新型肺炎におびえるフリーランス、移動時の「マスク」を経費にできる?
計上

中国湖北省武漢市で発生した「新型コロナウイルス」による肺炎の感染が日を追うごとに拡大しています。そんな中、「マスクが経費として認められるのか」という相談が税理士ドットコムに寄せられました。
「Amazon」でマスクを検索してみると、商品の品切れや値上がりが目立ちます。通常400円前後のマスク(50枚入り、フリーサイズ)の価格は、なんと7580円(1月29日現在)にまで吊り上げられていました。それほどマスクへの関心が高まっています。
マスクそのものは仕事に直接使うわけではないのですが、経費として認められるのでしょうか。蝦名和広税理士に聞きました。
●個人事業主の場合は? 「業種・職種によって経費にできる」
「観光バスの運転手が中国からの観光客を送迎する業務に長時間従事したことによって、新型肺炎にり患しました。食事を共にしていたバスガイドも発症したことが伝えられています。
従事する職種の業務によって、り患リスクが高まることが常識的に明らかであり、万一り患した場合には相当期間休業せざるを得なくなります」
では、まず、個人事業主の場合はどうでしょうか。
「たとえば、フリーライターは取材で不特定多数の人と接触する業務に従事しています。予防のためのマスクの着用は業務のため必要と考えられます。
したがって、従事する業種・職種によっては、個人事業であったとしてもマスクの購入は業務上必要な費用として経費にできるものと考えます」
●会社員も経費申請できるの?
では、会社員の場合はどうでしょうか。
「具体的には『通勤で使うマスクをドラッグストアで購入し、領収書を会社に通してみる』というケースを考えてみましょう。
業務のための支出として認められる範囲や負担額は、会社や業種、企業規模で一律ではありません。実際にマスクの購入費用を業務のための支出と会社が認めるのか、業務関連性を認めた場合でもどの程度まで支給するかは個々の会社の判断に委ねられるところがありますのでそれぞれのお勤め先でご確認いただければと思います」
●会社が「備品」として用意する場合はもちろん経費として計上できる
「会社がマスクを購入して用意することは、通勤途中及び執務中(接客時)等におけるマスク着用による感染予防措置であり、業務関連性を有すると言えます。マスクの購入費用の支出は、会社の経費として計上することが認められると考えます」
【取材協力税理士】
蝦名 和広(えびな かずひろ)税理士
プロフィール:特定社会保険労務士・海事代理士・行政書士。北海学園大学経済学部卒業。札幌市西区で開業、税務、労務、新設法人支援まで、幅広くクライアントをサポート。趣味はジョギング、一児のパパ。
事務所名 : Aimパートナーズ総合会計事務所
事務所URL: https://office-ebina.com