勤務医に不動産投資がおすすめな5つの理由と節税に効果的な3つの理由
投資とは、利益を得ることを目的として、なんらかの事業に資金を投資をすることをいいます。つまり不動産投資とは、不動産事業に投資をするということです。アパートやマンションなどの物件を購入し、賃貸収入を得たり、それらを売却して売却益を得るという投資方法です。不動産投資では、賃貸収入のように定期的・安定的に得ることができる収入を「インカムゲイン」、購入した不動産を売却したときの収入(売却益)を「キャピタルゲイン」といいます。今回は、インカムゲイン投資を中心に説明をしていきます。不動産投資が勤務医におすすめな5つの理由勤務医にお勧めの資産運用方法としてよく取り上げられる不動産投資ですが、なぜお勧めなのでしょうか。主な5つの理由について紹介いたします。1.損益通算で課税所得を減らせる(節税対策)不動産投資で得た利益は不動産所得といい、給与所得と合算して確定申告することになります。例えば、不動産所得で赤字(損失)が出た場合は、給与所得からその損失分を控除することができます。これを「損益通算」といいます。また、不動産購入にかかった支出の一部は、経費として認められていて、固定資産税や修繕費用、ローンの利息分などが控除でき、青色申告であれば特別控除も適用することができます。さらに不動産を購入した年であれば、不動産投資の収入よりも支出のほうが多くなり、赤字になることがほとんどなので、この不動産所得の赤字分を給与所得の黒字分と相殺することにより、課税所得を減らすことができます。つまり、不動産という資産を持ちながら、節税もできるということになります。※土地取得のための借入金の利子に相当する部分の金額は、損益通算の対象外となります。繰戻しによる還付請求所得税には、繰戻しによる所得税の還付請求という手続きがあり、これは「その年に生じた損失分を前年の所得金額から差引いて、税額を再計算し、差額の還付を受けられる」という制度です。前年度の税金が多かったなという場合は、この手続を行えば繰戻し還付を受けることができます。2.多忙な勤務医にもできる入居者の募集や賃貸の集金、物件の管理やトラブル・クレームの対応などは、不動産管理会社に委託することが一般的です。こういった管理業務を委託しておけば、投資にかける時間が少なくて済むので、多忙な勤務医にもできる節税方法となります。3.不労所得が得られる不労所得とは、簡単に言うと「自分が労働しなくても得られる所得」のことです。一般的に、FXや株式投資も「不労所得」に該当しますが、これらの方法は、それなりの専門知識、チャートや株価の情報収集・分析などが必要になるので、投資に割く時間がそれなりにかかるということになります。さらに、デイトレードであれば、取引中はずっとパソコンの前に拘束されることになりますので、多忙な勤務医の方にとっては、この点がデメリットになると言えます。一方、不動産投資は、購入前は良い物件などの情報収集などが必要になるので、その部分では時間がかかりますが、購入さえしてしまえば、後は不動産管理会社などに委託し、自分はそれほどの労力や時間をかけずに、賃貸収入という「不労所得」が入ってくることになります。もちろん、入居者がいなければ賃貸収入は入ってこないので、良い物件、良い管理会社を見つけることが大切です。4.資産の価値が0にならない一度入居者が決まれば、賃貸収入として、毎月一定の金額が一定の周期で得られることになります。FXや株式投資はリターンが大きく、上手くすれば多額の利益を得ることができますが、仮に、会社が倒産すれば保有している資産(株)の価値が0になるなどの、リスクも大きいものとなります。不動産投資の場合は、例えば好立地な場所であったり、将来的に人口増加が見込まれる地域であるなどの、価値の高い不動産を購入すれば、急に家賃が下落するなど、価値が大幅に下がるということはあまりありません。また「現物」なので、価値が0になるということも考えにくいです。不動産投資では、大きな収益をあげることは難しいですが、「長期的且つ安定的」に収益をあげることができる投資方法であると言えるのです。5.金融機関からの融資が受けやすい購入する物件にもよりますが、不動産を購入する際には、多額の資金が必要になりますので、一般的には、ローンを組んで購入することになると思います。ローンが組めるのか、いくら借りられるのかなどについては金融機関の事前審査が必要となります。もし、審査が通らなければ、良い不動産を見つけても購入することができません。その点「勤務医」という立場の方は、社会的な信頼性が高く、他の職業の方と比較すると、ローンなどの審査に通りやすい傾向にあります。不動産投資が節税にも効果的な3つの理由勤務医の節税対策としても有名な不動産投資ですが、その節税方法は、不動産投資で会計上の赤字を出して、給与所得と損益通算して課税所得を減らすという方法です。不動産投資の具体的な節税方法とその効果について説明していきます。1.節税のポイントは「課税所得」を減らすこと日本の所得税は累進課税制度という制度で、次の表のように一律の税率ではなく、課税所得ごとに異なる税率が決められていて、課税所得が多ければ多いほど税率も高くなる。という仕組みになっています。課税所得税率控除額195万円以下5%0円195万円超 330万円以下10%97,500円330万円超 695万円以下20%427,500円695万円超 900万円以下23%636,000円900万円超 1,800万円以下33%1,536,000円1,800万円超 4,000万円以下40%2,796,000円4,000万円超45%4,796,000円課税所得とは、1年間に得た収入から経費や各種控除を引いたあとの、課税される所得金額のことをいいます。年収 - 経費(控除) = 課税所得このような仕組みのため、支払う税金を減らす(節税)には、課税の対象となる所得(課税所得)を減らせば良いので、計上できる経費や控除などの、年収から差し引ける額が多ければ多いほど節税できるということです。経費等を増やす → 課税所得が減る → 支払う税金が減る(節税)という流れです。税額計算は、このような仕組みになっているため、不動産投資での赤字(損益)分を、給与所得と損益通算することによって、支払う税金を減らせるということです。2.不動産投資でマイナスだと損じゃないの?不動産投資で赤字を出してしまったら、せっかく税金を抑えても、節税効果分との収支が合わないのでは?と心配になる方もいるかもしれませんが、必ずしもそうとは限りません。どういうことかといいますと、減価償却費などの、実際には現金の流出がない物の経費の計上や、特別控除などの各種控除が関係して、会計上の所得は赤字になっても、キャッシュフロー上では赤字にはなっていないということです。もちろん、入居者がいなければ、賃貸収入が入ってこないため、キャッシュフロー上も赤字となってしまい、そうなると節税効果と収支が見合わなくなってしまうことになります。ですから、節税効果を最大にするためには、稼働率(入居者の入居割合)を安定させ、キャッシュフロー上の赤字を出さないようにすることがポイントです。減価償却費とは減価償却とは、数年にわたって使用することができる土地以外の固定資産を、数年にわけて経費計上することをいいます。例えば、パソコンを購入した年に購入費を一括計上したとしても、翌年以降もそのパソコンを使用し続けるので、購入した年以降にもその価値が発生していると考えます。こういった実態に合わせて、減価償却費としてその費用を数年に分けて計上することを減価償却費といいます。3.経費にできる項目が増える勤務医などの給与所得者は、事業者とは異なり、業務上の支出があっても、直接経費を計上することはできません。ですが、不動産投資であれば、次のようなものが経費として認められるので、これらの支出が計上できるようになります。必要経費内容減価償却費建物、設備、構築物、リフォーム工事など管理費建物管理会社への管理費、賃貸管理代行手数料、修繕積立金修繕費クロスの張替、ペンキの塗替、畳の取替、ガラス、キッチンなど設備の破損修理各種税金土地建物に対する固定資産税(都市計画税}、登録免許税、不動産取得税、事業税税理士に支払う手数料-損害保険料火災保険・地震保険・賃貸住宅費用補償保険(当年度分のみ計上可)ローン返済額のうち利息部分初めて賃貸経営する場合・・・賃貸業務開始前の利息については土地建物の取得価額に参入する。賃貸業務開始後の利息については費用として計上既に賃貸経営している場合・・・賃貸業務開始前の利息は土地建物の取得価額に参入するか、費用計上するか選択できる。賃貸業務開始後の利息については費用として計上ローン保証料ローン期間で按分接待交際費飲食費(管理会社や税理士との打ち合わせに使用したもの)交通費運賃、ガソリン代、駐車場、車検費用(管理会社との打ち合わせや物件の確認の際に利用したもの)新聞図書費不動産や税金に関する書籍の購入費通信費通話料、通信料、郵便代(管理会社との連絡に使用したもの)消耗品費物件撮影に用いるデジカメ・パソコン青色事業専従者給与同居する家族に対して支払う給与(青色申告者のみ)未回収の家賃事業的規模の場合・・・未回収の家賃が回収不能と確定したときは、貸倒損失としてその年の費用として計上事業的規模でない場合・・・未回収の家賃が発生した年に遡って更正の請求を行い、税金を還付してもらう火災や地震で発生した損失青色申告者及び白色申告者ともに対象(保険金でまかなった修繕費は経費とはなりません、細かい点は事業的規模かどうかで異なります)不動産投資を始めたときの注意点不動産投資をはじめたら、届出や確定申告が必要になります。このような注意点がいくつかありますので、確認していきましょう。不動産収入が発生したときの届出国税庁のホームページには、新しく不動産の貸付けを始めたときは、次のような届出書や申請書のうち、該当するものを提出する必要がある、と記載されています。提出を忘れても、法的に罰せられることはありませんが、後述する青色申告の特別控除や損益通算が適用できなくなりますので、これらの書類に関しては、投資開始後すぐにでも、提出した方が良いでしょう。不動産投資をしたら確定申告が必要になる不動産投資をはじめたら、会社の年末調整とは別に、自身で確定申告を行う必要があります。基本的には、副業で得た所得が年間20万円以下であれば、確定申告は不要ですが、赤字が出た場合は別です。給与所得者は、毎月の給与から所得税を支払い済みなので、確定申告をすることにより、赤字額の課税分に対する所得税が還付される事になります。不動産収入がある方の確定申告方法の詳細は、今後別の記事で紹介いたします。損益通算時の注意点次のような不動産所得の赤字については、損益通算できないとされています。不動産所得で65万円控除を受ける方法とは?不動産所得は、家賃・更新料・共益費などの収入金額から、減価償却費・管理修繕費などの必要経費を引いて、算出します。総収入金額 - 必要経費 = 不動産所得次のいずれかの基準に当てはまる時は、青色申告の承認申請書を提出していれば65万円の青色申告特別控除を受けることができます。貸間、アパート等については、貸与することのできる独立した室数がおおむね10室以上であること。独立家屋の貸付けについては、おおむね5棟以上であること。上記のいわゆる5棟10室基準の事業的規模要件を満たすと、青色申告の事業専従者給与又は白色申告の事業専従者控除が利用でき、さらに複式簿記で記帳し、貸借対照表を添付するなどの一定の要件を満たせば、青色申告特別控除の65万円が適用できるようになります。これらの基準に当てはまらない場合でも、青色申告の承認申請書を提出していれば10万円の青色申告特別控除を受けることができます。節税額の簡易シミュレーション年収1000万円の勤務医が、不動産投資で100万円赤字がでたとして、どれくらい節税できるのか、シミュレートしてみます。 課税所得額所得税節税対策なし10,000,000(年収) - 2,200,000(給与所得控除) = 7,800,0001,158,000円不動産所得として申告10,000,000(年収) - 2,200,000(給与所得控除) - 1,000,000(赤字分) = 6,800,000932,500円不動産所得として申告(事業的規模)10,000,000(年収) - 2,200,000(給与所得控除) - 1,000,000(赤字分) - 650,000(特別控除) - 2,000,000(専従者給与)= 4,150,000402,500円不動産所得として申告した場合は、約22万円の還付。不動産所得(事業的規模)として申告した場合は約75万円の還付を受けることができます。※配偶者控除や医療控除などの各種控除は省略し、その他の条件についても簡略化して計算していますので、実際の税額とは異なります。おわりに不動産投資が勤務医にお勧めな理由と節税効果について、お分かりいただけだでしょうか。この記事では、不動産投資の「空室・滞納・金利上昇」などのリスクについてはあまり触れていません。ですから、これから不動産投資をはじめようとしている方は、こういったリスクについても念頭に置いて、良く検討することをお勧めいたします。また、損益通算で節税を狙うというのも、投資という観点からみた不動産投資とは異なりますので、注意してください。