e-Tax利用は75%!個人事業主348人に聞いた「確定申告アンケート」結果発表
確定申告

2023年の確定申告は、締め切り直前のe-Tax接続障害といった目立ったトラブルもなく無事終了した。毎年のこととはいえ、年に一度の作業で、年々変化する税制改正に対応しなければならず、大変な思いをしている方も少なくないだろう。
そこで税理士ドットコムは、会員の個人事業主に対して、今年の確定申告についてアンケートを実施した。気になる結果をさっそく見ていこう。
●申告書の作成は「会計ソフト利用」が4割超
アンケートではまず、「確定申告の内容」について伺ったところ、個人事業主を対象としたアンケートということもあり、「事業(本業)に関する税務申告」が85.7%にのぼった。結果は以下のとおり。
問:あなたが確定申告したのはどのような内容ですか?(複数回答)
【1】事業(本業)に関する税務申告 85.7%
【2】医療費控除、生命保険料控除、住宅ローン控除、ふるさと納税など控除に関する税務申告 36.5%
【3】副業やアルバイト・パートに関する税務申告 23.4%
【4】株やFX、不動産など投資での利益に関する税務申告 14.9%
【5】贈与税の申告 2.3%
【6】土地や建物の譲渡所得の税務申告 2%
【7】その他 0.3%
「申告書の作成をどのような方法で行ったか」という質問に対しては、「市販の会計ソフトで作成」した人が最も多く、全体の41.8%を占めた。一方で「確定申告作成コーナー」や「e-Taxソフト」といった国税庁の申告書作成システムを利用した割合は、合わせて35%程度であった。結果は以下のとおり。
問:申告書の作成をどのような方法で行いましたか?
【1】市販の会計ソフトで申告書を作成 41.8%
【2】国税庁の「確定申告作成コーナー」で申告書を作成 19.9%
【3】e-Taxソフトで申告書を作成 15.2%
【4】税理士に依頼して申告書を作成 13.7%
【5】税務署等で入手した申告書で作成 2.9%
【6】国税庁のホームページからダウンロードした紙の申告書で作成 1.8%
【7】その他 4.7%
「その他」の回答内容には、「所得税の確定申告は税理士に依頼し、贈与税のみ自身で確定申告作成コーナーで作成」「市販の会計ソフトで作成し、e-Taxにて移し替えた」というコメントが寄せられた。
次に、「申告書の提出方法」についての質問では、実に75%の方が「e-Taxを利用」と回答した。昨今のコロナ禍の影響もあってか、税務署に行かずに手軽に提出可能なe-Taxが浸透していることがわかる結果となった。
問:申告書の提出をどのような方法で行いましたか?
【1】e-Taxを利用 75.4%
【2】窓口に持参 10.2%
【3】申告書の作成代行をした税理士が提出 6.1%
【4】郵送 5.6%
【5】その他 2.7%
「その他」の中には、「青色申告会が提出」「スマートフォンでe-taxにて送信したが、贈与税のみ郵便送付」という回答もあった。
●「時間がかかり通常業務が滞った」「入力したデータが全て消えた」などの苦労も
「今年の確定申告で苦労したこと・困ったこと」についての質問は、「作業時間の確保」という回答が29.8%と最も多かったが、「税法の理解」27.2%、「会計ソフトの使い方」24%と結果が分散した。
一方で3割近くは「特に苦労したり困ったりしたことはなかった」と回答した。
問:今年の確定申告で苦労したこと・困ったことはなんですか?(複数回答)
【1】作業時間の確保 29.8%
【2】税法の理解 27.2%
【3】会計ソフトの使い方 24%
【4】税金や所得の計算 21.9%
【5】申告書の作成 19%
【6】計算ミスや申告漏れの対応 10.8%
【7】税務署、税理士の対応 7.9%
【8】特に苦労したり困ったりしたことはなかった 29.5%
「苦労したこと・困ったこと」についての具体的なエピソードは以下のとおり(一部抜粋)。共感できるコメントも多いのではないだろうか。
・初めてだったので、記帳がよくわからないまま作業を終えて不安
・事務作業が苦手なので、集中して作業するのがつらかった
・会計ソフトへの入力をまとめて1年分行ったので大変だった
・頻繁に会計ソフトを使っていないので、操作など色々と行き詰まった
・確定申告作成コーナーで、戻るボタンを押したところ、入力したデータが全て消えてやり直しになった
・使っていた会計ソフトで消費税申告ができず、確定申告作成コーナーで対応した
・不動産の等価交換は、e-Taxでは対応できないため、郵送で申告した
・領収書の整理や仕訳の仕方で迷うことが多く、時間がかかり通常業務が滞った
・未払金の合計額が合わなくて、何度もチェックしたが原因がなかなか見つからず、時間がかかってしまった
・銀行口座に事業と個人の入出金があり、会計ソフトに自動で取り込まれたデータを事業主貸/事業主借に分ける際に混乱した
・e-Tax、マイナポータルがややこしく、質問してもたらいまわしにされた
・あまり考えずに、昨年同様の税理士に依頼してたので、税理士費用が高くついた
・費用を抑えるため、税理士に依頼する範囲を限定的にしたため、自身で作業する必要があった
・住宅ローン減税を受けているため、自宅のローン金利や固定資産税等を家事按分として経費計上するか、税理士への相談が必要だった
・税法に不明な点があり、税理士の無料相談を予約して利用した
・初めての青色申告だったので、減価償却の計算などが難しかった
最後に、「来年の確定申告はどのように対応しようと考えているか」という質問には、以下のような回答が寄せられた(一部抜粋)。
問:今年の確定申告を受けて、来年の確定申告はどのように対応しようとお考えですか?
・領収書の整理と出納帳の記入は時間を見つけてやっておきたい
・毎月ぐらいの頻度で入力を進め、まとめの時に苦労しないようにしたい
・経費削減のため、会計ソフトへの入力は自分でやって、確定申告のみ税理士に依頼したい
・今までエクセルで帳簿をつけていたが、インボイス制度もあるため、次は会計ソフトを導入しようと思っている
・e-taxソフトを使ったので、安くて使い勝手がよい会計ソフトがあれば変更も検討
・事業用カードの1本化や、医療費は都度登録するなどしたい
・税理士に相談、依頼することも検討したい
●2024年の確定申告はインボイス対応が必要に?!早めの準備が得策
本アンケートは、確定申告期間が終了した2023年3月17日〜3月23日に実施。回答者の96.8%は「確定申告(納付申告)を期限内に終えた」とのことであったが、「これから行う」と回答した人も1.7%いた。
なお、今年10月からはインボイス制度が導入され、免税事業者から課税事業者になる人が増えることが予想される。個人事業主の消費税の申告期限は3月31日までだが、確定申告と一緒に行うのが一般的だ。
そのため、毎年確定申告で苦労している人・そうでない人に関わらず、消費税申告を含めた早めの対応をする必要がありそうだ。
※アンケート実施期間:2023年3月17日〜3月23日、調査方法:税理士ドットコムに登録のある個人事業主に対しインターネットで実施、有効回答数:348