仮想通貨取引所でトラブル!そんなときに使えるかもしれない裏技とは?

仮想通貨の取引所コインチェックが、外部からの不正なアクセスによって580億円に相当する仮想通貨NEMが流出したことを明らかにしました。
流出したのは顧客が預けていた資産であること、売買や日本円での出金を停止するなどの措置をとったこと、また、補償として返金対応されると発表されましたが、具体的なところはまだ明らかになっていないことなどから、投資をしていた方たちには動揺が広がっているようです。
個人投資家の税金には影響ある?ない?
この流出による個人投資家の税金の面への影響ですが、以下のような理由から、今この時点で明確な答えを出すことはなかなか難しいところです。
- まだ事態の全容や補償の具体的な内容についてといった部分が明らかになっていない
- 平成30年になってからの事件のため、確定申告に影響するのは来年
と、そこだけ考えると今回の確定申告には影響がないようにも見えますが、2017年にすでに売買をして大きな利益が確定しているにもかかわらず、そのまま日本円や他の仮想通貨をそのままコインチェックに置いてある方は、財産の目減りや納税資金の捻出という点で気が気ではないですよね。
税金はあくまで日本円で払わなければいけませんし、「利益が出た!」といっても多くの方にとってはパソコンやスマホの画面に表示される利益があるだけで、その金額分の現ナマを見たわけではないでしょうから。
ではそういった方が少しでも救われるルールはないのでしょうか。
流出による損失に適用できるかもしれないルールとは?
所得税は1年ごとの課税が原則ですので、本来2017年の利益と2018年の流出が関係することはありません。
ですが特例的に以下のようなルールも設けられています。
(所得税法64条1項 一部略) その年分の各種所得の金額の計算の基礎となる収入金額若しくは総収入金額の全部若しくは一部を回収することができないこととなつた場合には、当該各種所得の金額の合計額のうち、その回収することができないこととなつた金額は、当該各種所得の金額の計算上、なかつたものとみなす。
ちょっとわかりづらい文章ですのでコインチェックの件に当てはめて考えてみます。
「コインチェック内における仮想通貨の売買による雑所得(※)の計算にあたり、その利益確定した取引の対価の全部又は一部を現金などで回収することができなくなった場合には、その回収することができなくなった金額は、その雑所得の金額の計算上度外視して構わない(計算に含めなくて良い)。」というような感じです。
※国税庁が公表した情報によって、仮想通貨の取引による利益は雑所得とされています。
回収できなくなった金額は収入金額としなくて良いわけですから、場合によっては課税される利益がなくなってしまうことも考えられます。
ちなみに、今年の3月15日までに損失が確定していなくても、その後確定し次第この取り扱いをすることが可能です。
だいぶ変わったルールではありますが、最高裁でも以下のように言っていますので、今回の件でも使えると良いなと個人的には思っています(具体的な計算や要件はちょっとややこしいので、お近くの税理士に相談された方が良いと思います)。
(昭和60年12月20日最高裁判決) 所得税法第64条は、本件の如く、収入金額を現実に支配したことが全くなく、その中から納税資金を1円たりとも得ることができなかつた場合に、その適用を躊躇する理由は何もない。
もちろんコインチェックに預けている金額が回収できないという悲しい事実が確定したときの話にはなってしまいますが、最悪の場合には、このような救済措置が使えるかもしれないということだけでも知っておくと少しは不安が和らぐのではないでしょうか。
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