フリーランスでも月額数万円で社会保険に入れる?社保削減スキームの法的リスクとは
税金・お金
フリーランスにとって、毎月の国民健康保険料と国民年金は重くのしかかる負担だ。国民健康保険料は他制度に比べて保険料が割高になるケースが多く、また国民年金は会社員のように厚生年金などの上乗せ分がないため、将来受け取る年金額が少ないというデメリットがある。
これらに対して切実な悩みを持つ人の中で、最近「社会保険加入支援サービス」という言葉を目にする機会が増えている。
その仕組みは、まず個人事業主・フリーランスがサービスに加入し、毎月一定の会費を支払う。そして、業者が用意した一般社団法人等に理事や役員として籍を置き、少額の給与を受け取ることで、社会保険(健康保険・厚生年金)に加入する、というものだ。
通常、従業員が社会保険に加入するには、週の勤務時間が20時間以上、月額給与が8万8,800円以上などの条件を満たす必要がある。一方で役員の場合は、労働時間基準はなく、役員報酬が発生していれば原則として加入が認められる。
サービス業者の中には「保険料の支払いを年間100万円以上節約できる」と謳うサイトもあるが、このような裏技的手法は本当に安全なのだろうか?税務と労務の両面から、ダブルライセンスを持つ専門家である門田睦美税理士に話を聞いた。
●違法ではないもののグレーな手法。個人事業主は国民健康保険・国民年金に加入するのが原則
ーーこうした「社会保険加入サービス」の利用に、法的な問題はないのでしょうか?
現行法において直ちに違法とはいえないものの、「グレーな手法」であることは確かです。労働時間が加入の要件にならないことを利用したスキームであり、当該短時間労務が形式的であり、誰でも役員に就任できることは、法人役員の形態として歪んでいます。
業界団体の組合健保などに加入できる場合を除き、個人事業主は国民健康保険及び国民年金に加入するのが原則です。実体性のない会社役員としての社会保険加入は、将来的に否認される可能性は否めないと思います。
●「加入資格なし」と否認されると、過去に遡って保険料が徴収されるリスク
ーーもし調査などで「加入資格なし」と否認された場合、どのようなデメリットがありますか?
社会保険資格がないことで、過去に遡って本来支払うべきだった国民健康保険料や国民年金が徴収されます。さらに健康保険の資格そのものが否認されるため、その間に保険証を使って受けた診療の医療費も、一旦個人負担分を除き全額徴収されると考えます。
その後、改めて国民健康保険の資格を取得し、医療費の請求を行うことはできるものの、医療費が認められて金銭を受け取るまでには期間を要しますので、一時的に金銭的な負担を受けることになると考えます。
【編集部注】
過去に、ある法人の「役員(理事)」などの名目で社会保険に加入していたフリーランスら89名について、日本年金機構が「勤務実態がない」として被保険者資格を遡って一斉に取り消した事例があります。不服申し立てを受けた国の社会保険審査会も、最終的に「登記や業務実態がなく、役員としての実態がない」として、この取り消しを妥当と判断しました。
ーー社会保険に加入するため、自ら「法人(マイクロ法人等)」を設立する方法は問題ないでしょうか?
会社の代表として報酬を受け取る場合、社会保険に強制的に加入することになります。
ただし、社会保険に加入する目的の為だけの場合、役員報酬金額の適正性や、ペーパーカンパニーとみなされた際の費用の否認など、税務リスクが上昇します。また、法人化には以下のような追加的な作業及びコストが生じる点に注意が必要です。
・法人住民税(均等割):最低年7万円程度、利益の有無によらず納税が必要
・税理士費用:法人税申告書は複雑なため、税理士への依頼費用が発生するのが一般的
・登記費用:設立時及び株式会社の重任登記(最長10年)の登記費用及び法務作業
●合法的に負担を軽減する方法も。世帯分離の際は慎重に適用を
ーー個人事業主のままで、国民健康保険料を抑える現実的な方法はありますか?
国民健康保険料の計算は、家族単位ごとに均等割と所得割で構成されます。このうち所得割は、前年所得に一定率を乗じて計算されます。そのため、「青色申告特別控除(最大65万円)」を活用したり、「経営セーフティ共済」の掛け金を全額経費に算入したりすることで、所得を減少し負担を下げることができます。
また、国民健康保険には世帯上限があるため、2世帯を合併して上限に達することで、合計保険料が減少することがあります。
逆に、親と世帯分離を行うことにより親世帯の国民健康保険料が減少することもあります。ただし、所得税の扶養控除や、相続の「小規模宅地等の特例」、子または親が加入している社会保険の扶養認定に影響するため、慎重に適用する必要があります。
なお、勤務先の倒産等により退職し、国民健康保険料に加入される場合には「特定受給資格者」として、一定期間において前年の給与所得を30%として計算してもらえることもあるので、当該措置の適用の検討をお勧めします。
【取材協力税理士】
門田 睦美(かどた・むつみ)税理士
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事務所名:門田睦美税理士・社労士事務所
事務所URL:https://kadotaltasroffice-lp.com/















