年収500万円の妻がガンで亡くなりました。子どもはいないのですが、いる場合と比べて、遺族年金に差があるのでしょうか
税金・お金
夫や妻が亡くなった場合、生命保険がどれくらい払われるのか気になる方が多いかもしれませんが、状況に応じて、国民年金や厚生年金といった公的年金からも一定の金額が支払われます。
今回は、遺族年金がどれくらいもらえるのか(もらえないケースもあるのか)。ケースをもとに考えてみましょう。
(CASE)
現在45歳の男性です。年収500万円の妻(45)がなくなりました。子どもはいないのですが、いた場合と比べて、遺族年金にどれくらいの差があるのでしょうか。
●遺族厚生年金では男女で大きな差
この問題で一番重要なのは遺族年金における男女の扱いに違いがあることです。
遺族年金は国民年金の「遺族基礎年金」と厚生年金の「遺族厚生年金」の2階建てですが、妻が亡くなって夫が遺族になるケースでは、受給できる条件に大きな違いがあります。
まず、遺族基礎年金は「子のある配偶者」にしか支給されません。つまり、子どもがいない場合、夫や妻は遺族基礎年金を一切受け取れません。こちらは夫と妻とで違いはありません。
次に、遺族厚生年金については、夫が受給するには死亡時点で夫が55歳以上である必要があり、さらに実際の支給開始は60歳からです。しかし、逆のケース(夫が死亡し妻が遺族)にはこの年齢制限がありません。
ちなみに、夫が死亡し妻が遺族になる場合の遺族厚生年金の額を考えてみましょう。
年収500万円(標準報酬月額41万円、賞与なし)をもとに、加入期間300月みなし(短期要件)で、詳細な前提条件を置かずにざっくり計算すると、遺族厚生年金は年間約51万円(月約4.2万円)です。
●子どもの有無でも大きな差
それでは、今回のケースについて、子どもありとなしの場合の支給額をまとめてみましょう。
(夫が55歳未満・子なしの場合)年間0円
これが最も厳しいケースです。遺族基礎年金は子がいないため対象外、遺族厚生年金は55歳未満のため対象外。現行制度では遺族年金が一切受け取れません。
(夫が55歳未満・子1人の場合)子の受給分と合わせて年間 約160万円(月約13.3万円)
子がいることで遺族基礎年金(約84.7万円)+ 子の加算(約24.4万円)= 約109万円が支給されます。また、夫には受給権がありませんが、18歳年度末までの子どもに対して、遺族厚生年金(約51万円)が支給される形となります。
(夫が55歳以上・子なしの場合)年間 約51万円(月約4.2万円、60歳〜)
遺族厚生年金のみを60歳から終身で受給できます。
(夫が55歳以上・子1人の場合)年間 約160万円 → 子の卒業後は約51万円
子がいることで遺族基礎年金(約84.7万円)+ 子の加算(約24.4万円)= 約109万円が加わり、さらに遺族基礎年金の受給権があることで遺族厚生年金(約51万円)も受給できます。遺族基礎年金は子が18歳年度末に達するまでの受給ですが、仮に13年間受給できれば年間 約160万円、総額は約2000万円以上になります。
まとめると、子がいない場合と子がいる場合の差は、夫の年齢によって0円と、年間約160万円という極端な差になる可能性があります。
なお、改正法により、2028年4月以降は男女の受給要件が段階的に統一される予定です。子のない配偶者については男女とも原則5年間の有期給付に移行する見込みです。
【監修協力】
小林 拓未(こばやし たくみ)税理士
2017年東京都中央区にて開業。「専門家として、長期的な視点で顧問先の発展に尽力する」ことを経営理念に掲げる。2018年から社会保険労務士業務開始。横浜、葛飾、板橋、品川、船橋に支店を開設し、業務拡大中。
事務所名 :税理士法人石川小林
事務所URL:https://www.ktaxac.com
東滝 正明(ひがしたき まさあき)社会保険労務士
2018年開業。税理士法人石川小林を母体とした、社会保険労務士の業務及び、とりわけ障害福祉に特化した社会保険労務士法人。創業から約3年間で500件以上の助成金申請手続を代行してきた実績があり、助成金に関するノウハウが豊富。
事務所名 :社会保険労務士法人石川小林
事務所URL:https://www.sr-ik.jp/















