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チュート徳井さん1億円超の申告漏れ…国税局はいかにして「悪質」と判断したのか

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チュート徳井さん1億円超の申告漏れ…国税局はいかにして「悪質」と判断したのか
会見で質問に答える徳井義実さん(写真:アフロ)

お笑いコンビ・チュートリアルの徳井義実さん(44)が設立した会社について、2018年3月期までの7年間で、1億円を超える申告漏れを東京国税局に指摘された。

報道によると、徳井さんは、所属先の吉本興業から支払われるテレビ、ラジオ出演料を、個人で設立した会社「株式会社チューリップ」を通じて受け取っていたが、2018年3月期までの3年間、法人所得約1億1800万円を申告していなかった。

さらに、2015年3月期までの4年間については、個人的な洋服や旅行、アクセサリー代など約2000万円を経費として計上していたが、国税庁は認めず、所得隠しだと指摘された。

追徴税額は約3400万円とみられ、すでに修正申告したという。

徳井さんは記者会見で、「ごまかそうとしてたんだ、と思われても致し方ないことをした」「44のおっさんが国民の納税の義務をしっかりできていなかった。恥ずかしくて穴があったら入りたい」と話しているという。

国税局はいかにして「悪質」と判断したのか。李顕史税理士に聞いた。

●悪質と判断されると、最大7年分に調査範囲が拡大される

ーー国税局は今回、どんなプロセスで判断したのでしょうか?

税務調査は通常、2日間で行われます。税務署の調査官が初日午前に、会社の概況を聞いて、会社の状況の理解を深めます。この調査官は、社長の趣味などをさりげなく聞いて、社長の私的経費が会社経費に含まれている可能性があるかどうかの目星をつけています。

そして、初日午後と2日目には、売上高の妥当性、請求書や領収証、さらに預金通帳などをチェックして、経費の妥当性(経費に入るかどうか)を確認する、という流れで進みます。

このとき、通常の税務調査の範囲は過去3年分です。ただし悪質と判断されると、最大7年分に調査範囲が拡大されます。最大7年さかのぼるのは、時効が7年であるためです。

徳井さんの場合は、2016年から2018年までの分が無申告でかつ申告漏れの金額がおよそ1億2千万円ということで、国税局は悪質と判断し、調査範囲を拡大したのでしょう。7年前の2012年から調査の対象となっていることからも、悪質という判断がなされたことが推測できます。

●「所得隠し」と「無申告」の悪質性

ーー徳井さんは会見で、「想像を絶するルーズさによって先延ばしにしてしまい、3年たってしまったということです」と釈明しています。徳井さんは把握はしていたということでしょうか?

報道によると、2012年から2015年は申告していたとのことなので、2016年以降の申告期限が過ぎた場合に、税務署からお尋ねの手紙が届いていると思います。この場合、なぜ申告が遅れているのか理由を書いて返送してください、という形で、返信用封筒までつけて税務署から手紙がくるケースが一般的です。

これは、悪意はなくてもやむを得ない事情で申告できない可能性があるためです。たとえば会社の経理を理解している唯一の担当者が病気で出社できず、社長も困っているようなケースです。やむを得ない事情がある場合は、「正当な理由」により申告期限が過ぎたものとして、加算税が課されないケースもあります。

また、おそらく税務署からは徳井さんの会社に電話もきていることでしょう。顧問税理士がいれば、顧問税理士に電話がくるケースもあります。

徳井さんには申告する機会は何度かあったはずです。

ーー2012~2015年は申告して、2016~2018年は無申告とのことでした。申告した年と無申告の年の違いはあるのでしょうか?

報道によると、2012年から2015年については、個人的な支出(アクセサリーや旅行代)2000万円を会社の経費として処理したものの、税務調査により経費と認められなかったため、「2000万円の所得隠し」があったものとされています。

はっきりとした事実関係は不明ですが、報道で「仮装隠蔽に伴う所得隠し」という言葉が使われていることから、この「2000万円」は意図的なもので悪質だと認められたものと考えられます。

また、2016年から2018年については、法人所得およそ1億2千万円を申告しなかったため、「1億2千万円の申告漏れ」があったものとされています。申告義務については理解していたはずなので、こちらも悪質だと認められるとも考えられますが、徳井さんが「無知と怠慢」を主張していることから、意図的に仮装・隠蔽を図ったものでなく、悪質性が低いと判断された可能性もあります。

●重加算税とは?

ーー重加算税がかけられたとの報道もありますが、これはどういうものでしょうか?

重加算税とは、税務署が悪質と認識・判断した場合に課される、追徴課税の中でも最も重いペナルティーです。申告したけども税額が過少だった場合は、追徴納税額の35%、申告をしなかった場合は40%の税額が課されます。

報道では、「申告漏れ」とは税務調査により指摘を受けた所得金額のうち、意図的な税金逃れではないもの、「所得隠し」とは、意図的に仮装・隠蔽をはかった税務調査で判断されたものをいっている場合が多いようです。

なお、「脱税」とは法律上は「起訴され、有罪になった」場合に使われる言葉ですが、一般には事件が送検された時点で「脱税」といわれています。

重加算税をかけられるような悪質な行為はするものではありません。きちんと申告すれば、重加算税を納税する必要がなかったのですから、余分な税金を支払ったことになります。

ちなみに、納付期限までに納税しなかったことになるので、延滞税、いわゆる納税が遅延した利息もかけられることになります。

【取材協力税理士】
李 顕史(り・けんじ)税理士
李総合会計事務所所長。一橋大学商学部卒。公認会計士東京会研修委員会副委員長。東京都大学等委託訓練講座講師。PwCあらた有限責任監査法人金融部勤務等を経て、2010年に独立。金融部出身経歴を活かし、経営者にとって、難しいと感じる数字を分かりやすく伝えることに定評がある。また銀行等にもアドバイスを行っている。
事務所名 : 李総合会計事務所
事務所URL:http://lee-kaikei.jp/

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