「ほぼ東京」自虐PRまでやった川口市が人気で税収増、マンション開発がもたらす未来 - 税理士ドットコム

税理士の無料紹介サービス24時間受付

05075861865

  1. 税理士ドットコム
  2. 税金・お金
  3. 固定資産税
  4. 「ほぼ東京」自虐PRまでやった川口市が人気で税収増、マンション開発がもたらす未来

「ほぼ東京」自虐PRまでやった川口市が人気で税収増、マンション開発がもたらす未来

固定資産税

「ほぼ東京」自虐PRまでやった川口市が人気で税収増、マンション開発がもたらす未来
川口市の定住促進サイト、「きゅぽらん」が魅力を訴える(https://www.1110city.com/promotion.html)

埼玉県川口市の2021年度の税収が当初見込みより増えたことが話題になっている。都心に近い割に家賃相場が安く、環境も良いため転入者が増えていることが理由のようだ。JR川口駅周辺ではマンション開発が進み、住宅ローン大手が発表する「本当に住みやすい街大賞2021」で2年連続トップに輝いた。この勢いは続くのか。川口市や、マンション事情に詳しい専門家に聞いた。(ライター・国分瑠衣子)

●バブル期以来、年度途中の増額補正という「嬉しい誤算」

「荒川のこっちと向こうというだけで、マンションの価格が25%くらい違うきゅぽ~。この川口も選択肢に入れていただけませんか?」。都心でマイホームを探している4人家族に向かって、川口市のマスコットキャラクター「きゅぽらん」がこう訴える。川口市が作ったPRアニメ「お願い住んで 川口市」の一場面だ。

ちなみにきゅぽらんは「鋳物のまち」である川口市を象徴し、鉄を溶解するための炉の「キューポラ」がモチーフになっている。アニメの中できゅぽらんは「ほぼ東京」だとして、東京駅まで電車で23分ということもアピールする。

この捨て身のPR戦略が功を奏したのかは分からないが、川口市の2021年度の市税(市民税、固定資産税、都市計画税)は市の当初の見込み額より計34億円上回り、約943億円に上る見通しだ。年度途中の増額補正はバブル期の1989年度以来になる。

川口市税制課の担当者は「JR川口駅や東川口駅周辺ではマンション開発が進んでいる。ここ数年、都内などから転入者が増え続けているので、税収増の要因として考えられる」と話す。

川口市の人口は2021年1月1日現在で約60万7300人。5年前より約1万4600人増えた。2012年から転入者数は毎年3万人を超えている。

市税制課によると、21年度は新型コロナウイルスの影響で市民の所得が減り、税収が減ると想定した。このため当初予算は前年度比5.6%減の909億円を見込んでいた。しかし、市民税と固定資産税は当初予算よりともに約16億円、都市計画税は約3億円増え“嬉しい誤算”になる見通しだ。増収分は、新型コロナウイルスの感染対策関連に使うことを計画しているという。

画像タイトル 川口駅周辺(K@zuTa / PIXTA)

実際に、川口市は住宅ローン大手が発表する「本当に住みやすい街大賞2021」(関東エリア)で2連覇している。この賞は住宅の専門家らが住環境や生活利便性、教育・文化環境など5つのポイントで評価する。川口市は5点満点中4.4点を獲得した。

評価されたポイントを見ると、2023年に川口駅の周辺に商業施設も入るタワーマンションが完成することや、マンションなど住宅価格がリーズナブルという点が挙げられている。市税制課の担当者も「これまでの街づくりの取り組みが評価された。ありがたいことです」と話す。

実際、どのくらい家賃相場が安いのだろうか。不動産情報・住宅サイトの「SUUMO」で荒川をはさんで向かい側の東京都北区と、川口市の家賃相場を比較してみた。ファミリー世帯を想定し「マンション」「3LDK/4K」で検索してみると東京都北区の家賃相場が16.1万円に対し、川口市は10万円だった。4割ほど安い。アクセスがいい京浜東北線沿線ということや、川口駅から電車で5分ほどの赤羽から多くの路線に乗り換えることができることも人気の理由だ。

●タワマンのはしり「エルザタワー55」にみる課題

不動産問題に詳しい専門家は川口市の税収増をどう見ているのだろうか。税理士でマンション管理士の資格も持つ宮路幸人氏は「川口市は都心へのアクセスが便利で自然が豊か。コロナ禍でテレワークが浸透し、住み替えを検討した都心のファミリー層が転入しているのではないか」とみる。宮路氏の周囲でも最近、川口市に転入した人が複数いるという。ただし、川口市は広く、マンション開発が進むのはJR川口駅前などほんの一部に限られている。

マンションの魅力について宮路氏は「駅に近い立地に住むことができ、かつセキュリティーが高い。また、戸建てのように階段の上り下りがないため高齢者でも安心して住めるという魅力がある」と説明する。一方で「川口市に限った話ではないが、将来マンションの売却を考えている人は、資産価値が下がるリスクがあることを頭に入れておいてほしい」と話す。

「マンションは立地がほぼ全てと言われています。コロナ禍とはいえ、やはり東京の都心である山手線内側や周辺は値崩れしづらい傾向があります。が、東京都ではなく埼玉県である川口のマンション価格が今後どうなるかは不透明です。建てすぎて供給過剰にならなければよいのですが…」

宮路氏は「資産価値という面では、自然災害のリスクも要注意」と指摘する。2019年10月の台風19号で、神奈川県川崎市の武蔵小杉のタワマンが浸水被害を受けたことをきっかけに、タワマンのデメリットが知られるようになった。川口市のハザードマップを見ると、隣接する荒川や市内を流れる芝川・新芝川だけではなく、離れた利根川からも氾濫した水が流れてくる恐れがあると書かれている。

マンションは管理費や修繕積立金も発生する。川口市には1998年竣工の「タワマンのはしり」とも言える大規模マンション「エルザタワー55」(185・8m)がある。

画像タイトル 右側がエルザタワー55(夏夫 / PIXTA)

このエルザタワーが2015年から約2年がかりで大規模修繕をしたが、この時、修繕費は約12億円かかったと報道された。「マンション購入を検討する場合は、ローン以外の費用がかかることも考えてほしい」(宮地氏)。

コロナ禍で一躍脚光を浴びた川口市。発信する情報は、もはや自慢にしか見えないかもしれないが、親しみやすさを前に出した自虐PRが終わってしまうのは少し寂しいので、ぜひ続けて欲しい。

固定資産税の他のトピックスを見る

新着記事

もっと見る

公式アカウント

その日配信した記事やおすすめなニュースなどを、ツイッターなどでつぶやきます。

協力税理士募集中!

税理士ドットコムはコンテンツの執筆・編集・監修・寄稿などにご協力いただける方を募集しています。

募集概要を見る

ライター募集中!

税理士ドットコムはライターを募集しています。

募集概要を見る

「税理士ドットコム」を名乗る業者にご注意ください!