

税抜方式の仕訳例

税抜方式の場合は、取引の都度「仮払消費税(資産)」と「仮受消費税(負債)」という勘定科目を使って仕訳をします。

例:11万円の商品を仕入れたとき
借方 貸方
仕入高 10万円 現金 11万円
仮払消費税 1万円    
例:16万5000円の商品を販売したとき
借方 貸方
預金口座 16万5000円 売上高 15万円
    仮受消費税 1万5000円

決算時には、仮払消費税と仮受消費税を相殺して、その差額を未払消費税(負債)に振り替えます。還付の場合は、未収消費税(資産)を借方に計上することになります。

例:上記の決算整理仕訳
借方 貸方
仮受消費税 1万5000円 仮払消費税 1万円
    未払消費税 5000円
例:上記の納付をしたとき
借方 貸方
未払消費税 5000円 預金口座 5000円

消費税申告・還付申告を税理士に依頼した際の報酬相場

このように、消費税の計算や申告には手間がかかります。そのため「税理士にすべてお任せしたい」と思った方もいるのではないでしょうか?

消費税申告や還付申告を依頼した際の報酬は、税理士にによって異なりますが、報酬額は決算申告の費用に含まれているケースがほとんどです。

消費税申告のみを依頼する場合の相場は約3万円~5万円となっており、事業の売上が大きいほど報酬も高くなる傾向があります。成功報酬の場合は、還付金額の約20%~30%が報酬相場となっています。

消費税は複雑な計算が多いため、消費税申告や消費税還付申告は税理士に依頼をすることが一般的です。税理士によっては、事業の規模や希望条件に合わせて報酬額を決定することもあるため、まずは一度相談をしてみることをおすすめします。

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