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【図解】消費税の軽減税率とは?対象品目や業務への影響について

2019年10月1日に消費税が増税されると同時に、軽減税率制度が導入される予定です。

軽減税率が適用される商品を扱う飲食店などはもちろん、軽減税率は飲食店以外の事業者や免税事業者などすべての事業者に関係があります。導入直前になって慌てないように、今から軽減税率制度について理解を深めておきましょう。

目次

消費税の軽減税率制度とは

軽減税率とは、標準の税率よりも低く設定されている税率のことです。世界では、多くの国が生活必需品等の消費税の軽減税率を導入しています。たとえば、イギリスでは食料品や不動産取引、新聞・書籍、医薬品など、フランスでは食料品や書籍、医療、教育などに軽減税率が適用されています

予定通りに日本でも消費税率の引き上げが実施されると、2019年10月1日より消費税率は10%になります。

そして消費税率引き上げに伴い、低所得者の負担の軽減などを目的として、食料品などの生活必需品については、消費税を軽減するという「消費税の軽減税率制度」が導入されることが予定されています。

標準税率10%の内訳は、国税分(消費税)7.8%と地方税分(地方消費税)2.2%、一方で軽減税率8%の内訳は、国税分(消費税)の6.24%と地方税分(地方消費税)の1.76%となります。

軽減税率の対象となる品目

軽減税率対象品目

軽減税率の対象となる品目は、大きく次の3つのグループに分けられます。

  • 食品表示法に規定されている飲食料品
  • 飲食料品の譲渡
  • 週2回以上発行されている定期購読の新聞

私たちの生活にたとえながら、細かく見ていきましょう。

食品表示法に規定されている飲食料品

軽減税率が適用されるかどうかについては、酒類を除くと、販売されているものが「食用」かどうかである程度判断することが可能です。

以下、誤解しやすい品目について掘り下げて解説します。

水道水とウォーターサーバー

同じ水でも、飲料として販売されているミネラルウォーターは軽減税率(8%)の対象ですが、自宅の水道水については生活用水としても使用するため標準税率(10%)対象です。

ウォーターサーバーをレンタルしている場合、ウォーターサーバーのレンタル料金自体は食品ではないので軽減税率の対象外ですが、ウォーターサーバーで使用する水の料金については、飲料水ですので対象となります。

また、氷についても食用目的であれば対象ですが、保冷目的で販売されている氷やドライアイスについては対象外となり、標準税率が適用されます。

魚類・肉類

スーパーなどで売られている食用目的の魚は軽減税率の対象ですが、ペットショップなどで売られている観賞用の熱帯魚などの魚については食用ではないので対象外です。また、食肉は対象ですが、家畜用の動物については、その時点で食用に該当しないため対象外となり、標準税率が適用されます。

苗木や種

野菜や果物については食品に該当するため軽減税率の対象ですが、それらの苗木や種については、たとえ栽培用だとしてもその時点では食品として売られているわけではないので対象外です。

ただし、おやつとして販売されているカボチャの種などについては、人の食用に供される食品に該当します。

酒類

ビールやワイン、日本酒などの酒類については、すべて軽減税率の対象外となります。ただし、甘酒やアルコール分1%未満のみりんなど、「酒税法に規定されている酒類」に該当しないものについては対象外です。

日本酒を製造する際の原材料となる米については、その段階では酒類ではないため、対象となります。

一定の一体資産

シールやおもちゃなどのおまけがついたお菓子や食品が入った福袋など、食品と食品以外の商品がセットで販売されているものを「一体資産」といいます。原則として軽減税率の対象外ですが、下記の要件を満たす場合のみ、軽減税率が適用されます。

  • 一体資産の譲渡対価が1万円以下であること
  • 一体資産の価額のうち、食品に係る部分の価額の占める割合が合理的な方法で計算した場合、3分の2以上であること

その他

ペットフードや家畜の餌などについても食品に該当しないため軽減税率の対象外となります。その他、医薬品、医薬部外品、再生医療等製品などについても対象外ですが、医薬品等に該当しない「栄養ドリンク、健康食品、栄養機能食品」ついては食品扱いなので対象となります。

軽減税率の対象品目

飲食料品の譲渡

飲食料品の譲渡であれば軽減税率の対象となりますが、外食(食事の提供)にあたるケースについては対象外となり、標準税率が適用されます。判断が難しい品目について見ていきましょう。

テイクアウトや出前

飲食店で食事をせずにテイクアウトする場合や、出前を頼んで自宅で飲食する場合については軽減税率の対象ですが、飲食店でそのまま食事をした場合は外食となるため標準税率が適用されます。

たとえば、ハンバーガーショップを利用する場合であれば、店内で食べれば外食となりますが、テイクアウトすれば対象となります。また、ピザ屋のデリバリーや寿司屋の出前についても、外食には該当しません。

判断が難しいといわれているのが、イートインコーナーのあるコンビニです。コンビニでお弁当などを購入しても、通常は外食ではないため軽減税率の対象となりますが、イートインコーナーで食事をするとなると対象外となります。

どちらの税率が適用されるのかについては、購入時の顧客に対する意思確認によって判定されます。

ホテルや旅館の冷蔵庫内の飲料

ホテルや旅館の食事代、ルームサービスなどについては食事の提供となるため対象外ですが、客室に備え付けられている冷蔵庫内の飲料については軽減税率対象となります。

施設での食事

学校給食や学生食堂、有料老人ホームなどで提供される食事については、外食ではないため軽減税率の対象となります。

その他

いちご狩りなどで収穫した果物をその場で飲食すると外食となるため対象外ですが、購入して持ち帰るのであれば軽減税率の対象となります。

軽減税率の対象品目

週2回以上発行されている定期購読の新聞

新聞のうち、次の2つの要件を満たすものについては、軽減税率が適用されます。

  • 週2回以上発行されているもので、政治、経済、社会、文化などの一般社会的事実を掲載しているもの
  • 定期購読契約に基づくもの

よって、コンビニや駅などで販売されている新聞をその場で買うと対象外となります。また、電子版についても対象外です。

軽減税率制度導入による影響

軽減税率制度が導入されることによって、これまで一律だった税率が2種類になるため、業種、業態ごとにさまざまな対応が求められることとなります。

日々の業務での対応

食品を扱う飲食業界のうち、軽減税率の判定がもっとも困難なのが、テイクアウトをしている飲食店や、イートインスペースがあるコンビニなどです。

同じ商品を売る場合でも、顧客がどこで飲食するのかによって異なる税率で計算しなければならないため、その判定をするこになるレジ担当者の研修はもちろん、レジ自体についても2種類の税率に対応したものに入れ替える必要があります。

また、顧客についても、どういう場合にどちらの税率が適用されるのか、よく理解できていない可能性もあるため、精算時にトラブルが発生する可能性もあるでしょう。

価格表示の例

同じ商品に2種類の税率が存在することになるため、商品の価格表示についても対応が必要です。価格の表示方法としては、大きく分けると次の3つの方法があります。

  • 店内飲食とテイクアウトの両方の価格を表示する
    例:ハンバーガー330円(324円)()内はテイクアウトの料金となります。
  • 店内飲食またはテイクアウトのどちらか1種類の価格のみ表示する
    例:ハンバーガー330円 ※テイクアウトの場合、税率が異なりますので別価格となります
    例:ハンバーガー324円 ※店内飲食の場合、税率が異なりますので別価格となります
  • 同一料金に統一する
    例:ハンバーガー330円

テイクアウトの税抜き価格を上げる、もしくは店内飲食の税抜き価格を下げることで、どちらの税率が適用されても税込価格が変わらないようにすることも可能です。どの方法で価格を表示するのかについては、業種業態などに応じて個別に判断することになります。

帳簿の区分経理

軽減税率が導入されることで、経理処理についてもこれまでと違った対応が求められることとなります。

仕入や経費に軽減税率の対象品目がある事業者については、仕入税率ごとに区分する「区分経理」を行うことが必要です。

たとえば、軽減税率の対象であるミネラルウォーター1000円と、対象外であるアルコール類1000円を現金で仕入れた場合、現行の帳簿と区分経理した帳簿で次のような違いがあります。

現行
借方貸方
仕入 2,000円現金 2,160円
仮払消費税 160円 
区分経理した場合
借方貸方
仕入(8%) 1,000円現金 2,180円
仮払消費税 80円 
仕入(10%) 1,000円 
仮払消費税 100円 

このように、同じ仕入でも適用される税率ごとに区分して帳簿付けを行う必要が出てくるため、これまで以上に事務負担がかかる可能性があります。

請求書等の記載と保存

区分経理による帳簿付けが必要になることから、請求書についても新たな書式が導入されます。

区分記載請求書等保存方式

現行の「請求書等保存方式」に代わり、2019年10月1日から2023年9月30日までの間は「区分記載請求書等保存方式」となります。

「区分記載請求書等保存方式」とは、軽減税率の対象品目であることがわかるように記載する方法で、現行運用されている請求書の記載事項に加えて、次の2点についての記載が必要となります。

  • 軽減税率の対象である旨
  • 税率ごとに区分して合計した請求額

具体的には、消費税8%の品目と10%の品目の見分けが容易につくよう仕分けした上で、金額についても税率ごとに合計して最後に合算した請求額を表示します。

【具体例】
品名金額
豚肉2,160円
牛肉3,240円
8%対象商品 合計5,400円
  
まな板2,200円
10%対象商品 合計2,200円
  
総合計7,600円

インボイス方式(適格請求書等保存方式)

2023年10月1日からは上記の区分記載請求書等保存方式に代わり、「インボイス方式(適格請求書等保存方式)」となる予定です。

インボイスとは、適用される税率や税額など法律で決められている記載事項を記載した請求書や納品書のことで、発行者と受領者双方に保存義務があります。

インボイス方式ではインボイスに記載されている税額のみが控除対象になるため、インボイスを発行できない免税事業者の請求書と、課税事業者のインボイスを仕分けするという作業が必要です。

課税事業者については「事業者登録番号」が発番されるので、インボイスに記載する必要があります。

また、これまでの請求書では「〇〇一式」とまとめて品目を表記していたのが、インボイスでは商品ごとに分けて記載しなければならなくなります。

今後は、インボイス方式の導入に向けて、データで保存できるEDI(ペーパーレス取引)の導入なども検討していく必要性があるでしょう。

軽減税率導入後の納税額の計算

消費税の納税額は、原則として国税である「消費税」と地方税である「地方消費税」を合わせた金額となります。

納税額 = 消費税額(売上税額 ー 仕入税額)+ 地方消費税額(消費税額 × 22/78)

軽減税率導入後は、消費税額における売上税額と仕入税額について、標準税率と軽減税率とでそれぞれ計算し、合算することになります。

<売上税額>
軽減税率の対象となる課税売上合計額(税込)× 100/108 × 6.24/100・・・(1)
標準税率の対象となる課税売上合計額(税込)× 100/110 × 7.8/100・・・(2)
売上税額=(1)+(2)

<仕入税額>
軽減税率分:課税仕入合計額(税込)× 6.24/108 + 外国貨物の取引に係る消費税額・・・(3)
標準税率分:課税仕入合計額(税込)× 7.8/108 + 外国貨物の取引に係る消費税額・・・(4)
仕入税額=(3)+(4)

簡易課税制度

上記の一般課税に対し、仕入税額の計算が簡素化される「簡易課税」という方法があります。

軽減税率導入後も計算方法は変わりませんが、売上税額については一般課税と同様に標準税率と軽減税率をそれぞれ計算することになります。

税額計算の特例

税率が2種類になることによって売上税額、仕入税額の計算が複雑化するため、中小事業者向けに「税額計算の特例」という制度が設けられます。

税額計算の特例とは、売上や仕入を税率ごとに区分することが困難な中小事業者(課税期間の前々年または前々事業年度の課税売上高が5,000万円以下の事業者)を対象に、軽減税率対象品目の売上税額・仕入税額を一定の割合で算出するという特例です。課税売上や課税仕入を税率ごとに管理する方法に、中小事業者が慣れるまでの経過措置となります。

売上税額の計算特例

売上税額の計算について、軽減税率制度の実施から4年間、以下のいずれかの特例を選択することが可能です。

1)仕入れを管理できる卸売事業者・小売事業者

個人商店や卸業者については、仕入れたものをそのまま販売するのが一般的なので、軽減税率の対象品目と標準税率の対象品目の割合は、仕入と売上でおおむね一致すると考えられます。

そこで、仕入の軽減税率対象品目と標準税率対象品目が正しく仕分けされていれば、その割合(小売等軽減仕入割合)を売上税額の計算に使って計算をするという方法です。

「小売等軽減仕入割合=軽減税率対象品目の売上のための仕入額 ÷ 仕入総額」

ただし、簡易課税の適用を受けている卸売・小売の事業者はこの特例の選択はできません。

2)1の特例を適用する事業者以外の事業者の場合

飲食店などについては、仕入れた商品を調理・加工して販売するため、仕入の割合をそのまま売上の割合に用いて計算することは適切ではありません。また、仕入を税率ごとに区分することが困難な事業者は上記の特例が選択できません。

そこで、通常の連続する10日間の売上の内訳をもとに、軽減税率に対応する部分の売上割合(軽減売上割合)を算出します。

「軽減売上割合=通常の連続する10営業日の軽減税率対象品目の売上額 ÷ 通常の連続する10営業日の売上総額」

3)1と2のどちらも困難な事業者の場合

仕入の管理または10日間の売上管理、どちらも困難な事業者については、売上税額の50/100を軽減税率対象税額として計算をします。

ただし、この計算方法を選択できるのは主に軽減税率対象品目を販売する事業者です。

仕入税額の計算特例

仕入を税率ごとに区分することが困難な中小事業者は、仕入税額の計算について、軽減税率制度の実施から1年間、以下の特例を選択することが可能です。

1)売上を管理できる卸売業者、小売業者

前述した「売上税額の計算特例(1)」と考え方は同じで、仕入れた商品をそのまま販売する卸売業や小売業は軽減税率の対象品目と標準税率の対象品目の割合は仕入と売上でおおむね一致すると考えられます。ただ、こちらは、売上割合(小売等軽減売上割合)を仕入割合にも用いて仕入税額を計算します。

「小売等軽減売上割合 = 軽減税率対象品目の売上額 ÷ 売上総額」

売上の管理ができれば仕入税額の計算が可能ですが、簡易課税の適用を受けている場合は対象外です。

2)1の特例を適用する事業者以外の事業者

売上管理ができない事業者の場合には、前々年または前々事業年度の課税売上高が5,000万円以下の中小事業者であれば、事後選択で簡易課税制度の適用が受けられます。

ただし、原則としては課税期間の開始前に簡易課税制度の適用申請が必要です。

レジ導入・改修時などに使える「軽減税率対策補助金」

軽減税率対象品目を扱う事業者は、2種類の税率に対応したレジや受発注システム、請求書管理システムを新たに導入したり、改修したりといった対応が必要となってきます。

そこで中小企業庁では、中小企業の事業者に係る負担軽減を目的に次のA、B、Cの3種類の補助金制度を設けています。

A型:複数税率に対応したレジの導入等支援

日ごろから軽減税率対象商品を販売していて、将来にわたって継続的に販売を行うために軽減税率に対応したレジ(タブレットなどを利用したレジ、レシートプリンタ、クレジット決済端末、電子マネーリーダーなども含む)が必要な事業者が対象です。

補助率は原則、費用の3/4までとなり、上限額はレジ購入費用1台あたり20万円、設置費用はレジの台数×20万円(複数台導入の場合、1事業者当たり200万円まで)です。

B型:受発注システムの改修等支援

電子的受発注システムを使用して日ごろから軽減税率対象商品を取引していて、将来にわたって継続的に取引を行うために受発注システムの改修や入替えをする事業者が対象です。

補助率は原則、費用の3/4。発注システムによって上限額が異なります。

C型:請求書管理システムの改修等支援

日ごろから軽減税率対象商品を取引していて、軽減税率に対応した請求書を発行するために請求書管理システムを改修、導入する事業者が対象です。

補助率は原則、費用の3/4(ハードウェア汎用端末は1/2)で、1事業者あたり150万円までが上限金額となります。

おわりに

軽減税率がはじまると複数税率を処理しなければならないため、経理が非常にややこしくなることが予想されます。日ごろの帳簿付けを、慣れない区分経理で処理することは簡単なことではありません。

補助金制度の申請期限も迫っていますので、消費税申告も合わせて一度税理士に相談してみましょう。

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