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コロナショック、消費税の一時凍結や大幅減税は本当に可能なのか 現場は混乱の可能性

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コロナショック、消費税の一時凍結や大幅減税は本当に可能なのか 現場は混乱の可能性
記者会見する安倍晋三首相(3月14日、首相官邸YouTubeチャンネルより)

新型コロナウイルス感染症の悪影響が経済にも広がっています。安倍晋三首相は、3月14日の記者会見で、消費税減税の可能性を問われると、「しっかりと雇用を守り抜き、成長軌道に戻していかなければならない。何をすべきかはこうした提言も踏まえ、さまざまな可能性を想定しながら、経済財政政策を間髪を入れずに講じていきたい」と話しました。

ダウが過去最大となる2300ドルの下げ幅の翌日に1985ドルという過去最大の上げ幅を記録するなど、歴史に残る乱高下を果たし、日経平均も一時1800円下落するなど、経済全体へのダメージは計り知れない規模となりつつあります。この未曽有の事態に国は税制でどのような対策を取れるのでしょうか。(ライター・拝田梓)

●国税庁は納税猶予などを打ち出した

新型コロナウイルス感染症の影響を受け、国税庁は申告所得税等の申告・納付等期限等を4月16日に延長し、合わせて振替納税の納付日を申告所得税は5月15日に、個人事業主の消費税は5月19日に延長。事前に相談のあった納税者が一定の要件を満たした場合には所得税・法人税・消費税等国税の納税を猶予、さらに一定の条件で延滞税も免除するなど、税務行政の面では数々の施策を打ち出しています。

では、税制による支援の面ではどうでしょうか。

国は2月13日に「新型コロナウイルス感染症に関する緊急対応策」、3月11日には「新型コロナウイルス感染症に関する緊急対応策ー第2弾ー」を出しました。

これらの施策の中で現在税制上の支援策といえるものは、
・企業主導型ベビーシッター利用者支援事業の利用者は割引額が本来は雑所得として課税対象となるが、特例措置での利用に限り非課税と、非常に限定的です。

●東日本大震災、リーマン・ショック時の対策

日本では、過去、東日本大震災や各種災害の際には多数の対策が講じられました。代表的なものには以下のようなものがあります。

<東日本大震災での税制支援策>
・震災損失の繰戻しによる法人税額の還付
・被災した土地・建物・自動車などの税金の減免など
※なお、復興財源のためと称し、復興税制による増税を施行

経済的打撃が大きかった近年の出来事といえばリーマン・ショックですが、この際講じられた対策(平成21年度税制改正)は以下の通りです。

<平成21年度税制改正>
・住宅ローン減税の拡充、住宅投資減税
・中小企業の法人税軽減税率の引き下げ、欠損金繰戻還付制度の復活
・確定拠出年金制度の拡充
・環境対応自動車の自動車重量税、自動車取得税の減免

これまでの経済ダメージに対する施策は法人税の減税などで、赤字法人はそもそも納税しないことを考えれば効果は限定的です。

今後新型コロナ対策として考えられる税制は何か、考えるべきことは何か。中央大学商学部の酒井克彦教授(租税法)に聞きました。

画像タイトル 中央大学の酒井克彦教授

●消費税一時凍結「技術的なハードルは高いが、政治決断が求められる」

ーー現在の国の施策をどうお考えですか。

国税当局は確定申告期限の延長を早めに決定するなど、よく対応していると思います。

ーーアメリカでは給与課税減税を打ち出しました。

WHOのパンデミック宣言後にアメリカは給与課税減税を発表したものの、効果は限定的で、これは現在の市場が極めてセンシティブであることの現れだと思われます。今回は、単なる金融危機という問題ではなく、実体経済を直撃しているものですし、中国という経済牽引役がいたリーマン・ショックの時とは異なり、米国、中国、欧州が同時にインパクトを受けている状況は楽観視できないと思われます。

ーー日本政府に期待されることは何ですか。

政府は第3次の対策を発表するようですが、頼みの綱のオリンピックも2020年開催が現実的に難しくなっている局面ですから、極めてインパクトの強い施策が期待されます。そこで、税制に関していえば、例えば自民党の有志などからも声が上がっているように、30兆円超の補正予算を組み、消費税の一時的凍結ないし減税を検討すべきではないかと思われます。執行技術的には相当ハードルは高いと思いますが、政治決断が求められるのではないでしょうか。

ーー消費税は「リーマン・ショック級のことがなければ増税」と2019年10月の増税前に安倍首相が発言しそのまま増税となりましたが、今回のことを契機に一時的凍結というのも考えられるわけですね。3月14日の会見でも、安倍首相は「さまざまな可能性」に言及しました。

1度施行した税目が施行されなくなったというのは、これまでに例がないわけではありません。「地価税」がそれで、条文は残っていますが凍結という扱いです。廃止せずに、施行しないという形になっています。そういう前例があることはあります。

他方、軽減税率で全商品を0%にするといった手段もあり得ますが、そうすると、消費税減税前に仕入れた商品の仕入税額控除を認めることになります。要するにそれらは全て還付になるわけですが、これは想像を絶しますね。

世論形成はしやすいでしょうが、現場には混乱が生じそうです。免税措置と同様の効果を期待できますが、税込価格の値下げにつなげられなければ意味がありませんから、この施策は、行政機関による値付け(表示)への関与がセットになりますね。

むしろ今回10%に上げた税率を8%に戻す、あるいはそれでは足りないでしょうから5%に戻す、その方が現実的ではあると思います。要するに、今回の増税はなかったことにする、評判の悪かった軽減税率をなくすということも含意します。

9ー12月のGDP統計は速報値から下方修正され、年換算マイナス7.1%になり、これは明らかに消費税増税の影響がありました。1ー3月期のGDP統計速報が5月18日に出ますから、これが出る前に議論を始めた方がいいのではないかと思います。

新薬開発が劇的に現状打破をしてくれることを強く期待したいですが、それを座して待っているわけにはいきませんからね。

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