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消費税還付とは?仕組みや条件、還付金の仕訳についてわかりやすく解説

取材協力: 橋本 昌和 税理士

消費税は、商品やサービスを消費する際に課される税金です。消費者が負担し、消費者の代わりに事業者が納税する間接税という仕組みになっていて、事業者は売上で預かった消費税から、仕入等で支払った消費税を差し引いた金額を納めます。

このとき、仕入等で支払った消費税が売上で預かった消費税を上回る場合に、その差額分については還付を受けることができます。

この記事では、消費税が還付される具体的なケースと手続きをわかりやすく解説します。

目次

消費税還付の仕組み

消費税は生産や流通などの各取引の中で課税されて、最終的には購入した消費者が負担することになっています。

事業者は、消費者から預かった消費税を消費者の代わりに納付します。このように負担者と納税者が異なる税金を「間接税」といいます。

消費税還付の仕組み

生産や流通などの過程で事業者が消費税を負担することがないような仕組みとなっていて、事業者は売上で預かった消費税額から、仕入れ等で支払った消費税額を差し引いた額を納付します。

このとき、預かった消費税よりも支払った消費税が多いときに、その差額分を返してもらえるのが「消費税還付」です。

消費税還付

還付金の計算方法

事業者の納付すべき消費税額は以下の算式により計算します。計算結果がマイナスとなったときは、その金額の還付を受けることができます。

課税標準額に対する消費税額 − 仕入控除税額 = 納付税額(または還付税額)

「課税標準額に対する消費税額」とは<課税標準額>に税率を乗じることにより計算した金額のことです。

ここでいう<課税標準額>とは、税額を算出する直接の対象となる金額を指し、主に、国内において事業者が事業として対価を得て行った資産の譲渡・貸付け・役務の提供のうち、土地の売却などの非課税取引とされるものを除いた、いわゆる課税取引による対価の額となります(課税取引には輸出免税取引も含まれます)。

また、「仕入控除税額」とは、仕入税額控除の対象となる課税仕入れ等に係る税額(のことで、その課税期間の課税売上割合および課税売上高によって、以下の【1】【2】いずれかの方法により計算されます(課税仕入れ等に係る税額・・・課税仕入れに係る消費税額、特定課税仕入れに係る消費税額、保税地域からの課税貨物の引取りに係る消費税額)。

【1】課税売上割合が95%以上かつ課税売上高5億円以下
→全額控除

課税仕入れ等に係る税額の全額を仕入控除税額として控除できます。

【2】課税売上割合が95%未満または課税売上高5億円超
→個別対応方式(1)、または一括比例配分方式(2)

(1)個別対応方式とは、課税仕入れ等を「A.課税売上対応仕入」「B.非課税売上対応仕入」、「C.共通対応仕入」の3つに区分して、以下の算式により仕入控除税額を計算する方法です。

仕入控除税額 = Aに係る消費税額 + Cに係る消費税額 × 課税売上割合

(2)一括比例配分方式は、課税仕入れ等に係る税額の合計額に<課税売上割合>を乗じて、仕入控除税額を計算する方法です。

仕入控除税額 = 課税仕入れ等に係る税額の合計額 × 課税売上割合

なお、<課税売上割合>とは、売上に占める課税売上高の割合です。ここでいう課税売上高とは、課税資産の譲渡等の対価の額の合計額から売上げに係る対価の返還等の金額の合計額を控除した残高をいいます。

課税売上割合 = 課税売上高(税抜き)÷ {課税売上高(税抜き)+非課税売上高}

消費税還付が受けられる具体例

消費税還付が受けられるのは、仕入れや経費が多く赤字のときや設備投資や高額な支出をしたとき、輸出業を営んでいる事業者などが挙げられます。

仕入れや経費が多く、赤字である

創業当初や売上不振などで赤字決算だった場合は、仕入や経費にかかった消費税が売上で預かった消費税を上回ることがあり、この場合は還付を受けることができます。

ただし、必ずしも「赤字決算=還付が受けられる」というわけではありません

なぜなら、経費の中には給料(不課税)や保険料(非課税)など消費税の課税対象とならないものもあり、仕入等で支払った消費税額が売上で預かった消費税額を下回るケースがあるからです。

設備投資や高額な支出をした

たとえば、太陽光発電などの大規模で高額な設備投資を行った場合や、不動産(土地などを除く)に多額の投資をした場合には、資産購入に際し支払った消費税額が売上げで預かった消費税額を上回ることがあり、この場合には消費税還付を受けることができます。

数千万円単位の高額投資であれば、数十万円〜数百万円もの消費税還付を受けるケースもあります。

貿易業(輸出業)を営んでいる

消費税は原則として国内で消費されるものに対して課税されるので、輸出など、あらかじめ国外で消費されることが予定されているものについては免税(消費税率0%)とされています。一方で、国内での仕入れや経費には消費税が課されているので、その支払った消費税額について消費税還付を受けることができます。

つまり、貿易業(輸出業)を行っていて輸出売上比率が高い事業者は消費税還付を受けることができる可能性が高くなります

輸出業の消費税還付

図の例では、輸出での売り上げ1000万円に対する消費税は免税のためゼロとなりますが、その仕入には50万円の消費税を負担しているので、その分が消費税申告により還付となるということです。

消費税還付ができないケース

先述したケースに当てはまる場合でも、「免税事業者」や「簡易課税制度」を選択している場合は、消費税還付を受けることができないので注意が必要です。

課税事業者ではない(免税事業者)

消費税の納税義務が免除されている「免税事業者」については、消費税申告に関する消費税法の規定から除外されていますので、消費税申告で還付を受けることができる事業者は「課税事業者」のみとなります。

したがって、消費税の還付を受けることができると見込まれる場合にはあらかじめ課税事業者を選択しておく必要があります。

なお、免税事業者が自ら課税事業者になる場合は、適用を受けようとする課税期間の初日の前日までに「消費税課税事業者選択届出書」を提出しなければなりません。事業開始初年度の場合は、その課税期間中が提出期限です。

免税事業者が自ら課税事業者を選択した場合には原則として2年間(※)課税事業者が強制適用されるため、その課税期間だけではなく翌課税期間以降の影響も含めて判断する必要があります(※ 税抜き100万円以上の高額な資産を取得した場合にはその取得時期により3年もしくは4年間)。

簡易課税制度を選択している

簡易課税制度を選択している事業者は、消費税還付はありません

なぜなら、簡易課税制度は一般的に、実際に支払った消費税額よりもみなし仕入率で計算した消費税額が多くなるときに選択しますが、このみなし仕入率で計算された消費税額は以下のように、売上として預かった消費税額に一定の率を乗じて計算されるため、どのような場合であってもその税額が預かった消費税額より多くなることがない(みなし仕入率が100%を超えることはない)からです。

課税売上等にかかる消費税額 ー( 課税売上等にかかる消費税額 × みなし仕入率 )

みなし仕入れ率

卸売業90%|小売業80%|農業、林業、漁業、鉱業、建設業、製造業等70%|飲食業等60%|サービス業等50%|不動産業40%

なお、事業者が簡易課税制度をやめようとする場合には、そのやめようとする課税期間の初日の前日までに「簡易課税制度選択不適用届出書」を提出しなければなりません。ただし、課税事業者が自ら簡易課税制度を選択した場合には、原則として2年間は簡易課税制度が強制適用されるため注意が必要です。

消費税還付の手続きの方法

個人事業主であれば、課税期間の翌年の3月末日までに、以下の書類を所轄税務署長へ提出して、消費税申告を行います。

  • 課税期間分の消費税および地方消費税の確定申告書
  • 付表2 課税売上割合・控除対象仕入税額等の計算書
  • 消費税の還付申告に関する明細書(個人事業者用)

法人であれば、課税期間の末日の翌日から2か月以内に以下の書類を所轄税務署長へ提出して、消費税申告を行います。

  • 課税期間分の消費税および地方消費税の確定申告書
  • 付表2 課税売上割合・控除対象仕入税額等の計算書
  • 消費税の還付申告に関する明細書(法人用)

また、輸出業の場合は、輸出業の還付税額と国内向け事業の納付税額を「課税期間分の消費税および地方消費税の確定申告書」の中で同時申告する必要があります。

これにより、還付税額と納付税額が相殺されて、その差額が納付もしくは還付となります。

還付金受け取りの時期

消費税の申告書を提出した後に、記載内容や必要書類の審査が行われ、問題がなければ還付が行われます。

個人事業主が申告書をe-Tax(電子申告)で提出した場合であれば、おおむね2〜3週間程度で処理されるでしょう。ただし、大量の申告書が提出される2月3月の時期には1か月から1か月半程度かかると見込んでおきましょう。

還付金の受け取り方法は、申告書に記載した預貯金口座への振込による方法以外に、ゆうちょ銀行や郵便局の窓口に直接出向いて受け取る方法があります。

課税期間短縮の特例

税務署長に「消費税課税期間特例選択・変更届出書(第13号様式)」を提出すると、課税期間を1か月または3か月ごとに短縮することができます。

これにより、年間に12回もしくは4回の消費税申告を行えます

輸出業者などで毎月の支払うべき消費税額の負担が大きく、かつ、短期的な消費税還付により資金繰りに余裕を持たせたい場合などは、この届出を行うとよいでしょう。

なお、事業者が自ら課税期間を短縮しようとする場合は、「課税期間特例選択・変更届出書」を、その短縮しようとする1月ごと又は3月ごとの期間の初日の前日までに提出しなければなりません(事業開始初年度の場合は、その期間中が提出期限です)。

還付された消費税の仕訳

還付金を受け取った時の会計処理の方法は、経理処理を「税抜方式」か「税込方式」のどちらで処理しているかによって異なります。

税抜方式

税抜方式では、売上げとして預かった消費税額は「仮受消費税」、仕入等で支払った消費税は「仮払消費税」、還付金は「未収消費税等(資産)」として仕訳します。

このとき差額がある場合は、「雑損失(不課税)」もしくは「雑収入(不課税)」として処理をします。

借方貸方
仮受消費税XXXX円仮払消費税XXXX円
未収消費税XXXX円雑収入(不課税)XXXX円

還付金を受け取ったときは、以下のように「未収消費税(資産)」を減少させます。

借方貸方
預貯金XXXX未収消費税等XXXX円

税込方式

税込方式の場合も税抜方式と同様に、還付金額は「未収消費税等(資産)」を使用して処理をします。ただし税抜方式と異なり、期中に「仮払消費税」「仮受消費税」が計上されないため、同額を「雑収入(不課税)」として計上します。

借方貸方
未収消費税等XXXX雑収入(不課税)XXXX円

還付金を受け取ったときは、税抜方式と同様の処理となります。ただし前期の決算時(上記の仕訳時)において未収消費税等を計上していない場合は、還付金を受け取ったときに「雑収入(不課税)」として貸方に計上します。

借方貸方
預貯金XXXX未収消費税等XXXX円

還付金を受け取るときには、利息として還付加算金が付加されます。この還付加算金は法人の場合には雑収入(不課税)、個人の場合には受け取った年の雑所得として処理します。

消費税還付の税理士報酬相場

このように、消費税に関する手続きは複雑なため、税理士に依頼することが一般的です。

税理士に支払う報酬は、決算申告料に含まれているケースがほとんどですが、成功報酬の場合は、還付金の20〜30%または3万円〜10万円が相場と考えておきましょう。

報酬額は一律ではなく、業種や事業規模、売上や税理士によっても異なるので、まずはいくつか見積もりをとって比較をしてみるとよいでしょう。

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