相続した空き家を3年以内に売却すると最大609万円の節税!?特別控除の特例とは

社会問題となっている空き家に関しては、国も対応を進めています。相続した不動産が空き家となることが多く、今年度より相続した空き家に関して譲渡した場合の税金の特別控除が創設されました。今回はこの「空き家に係る譲渡所得の特別控除の特例」に関してまとめました。
思い出の詰まった実家を売却することにためらいのある方も、次の相続のことを視野に入れて検討してみましょう。
目次
創設された背景
空き家が増え続け社会問題となっています。衛生上や防犯、倒壊の危険などがあり、国を挙げて対策に取り組んでいます。そのひとつとして昨年度は空き家対策特別措置法が施行されました。
増え続ける空き家ですが、何が原因となるのでしょうか。根本には住宅の過剰供給の問題もあります。しかし住宅を放置しておく理由にはなりません。空き家に関しては、住宅を取得した経緯に関して「相続した」が2014年度の国土交通省の調べて52.3%の割合にのぼっています。
いつか住むかもしれないと維持していたり、売却したくても売値が見合わないなどの理由があるようです。
新設された「空き家に係る譲渡所得の特別控除の特例」は、税負担を軽くすることにより空き家の増加を食い止める目的で2019年12月31日までの期間限定で創設されました。
最大で609万円の減税
では、どれくらいの金額が軽減されるのでしょうか。譲渡所得から最大3000万円を控除することができます。
課税所得額と税額の計算方法
不動産にかかる譲渡所得税は、以下の計算式で課税所得の金額を算出し、そこに税率を掛けて算出します。
譲渡所得の金額={売却価額-(取得費+譲渡費用)}-特別控除額
譲渡所得の金額に5年を超えて所有している場合は、税率20.315%が掛かります。
特別控除額は3000万円ですので、3000万円×20.315%=609.45万円が最大で減税されることになります。
控除の要件
では具体的に適用要件を確認していきましょう。
- 被相続人の自宅であり、他に住んでいる人がいなかったもの
- 1981年5月31日以前に建築された家屋(旧耐震基準の状態)であること
- 区分所有建築物(マンション等)でないこと
- 譲渡額が1億円以下であること
- 譲渡までの間ずっと空き家であったこと
- 耐震改修をして売却するか、家屋を取り壊し土地を売却したものであること
- 相続の開始があった日以降3年を経過する日の属する年の12月31日迄に売却すること
- 2019年12月31日までの間に売却したもの
放っておくと倒壊の危険のある空き家を、改修または取り壊すよう促しています。3年という期限を設けることにより、長期間空き家状態が続くことの無いように定められています。
3年を過ぎてしまうと
前述したように、相続開始より3年を経過する日の属する年の12月末までに売却をしなければなりません。
「相続財産に係る譲渡所得の課税の特例」と選択適用ですので、こちらを選ぶこともできます。しかし「相続財産に係る譲渡所得の課税の特例」も相続税の申告期限の翌日以降3年までに譲渡していることが要件となります。
もし将来ご自身が空き家となってしまった実家に住む予定があるのなら、空き家対策特別措置法にかからないよう、管理代行サービスを頼むなど手を加えるようにしましょう。
しかし迷っている段階ならば、次の相続、自分の子供たちのことも視野に入れて検討しましょう。空き家が継続する場合には、処分を子供たちの手に委ねなければなりません。
更地にするだけでなく、自分の手で売却をするのも一案だと思います。その場合はなるべく3年以内に決断をするようにしましょう。
おわりに
現在マンションは対象外となっています。しかし相続財産がマンションで、売却したくても売れないといった方も増えてくるでしょう。空き家の対策をどうするのか、さらなる政策の整備と後押しが求められています。
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