風俗で働く女子大生「手渡し給与」に悩み…「確定申告は必要ですか?」
確定申告

風俗店で働く19歳の大学生が、「日払い手渡しで何も記録がないのですが、確定申告はしたほうがよいですか?」と、税理士ドットコムに質問を寄せた。
相談者によれば、親の扶養に入っているが、「オナクラという風俗」の他にもアルバイトをしており、あわせて約80万円ほどの年収があったという。ただ風俗は「日払い、手渡し」のため、記録はない。
今回のケースのように、手渡しで記録がない場合でも確定申告は必要なのか。ナイトビジネスの税務問題にくわしい藤井一弘税理士に聞いた。
●店の嬢は「原則、確定申告が必要」
ーー確定申告は必要でしょうか
店の嬢として『報酬(取り分)』を申告する場合は原則、確定申告が必要です(なぜなら店と雇用関係がなく、事業主として申告する種類の収入所得となるためです)。
店側は手続きをしてくれませんので、自分で1月から12月までの間に稼いだ金額とそれを得るために直接かかった経費を収支内訳書・青色申告決算書に集計記載し、所得申告書を作成する必要があります。
日払手渡しで何も明細がないのであれば、店側に一度相談してみてはどうでしょう。
ーー店の「嬢」ではなく、内勤スタッフの場合には、どうなりますか
内勤スタッフは、店のオーナーから指揮、命令により管理業務や受付業務等を行い、雇用関係に基づき、給与として支給を受ける立場にあります。
店側に源泉徴収義務があるため、12月の最後の給与支給分まで勤務していれば、店側で年末調整を行い、源泉徴収票の交付や市区町村へ支払報告書の提出をするのが原則です(これは一般事業会社の法律上の取り扱いと何ら変わりません)。
●内勤スタッフは、確定申告は不要のケースが多い
ーー内勤スタッフであれば、確定申告は不要なのですね
そうです。一般の会社員と同じですね。本人にそれ以外の収入所得がなければ、確定申告書を税務署に提出する必要はありません。
ただ、雑所得や不動産所得があったり、医療費控除や年末調整では受けられない各種控除を受けたりしたい場合は確定申告をすることになります。雑所得(FXやビットコイン等)が20万円超(収入から必要経費控除後)の場合も、確定申告する必要があります。
また市区町村の住民税申告を選択することも可能です(この場合、国保料や住民税の算定がなされます)。
ーー風俗店で働く人が確定申告をする際、気をつけたほうがいい点はありますか
「確定申告の申告書作成には電子申告e-Tax制度を利用することが可能ですが、一人で進めるためには、税金や会計の知識が必要になってきます。
毎日、毎月、収入記録や経費領収証を普段集めておくことの他、各種収入控除の関係を把握して欲しいですね」
【取材協力税理士】
藤井 一弘 (ふじい・かずひろ)税理士
税理士・行政書士として、デリヘル、キャバクラ、ホストクラブ等、ナイトビジネス経営者の税務顧問やコンサルタントを手がける。税務署・国税局の税務調査・査察関連の対応歴35年。調査立会日数は400日を超える。税務調査の立ち会いはもちろん、突然の無予告調査対応、納税額、納付計画の代理交渉の実績多数。また、性風俗営業・風俗営業の警察許可申請や風俗業者の社会保険手続の実績も多数有り。日々、全国からナイトビジネスについての相談が寄せられている。
事務所名:藤井一弘税理士事務所
事務所URL:http://www.deli-kaikei.com/