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本則課税による消費税納税額の計算方法をわかりやすく解説

監修: 山本 晃司 税理士

「消費税」は原則としてすべての事業者に納税義務があります。実際にいくら納税するかを計算するには「本則課税」という方法で算出することになります。そこでこの記事では、本則課税による消費税納税額の計算方法や「簡易課税」との違いをわかりやすく解説します。

目次

消費税納税額の計算方法

消費税の納税額は「消費税」と「地方消費税」とを合わせた金額です。

このうち消費税は「売上税額(課税売上高にかかる消費税額) ー 仕入控除税額(仕入れにかかる消費税額) 」で求めた金額となります。売上・仕入税額を算出するにあたり、実際の取引に即して計算する方法を「本則課税」といいます。

消費税の納税額 = 消費税額(売上税額 ー 仕入控除税額)+ 地方消費税額(消費税額 × 17/63 ※)
※消費税率が10%となる2019年10月1日以降は22/78

売上税額(課税売上高にかかる消費税額)の計算方法

事業を行ううえでの取引には、消費税がかかる「課税取引」と消費税がかからない「不課税取引」「非課税取引」「免税取引」の4種類があります。このうち「課税取引」と「免税取引」における売上高の合計金額が課税売上高となります。

課税売上高(免税取引を除く)にかかる消費税額(売上税額)は以下のように計算します。

売上税額の計算方法(標準税率)

  1. 「課税売上高の合計額 × 100/110」で課税標準額を算出。1000円未満の端数は切り捨て
  2. 「課税標準額 × 7.8/100」で売上税額を算定する

※消費税率10%の場合

なお、2019年10月1日からは軽減税率の対象になる売上税額については下記のように計算し、標準税率の対象になる売上税額に合算します。

軽減税率適用時の売上税額計算方法

  1. 「軽減税率の対象となる課税売上高の合計額 × 100/108」で課税標準額を算出。1000円未満の端数は切り捨て
  2. 「課税標準額 × 6.24/100」で売上税額を算定する

仕入控除税額(仕入れにかかる消費税額) の計算方法

仕入控除税額の計算方法は、課税売上高の金額と課税売上割合によって大きく2つに分かれます。

課税売上割合とは、課税期間中の総売上における課税売上高が占める割合のことをいい、課税売上高を総売上高(課税売上高と非課税売上高の合計)で割って算出します。

課税売上割合(%) = 課税売上高(税抜)÷ 総売上高(税抜)

1.課税期間中の課税売上高が5億円以下、かつ、課税売上割合が95%以上の場合

課税期間中の売上税額から、次の計算式で算出される仕入控除税額を全額控除することができます

国内における課税仕入高 × 7.8/110(※) + 外国貨物の引取りにかかる消費税額
※軽減税率適用の場合は6.24/108

2.課税期間中の課税売上高が5億円超、または、課税売上割合が95%未満の場合

課税売上に対応する部分のみを控除します。そのため仕入税額控除の計算は、「個別対応方式」あるいは「一括比例配分方式」のどちらかを選択して行うことになります。

個別対応方式

個別対応方式は、課税期間中の課税仕入にかかる消費税額を次の3つに区分し、仕入控除税額を計算する方法です。

区分仕入控除税額
課税売上にのみ対応するもの全額控除
非課税売上にのみ対応するもの控除なし(0円)
課税売上と非課税売上に共通して要するもの課税売上割合分を控除

個別対応方式では、非課税売上にかかる仕入税額は控除の対象となりません。したがって、課税売上にかかる仕入税額に、課税売上と非課税売上に共通してかかる仕入税額に売上割合を乗じた金額を足したものが仕入控除税額となります。

【例】
課税売上にのみ対応する課税仕入にかかる消費税額・・・5万円
非課税売上にのみ対応する課税仕入にかかる消費税額・・・1万円
課税売上と非課税売上に共通して対応する課税仕入にかかる消費税額・・・2万円
課税売上割合・・・70%

【計算式】
5万円 + (2万円 × 70%) = 6万4000円(仕入控除税額)

このように、仕入れの内容をその都度区分しなければならないので、個別対応方式の場合は事務的負担が大きくなってしまいます。しかし、課税売上が多く、非課税売上が少ない場合は、次に説明する「一括比例配分方式」よりも消費税の納税額が少なくなるというメリットがあります。

一括比例配分方式

課税期間中の課税仕入にかかる消費税額が区分されていない場合は、一括比例配分方式による計算によって、仕入控除税額を求めます。

一括比例配分方式は、課税期間中のすべての課税仕入にかかる消費税額に、課税売上割合を乗じた金額を控除する方法で、以下の式によって仕入控除税額を計算します。

仕入控除税額 = 課税仕入にかかる消費税の総額 × 課税売上割合

【例】 課税売上にのみ対応する課税仕入にかかる消費税額・・・5万円
非課税売上にのみ対応する課税仕入にかかる消費税額・・・1万円
課税売上と非課税売上に共通して対応する課税仕入にかかる消費税額・・・2万円
課税売上割合・・・70%

【計算式】
(5万円 + 1万円 + 2万円) × 70% = 5万6000円(仕入控除税額)

一括比例配分方式は、仕入れの内容を細かく区分する必要がないので事務的負担は軽いというメリットがあります。

また、個別対応方式で仕入税額控除を計算できる事業者であっても一括比例配分方式を選択することができますが、一括比例配分方式を選択した場合には2年間継続適用した次の課税期間にならなければ個別対応方式に変更することはできません

リバースチャージ方式による申告が必要な場合

国外事業者から、「事業者向け電気通信利用役務の提供」を受けた場合、その時に支払った対価は「特定課税仕入れ」として、リバースチャージ方式による申告を行う必要があります。

リバースチャージ方式とは、役務の提供を受けた事業者が、役務の提供を行った国外事業者の代わりに、その役務の提供にかかる消費税の申告と納税を行う制度のことをいいます。

ただし役務を受けた事業者が本則課税で、かつ、課税売上割合が95%以上の課税期間、または簡易課税制度の適用を受けている課税期間については、当分の間「特定課税仕入れ」がなかったものとされるため、リバースチャージ方式による申告は必要ありません。

したがって、本則課税で課税売上割合が95%未満の事業者に限り、リバースチャージ方式による申告と納税が必要になるということになります。

簡易課税制度との違い

本則課税では、売上・仕入のそれぞれで課税区分ごとに税額を計算しなくてはならないため、計算が煩雑になってしまいます。

そこで特定の要件を満たす事業者に限り、「仕入控除税額」をみなし仕入率によって簡素化して計算する「簡易課税制度」の適用が認められています。

簡易課税による消費税の計算方法は以下のとおりとなり、みなし仕入率は事業区分に応じて40%~90%の税率が適用されます。

消費税額=売上税額 - 売上税額 × みなし仕入率

消費税の還付申告

売上税額よりも仕入控除税額が多い場合は、還付を受けることができます。

還付が受けられるケースとしては、仕入れや経費が多く赤字になった場合や不動産、設備投資などで高額な支出をしたときが挙げられます。

ただし、免税事業者である場合や簡易課税を選択している場合は、消費税の還付を受けることができません。消費税の還付が受けられることがあらかじめわかっている場合は、あえて課税事業者を選択したり、本則課税を選択するなどの対策が必要となります。

おわりに

本則課税による消費税納税額の計算は複雑なため、事業者自身で計算から申告を行うには非常に負担がかかります。また、簡易課税と本則課税のどちらを選択すべきかの判定や還付の手続きなど、考慮すべきポイントはたくさんあります。

申告内容に誤りがあると加算税などの追徴課税が発生する恐れもあるので、税理士へ消費税申告を代行してもらうことも検討してみましょう。

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