VALUとは?VALU内の仮想通貨での取引で出た利益に課税はされる?

新聞やSNSなどで話題になったこともあるため、「VALU」という言葉を耳にしたことがある方もいるのではないでしょうか。このサービスでは何らかのお金の動きが発生するため、所得税といった税金が関係してくる可能性が考えられます。ここではVALUがどのようなサービスなのかを紹介しつつ、利用する際に押さえておくべき課税のポイントを解説いたします。
目次
VALUとは?
「VALU」は株式会社VALUによって提供されているサービス名で、2017年5月31日にベータ版が公開されました。VALUの公式サイトを参考に特徴をまとめると、以下のようなポイントが挙げられます。
- 「VA」と呼ばれる単位を発行して、それを販売できる
- 「VA」を保有することで、その発行者から「優待」を受けられる
- 保有している「VA」を他の人に再販売できる
- 「VA」の取引にはビットコイン(仮想通貨)が用いられている
このように「VALU」はクラウドファウンディングのような性質と、株式取引のような性質を兼ね備えたサービスなのです。ただし、「VA」を再販売できる点ではクラウドファウンディングとは異なり、「VA」を取引する点では株式取引とも異なっており、今までにない新たなサービスと言えます。
VALUと関係する「税目」はどれか?
税目とは所得税や住民税、法人税といった税金の区分のことを指します。これらの税目のうちVALUと関係する可能性があるものは「所得税」と「消費税」です。
- 所得税:個人の所得に課される税金
- 消費税:商品やサービスの消費に課される税金
所得税で言うと、「VA」を発行して販売できた場合や、保有している「VA」を再販する場合などで課される可能性があります。また、消費税では優待を受けるために「VA」を購入した場合に課税される可能性が考えられます。今後、「VALU」の概念がどのように定義づけられるかで、関係してくる税目が明らかになっていくでしょう。
VALUに対する所得税の課税ポイント
VALUで「VA」を取引すると、実社会において所得が生じる場合があります。そのため、所得税が関係してくる可能性があるので、そのポイントを押さえておきましょう。
所得税の納税義務者は誰になるのか?
所得税であれば、原則として納税義務者は「VALU」の取引にて所得が生じた人と考えられます。仮に株式取引のように証券会社を介している場合は「源泉徴収」してもらうことも可能です。しかし現状、VALUに源泉徴収の制度はないので、VALUを行っている本人が確定申告をすることになるでしょう。
所得税の課税対象になる取引はどれか?
VALUで課税対象になると考えられる取引は「VAの発行」と「VAの再販(転売)」の2つです。このうち「VAの再販」に対する課税は分かりやすく、譲渡所得(売却益)に所得税が課される可能性があります。これは株式取引におけるキャピタルゲインと同じ原理といえるでしょう。
一方、VAの発行については扱いが難しくなっています。これは「VA」の発行により資金調達ができますが、それが「VAの売却による譲渡所得なのか」もしくは「優待の販売による事業所得(雑所得)なのか」に判断が分かれるからです。また「VAを贈与されたとして贈与税」になる可能性も考えられ、発行者に対する課税の扱いが難しくなっています。
いずれにしろ「VA」を発行する場合は課税対象になると考えられます。
所得税の申告が必要になる基準は?
VALUによる所得を得ているからと言って、すべての人が確定申告が必要になるわけではありません。原則として以下の人が確定申告の対象になります。
- 給与所得者:給与所得以外に20万円超の所得を得ている人
- 個人事業主や主婦など:所得控除額以上の所得を得ている人
VALUの利用によって何らかの所得が生じ、その金額が基準以上であれば忘れずに確定申告の手続きをしましょう。
VALUに対する消費税の課税ポイント
法律上における「VA」の定義次第では、消費税が課される可能性があることも考慮に入れなければなりません。そこで消費税の課税についても確認しておきましょう。
消費税の納税義務者と課税対象になる取引は?
仮に消費税が課されることになったとしたら、「VA」の発行主、つまり優待を提供する人が納税義務者になると考えられます。これはVAの購入によって商品やサービスを得ているとみなされるからです。そのため、購入者が消費税を負担し、発行者が消費税を納税することになるかもしれません。
VALUが非課税取引になる可能性について
消費税は基本的に「事業者が事業として対価を得て行う取引に対して課税する」決まりになっています。したがって、VALUを事業として営んでいない場合は消費税が課される可能性はありません。また、場合によっては「有価証券の譲渡」など、非課税取引として扱われる可能性もあります。VALUがこうした取引に該当するものと定義づけられる場合は、消費税が非課税になるでしょう。
おわりに
「VALU」のサービス開始から日が浅いため、現段階では法整備が整っていません。しかし、今後何かしらの法律が制定され、それに伴って税制も整うでしょう。その時に税金関係で困らないように、今から準備を進めておくようにしてください。また、何か分からない点があれば税理士や所轄の税務署に確認することをおすすめします。
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