韓国ポーカートーナメントで日本人入賞者が続々誕生! 税金はどうなる?
税金・お金

2023年1月に、アジア最大規模のポーカートーナメント「ASPT(Asia Series Poker Tour)」が、韓国のParadise City Koreaカジノ内で初開催された。
ASPTは、サミー株式会社契約プロポーカープレイヤー兼YouTuberのじぇいそる氏など、日本のトッププロが運営を務めるトーナメント。毎年ラスベガスで開催される世界大会「WSOP」、欧米を中心に世界各地で開催される「WPT」と並ぶ、世界中の憧れとなる大会をアジアにも作りたいという想いから設立された。メインイベントの賞金総額は3億KRW(3000万円)を超え、大会全体では総額10億KRW(1億円)だという。
同トーナメントはインザマネー(入賞)する人を増やす設計となっており、日本人の賞金獲得者が続々誕生。メインイベントの優勝者である日本人は、約630万円もの賞金を獲得したという。
運と実力次第では一攫千金の夢もかなうのがギャンブルの魅力だが、日本人が海外のポーカー大会でもうけたお金について、税金は支払う必要があるのだろうか? 福留聡税理士に聞いた。
●日本居住者は海外で得た所得を合算して税金がかかる
今回のケースでは、韓国で得た所得になりますので、韓国で非居住者として、韓国国内の源泉所得に対し韓国の所得税がかかります。他の国の大会でも、国によりますが非居住者として得た所得に課税される国が多くなっています。
日本居住者の場合、日本は「全世界所得課税」になりますので、海外のポーカーで得た所得を日本で得た所得に合算したうえで所得税を計算します。そして、二重課税を排除するため、外国税額控除(海外で支払った所得税の額を、日本の所得税の額から差し引く)を適用します。
なお経費については、大会への参加費は、賞金を得るための必要経費として認められますが、ディーラーなどにチップを支払った場合は、通常賞金との間に明白な対価関係は認められませんから、必要経費とできる可能性は低いでしょう。
●賞金630万円を獲得した場合の税金は?
それでは、参加費15万円、賞金630万円を獲得したと仮定して、税金がいくらになるのかシミュレーションしてみましょう。
【条件】
(1)会社員 給与所得 400万円
(2)ほかに所得のない学生や専業主婦(主夫)
(1)の会社員ですが、賞金等の「一時所得」は、給与所得や事業所得などの他の所得と合算して確定申告を行なう必要があります。
まずは一時所得の金額を計算します。
「総収入金額630万円ー 収入を得るために支出した金額15万円ー 特別控除額(最高50万円)= 一時所得の金額565万円」
一時所得は、その所得金額の2分の1に相当する金額を、給与所得などの他の所得の金額と合計して総所得金額を求めます。その後、納める税額を計算します。
「一時所得565万円 × 1/2 + 給与所得400万円 =課税所得合計682.5万円。
682.5万円 × 20% ー 427,500円 =937,500円」が所得税額となります。
次に(2)の、ほかに所得のない学生や専業主婦(主夫)は、一時所得のみの税額を計算します。
「一時所得565万円 × 1/2 =282.5万円。
282.5万円 × 10% ー 97,500円 =185,000円」が所得税額となります。
実際の納税額は、これらの所得税額に外国税額控除が適用されます。
【取材協力税理士】
福留 聡 (日本・米国ワシントン州)公認会計士、(日本・米国)税理士、行政書士
監査法人で上場企業の監査業務等を経験後、IPO支援、決算支援、IFRS導入支援、日米の法人の税務顧問等を行っている。本、雑誌、DVD等で約50の出版をしており、代表的な著作として『7つのステップでわかる税効果会計実務入門』がある。
事務所名 : 福留聡税理士事務所、福留聡国際会計アドバイザリー株式会社、福留聡クラウド会計給与合同会社
事務所URL:http://www.cpasatoshifukudome.biz/