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98%が負担に感じる「車の税金」 JAFの改正要望について税理士の見解は?

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98%が負担に感じる「車の税金」 JAFの改正要望について税理士の見解は?
66BIRTH / PIXTA

JAF(日本自動車連盟)が行った「2023年JAF『自動車税制に関するアンケート調査』」では、約19万人の回答者の実に98%以上が、自動車にかかる税金について負担を感じているという結果に。

このアンケートによると、自家用乗用車には年11万7600円(※)の税金が課せられており、自動車を購入・保有した際の税金について、消費税を除く車体課税の負担は欧米諸国と比べて実に約1.9〜29倍にものぼるそうだ。

※排気量1,800cc、車両重量1.5トン以下の車両で、年間ガソリン使用量1,000リットルの場合(ガソリン小売価格は消費税込み171円/リットルで換算)

JAFがX(旧ツイッター)で「自動車ユーザーの負担を減らすために、税の見直しを求めます」と投稿をしたところ、いいねが1.3万、リポスト5,489と多くの人から共感を得た(https://twitter.com/jaf_jp/status/1660938910980259842)。

●JAFからの自動車にまつわる税制改正の具体的な内容は?

JAFは2024年度税制改正において、自動車ユーザーが納得できる自動車税制となるよう、要望書を提出している。具体的には以下のような内容だ。

【1】自動車税(環境性能割)の廃止/環境性能割は、自動車取得税の付け替えのようなもので廃止すべき

【2】自動車重量税の廃止/道路特定財源の一般財源化により、課税根拠を喪失しているため廃止すべき

【3】「当分の間税率」の廃止/ガソリン税等に上乗せされ続けている「当分の間税率」は、論理的な説明もなく追加負担を求められているので廃止すべき

【4】Tax on Taxの解消/ガソリン税等に消費税が課税されるTax on Taxは不可解であり、ガソリン価格高騰による負担増を考慮しても早急に解消すべき

【5】重課措置の廃止/自動車税等において、一定期間経過した車に一律に課せられる重課措置は廃止すべき

<参考>
JAF(日本自動車連盟)|2024年税制改正に関する要望書
https://jaf.or.jp/-/media/1/2590/2610/2639/2652/20231017_demanding_paper.pdf?la=ja-JP

自動車ユーザーから見れば、いずれも改正してほしいと思える内容だが、税理士の立場では見方がやや異なるようだ。

檜垣昌幸税理士に、要望事項で気になるものや見解を伺った。

●二重課税の解消→ガソリン価格低減に消費者目線では賛同できるが…

この中で気になる要望事項は「【4】Tax on Taxの解消」です。

ガソリンスタンドで給油する際のガソリン価格は、

1.本体価格
2.発揮油税(1リットル当り48.6円)
3.地方発揮油税(1リットル当り5.2円)
4.1~3の合計額に対して10%の消費税

という計算で価格が構成されているため、「発揮油税」と「地方発揮油税」という税金に対して、さらに消費税という税金を上乗せする価格になっています。

JAFの要望事項としては「税金に対する消費税の上乗せは二重課税だからおかしい」というものですが、ガソリン価格が下がるのであれば消費者の目線としては100%賛同できます。

しかし税理士の立場としては、今のまま変更しないでほしいと思ってしまう自分もいます。なぜかというと、JAFの要望通りに消費税の上乗せになる部分とならない部分に分かれると、仕訳の手間が増えるからです。

<ガソリン代1,000円(内訳:本体価格700円、発揮油税及び地方発揮油税300円)を現金で支払った場合の例>

【現状】

(借方)
車両燃料費 1,000円(内税)
(貸方)
現金    1,000円

このように、シンプルな仕訳でOKです。

【二重課税をなくした場合】

(借方)
車両燃料費 700円(内税)
車両燃料費 300円(消費税対象外)
(貸方)
現金    1,000円

このように、消費税の発生する部分と発生しない部分に分ける必要があるため、複合仕訳が必要です。

ただでさえ、インボイス制度や電子帳簿保存法により会計入力の手間が増えている昨今、ガソリン代の仕訳についても手間が増えるとなると、税理士や会社の経理部の負担が増大します。

そういう意味で、単純に二重課税を排除するというためだけに、この要望が実現されるのは税理士の立場としては賛同できないのです。

今後の自動車にまつわる税制については、なるべく消費者の負担が軽減されると共に、それを処理する側の立場に沿ってシンプルな処理で済むように改正されていくことを願っています。

【取材協力税理士】
檜垣昌幸(ひがき まさゆき)税理士
2005年大原簿記専門学校を卒業後、経営コンサルティング会社へ就職。独立したのちに自動車販売会社での取締役着任を経て、税理士事務所に就職しサラリーマン大家さんの税務を多く担当。その後に独立し年商3000万未満のスモールビジネスに特化した事務所として活動している。
事務所名 : おまかせTAX 檜垣昌幸税理士事務所
事務所URL: https://omakasetax.co.jp/

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