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254億円寄付の70代夫妻、私財を投じて社会貢献。財産を未来に活かす「公益法人」のしくみを解説

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254億円寄付の70代夫妻、私財を投じて社会貢献。財産を未来に活かす「公益法人」のしくみを解説
kai / PIXTA

兵庫県・宝塚市は2月3日、宝塚市に住む70代の夫妻から、約254億円の寄付を受けたことを明らかにし、大きな話題となった。

寄付をしたのは宝塚市内の70代の夫妻で、老朽化した宝塚市立病院の建て替えの資金として250億円、手術支援ロボットの購入費用として4億円を寄付したという。

類を見ない巨額の寄付金にも驚くが、夫妻は阪神淡路大震災時のボランティアをきっかけに、私財を投じて財団を設立。「財産を個人だけで占有するのでなく社会に還元したい」との想いで、以後20年以上にわたり、公益財団法人において社会貢献活動を行ってきたという。

公益財団法人での社会貢献の例としては他にも、ソフトバンクグループ代表の孫正義氏が設立した「孫正義育英財団」があり、特定の学問専攻、研究、事業展開などを志す人に対して資金援助を行っている。

それでは、公益法人とはどのようなものなのだろうか。

●公益法人は行政庁からの認定が必要

民間法人は、株式会社や合同会社などの「営利法人」と、公益社団法人や公益財団法人などの公益法人、NPO法人、社会福祉法人といった「非営利法人」に分別される。

「公益法人」は、一定の基準を満たし、行政庁から認定を受ける必要があるという点において、一般社団法人などとは異なる。

資産家が私財を投じて活動を行う場合には、公益財団法人を設立するケースが多いが、なぜだろうか。上仲孝明税理士に聞いた。

●公益財団法人は運用益に対する源泉所得税が非課税など、税制優遇がある

ーー資産家の方が私財を投じて社会貢献を行う際、なぜ公益財団法人を設立するケースが多いのでしょうか。

「まず財団法人では、寄付を受けた財産を運用して、その運用益で活動を行うことが多いです。そのため一度きりの活動ではなく、継続的に社会貢献活動を行うことができます。

一般財団法人の場合、利子等の運用益に源泉所得税が課されますが、公益財団法人は運用益に対する源泉所得税が非課税となっています。

そのため、多額の財産を寄付して社会貢献活動を行う場合には、公益財団法人として事業活動を行うことが多いと考えられます。また、公益財団法人に対する寄付者は税制優遇が受けられるため、寄付を受けやすいというメリットもあります。」

●公益財団法人は行政庁への報告義務のほか、適正な法人運営が求められる

ーー公益財団法人を運営する際の注意点をお教えください。

「公益財団法人は、不特定多数の利益の増進に寄与する事業を行う必要があり、行政庁に対して毎年事業報告が必要になります。

また、公益認定法に規定されている要件を満たす必要があります。例えば、役員構成には親族制限や同一団体制限があることや、財務基準として中期的に収支が均衡していること等が要件になっています。

適正な運営が行われずに公益認定が取消となった際には、一定の財産を国等へ贈与しなければならないため、適正な法人運営が求められます。」

●相続税対策を行いながら、社会貢献できるのが大きなメリット

ーー資産家の方が公益財団法人を設立することで、個人としてはどのようなメリットがあるのでしょうか。

「資産家の方が財団を設立して財産を拠出すると、その方の財産が財団へ移ることとなるため、資産家個人の相続財産が減少することになります。つまり、相続税対策を行いながら、社会貢献ができるというメリットがあります。また、財団の名称に自身の名前を付けることで後世に名を遺すこともできます。

ただし、相続税や贈与税の負担が不当に減少する結果となると認められる時は、その財団を個人とみなして相続税や贈与税を課税する租税回避防止規定があるため、慎重に検討を重ねる必要があります。

また、個人が株式や土地等の財産を財団へ寄付すると、寄付時点の時価によって譲渡があったものとみなされるため、含み益に対して所得税が課されます。

なお、株式や土地等を一定の公益法人等に寄付した場合において、国税庁長官の承認を受けた時は、この所得税が非課税になるという制度もあるため、専門家へ相談の上実行することをおすすめします。」

【取材協力税理士】
上仲 孝明(うえなか・たかあき)税理士
みずほインベスターズ証券(現みずほ証券)、KPMG税理士法人等を経て開業。財団法人に勤務した経験を活かし、公益法人専門の税理士事務所として、公益法人(財団・社団法人)の会計・税務・運営相談などのトータルサポートを行っている。
事務所名 : 上仲パートナーズ税理士事務所
事務所URL:https://upz.jp/

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