いまだに「税別表示」のメニューや値札、なぜ罰則がない? 消費税総額表示の義務化 - 税理士ドットコム

税理士の無料紹介サービス24時間受付

05075861865

  1. 税理士ドットコム
  2. 税金・お金
  3. 消費税
  4. いまだに「税別表示」のメニューや値札、なぜ罰則がない? 消費税総額表示の義務化

いまだに「税別表示」のメニューや値札、なぜ罰則がない? 消費税総額表示の義務化

消費税

いまだに「税別表示」のメニューや値札、なぜ罰則がない? 消費税総額表示の義務化
4月以降も税別表示されているメニュー

商品やサービスの価格に消費税を入れて表示する「総額表示」が義務化されて10日ほどたった。街を歩いてみると、ほとんどの事業者が総額表示に切り替えているが、一部の店では税抜き価格のみの表示で、徹底されているとは言い難い状況だ。総額表示をしない事業者に国はどう対応するのか。財務省に聞いた。(ライター・国分瑠衣子)

●最初の総額表示義務付けは2004年から

総額表示というのは、税込価格のこと。例えば10,000円の商品があったとする。これまで見かけた「10000円+税」という表示はダメ。「11,000円」「11,000円(税込み)」「11,000円(税抜き価格10,000円)」などと表示しなければいけないルールだ。

実は総額表示は今始まったばかりではない。消費税の歴史とともに振り返ってみたい。日本で消費税が導入されたのは1989年4月から。32年も前だ。当時の税率は3%で、価格表示の仕方に決まりはなかった。

1997年4月に税率が5%に上がり、しばらくたった2004年4月1日に総額表示が義務付けられた。消費者に分かりやすい価格表示をすることが目的だ。通信社が配信した当時の写真を見ると、総額表示切り替えのタイミングで割り引きセールをするスーパーの様子が紹介されている。

義務付けの流れが変わったのは2014年4月、消費税率が8%に引き上げられるタイミングだ。当時は翌2015年には10%に引き上げられる予定だった。短い間に2回も税率が変われば、事業者は膨大な量の値札の付け替えをしなければならず、大きな負担になる。

このため消費税転嫁対策特別措置法で、2013年10月から税抜き表示が期間限定で免除になった。この特例が2021年3月31日で終わったというわけだ。特例期間は7年半近くあったことになる。

●財務省「総額表示は罰則を定めるものと毛色が違う」

約7年半の猶予期間が終わり、総額表示が義務化されても一部の事業者の動きは鈍い。税理士ドットコムでも、都内の洋食店やエスニック料理店、和菓子販売店、小規模の電機店などで、税抜き価格のみで表示がされていたという、義務化スタート時の様子を記事で紹介した。

総額表示だと思い込み、奮発して1200円のカレーセットを頼んだ大学生が、会計で1320円を請求されがっかりしたというケースもあった。筆者も4月上旬、都内の飲食店で食事をしたが、メニュー表には税抜き価格だけが書かれていた。会計の時にスタッフに総額表示のことを伝えたところ、「総額表示のことは知っている。今、新しいメニュー表を頼んでいるところ」という返事だった。

事業者によってばらつきある現状を国はどう見ているのか。国税庁の担当者は「特例措置の期間に、国税庁ホームページやパンフレットなどで総額表示の義務化を周知してきた」と説明する。その上で「事業者は、消費者に分かりやすくするためという制度の主旨を理解してほしい」と訴える。

総額表示をしない事業者に罰則はないのだろうか。総額表示を定めた消費税法第63条を見ると、罰則はない。財務省主税局に聞くと「確かに税法では、脱税など納税義務に違反するものには罰則を定めている。でも消費税の総額表示は消費者に望まれているもの。(罰則を定めるものと)毛色が違うというか、性質が異なる」と説明する。

「総額表示は『当局VS事業者』という構図ではなく、恩恵を受ける消費者という『第三者』がいる。今、税抜き表示だけをしている事業者もいずれ表示を変えざるを得なくなると考えている」(担当者)。

各地の税務署では、総額表示について事業者からの相談を受け付けている。電話相談にも対応する。国税庁の担当者は「意外と多い問い合わせが『総額と税抜き価格の両方を書いていいのか』という質問。もちろん大丈夫」と話す。

●「痛税感をなくすための総額表示」というのは陰謀論か

経済学者や政治家の中には、段階的に税率を引き上げる中で、総額表示で増税を目立たなくして痛税感をなくすためではないかと見る向きもある。

財務省の担当者に聞いてみると「そのような意図はない。税込み表示だけを強制すると、痛税感をなくすためだろうと邪推されてもしょうがないとも思うが、税抜き価格を併記する方法もあるので指摘は違う気がする」と困惑気味だ。
 
「2019年の軽減税率導入ほどの混乱はみられない」(国税庁)という今回の総額表示だが、商品やサービスの価格表示の足並みがそろうのはまだ先になりそうだ。

消費税の他のトピックスを見る

新着記事

もっと見る

公式アカウント

その日配信した記事やおすすめなニュースなどを、ツイッターなどでつぶやきます。

協力税理士募集中!

税理士ドットコムはコンテンツの執筆・編集・監修・寄稿などにご協力いただける方を募集しています。

募集概要を見る

ライター募集中!

税理士ドットコムはライターを募集しています。

募集概要を見る

「税理士ドットコム」を名乗る業者にご注意ください!