「酒税」の仕組みとは?見直しで安くなるって本当?

お酒には消費税とは別に「酒税」と呼ばれる個別の税金が課せられています。酒税は税制度が複雑であることなどから、将来的に簡素化しようとする流れも出てきています。
そこで、このページでは、酒税の制度や、現時点で将来的にどう変わる可能性があるのかについてまとめました。
目次
お酒に課される税金の種類
ビールや日本酒などのアルコール度数1%以上の飲料には「酒税」と「消費税」の2種類の税金が課されます。これらの税金の概要を簡単に説明します。
酒税とは?
酒税とは酒類を消費する際に課される税金のことで、消費者が負担する間接税です。酒税法では酒類を「発表性酒類」、「醸造酒類」、「蒸留酒類」、「混成酒類」の4つの種類に分けて、それぞれに基本税率を定めています。さらにその4分類を17品目の種類に区分して税率を設けています。
消費税とは?
消費税とは商品やサービスを消費する際に課される税金です。この消費税はお酒にも課されます。お酒に対する課税は「酒税を含んだ小売価格」に対して行われます。
現在の酒税の仕組み
2017年4月現在で使われている酒税の仕組みについて、主に酒税の定義や税率について見ていきましょう。
酒類の定義は「アルコール度数1%以上の飲料」
酒税法においては酒税の課税対象である酒類を「アルコール分1度以上の飲料」として定めています。ただしアルコール含有医薬品・医薬部外品などは酒類に含まれない決まりになっています。
酒類の税率は「区分ごとに税率を設けている」
酒税法においては酒類を4種類に分類して基準税率を設けています。それが以下のとおりです。
- 発泡性酒類:220,000円/1kl
- 醸造酒類:140,000円/1kl
- 蒸留酒類:200,000円/1kl
- 混成酒類:220,000円/1kl
さらにそれぞれの分類には以下の品目が含まれています。そして、これら1つ1つに酒税が定められているのです。
- 発泡性酒類:ビール、発泡酒、その他の発泡酒類
- 醸造酒類:清酒、果実酒、その他の醸造酒
- 蒸留酒類:連続式焼酎、単式蒸留焼酎、原料用アルコール、ウイスキー、ブランデー、スピリッツ
- 混成酒類:合成清酒、みりん、甘未果実酒、リキュール、粉末酒、雑酒
酒税の課税方式には「単段階課税」が採られる
酒税の課税方式には「単段階課税」が採られています。これは酒類の製造者、または酒類を保税地域から引取る者が納税する方法です。納税義務が生じるタイミングは以下のとおりです。
- 酒類の製造者:酒類の製造上からの移出時
- 酒類を保税地域から引取る者:保税地域からの引取り時
なお、これはあくまで酒税を納税する人についての話です。税金を払うのは酒類を消費する消費者である点には注意してください。
酒税の税制改革について

2017年の税制改正を受けて、酒税法が段階的に簡素化する予定となっています。そこで種類ごとにどのように変わるのかを見ていきましょう。
発泡性酒類では「ビール、発泡酒が安くなる」
発泡性酒類は将来的(2026年10月)に税率を一本化する予定になっています。そのうえ、現在の1キロリットル当たりの税金を220,000円から155,000円まで低くする予定です。これによりビールや発泡酒などは今までよりも税率が低くなり、「新ジャンル(第3のビール)」の税率が高くなります。
また2018年4月1日からはビールの麦芽比率も現行の67%から50%へ引き下げます。さらに果実及び一定の香辛料も副原料に加えることになっています。
醸造酒類では「日本酒が安くなる」
醸造酒類も発泡性酒類と同様で、将来的に税率を一本化する予定です。現行では1キロリットル当たり140,000円であるのが、これにより100,000円まで低くなります。結果として、日本酒などの清酒は税率が低くなりますが、ワインなどの果実酒は税率が高くなる予定です。なお、醸造酒類の一本化は2023年10月からとされています。
蒸留酒類では「税率の特例を見直す」
蒸留酒類の酒税自体の見直しは行われませんが、「低アルコール分の蒸留酒類等に係る酒税の税率の特例」は見直しが実施されます。ただ、今まで「9度未満であれば80,000円」と定められていたものが、「11度未満であれば100,000円」となるものです。つまり、アルコール分9度~11度までの蒸留酒が高くなってしまいます。
混成酒類では「基準税率を引き下げる」
混成酒類は現行だと1キロリットル当たり220,000円ですが、2020年から200,000円まで引き下げます。
酒税の見直しは10年間かけて実施する
2017年の税制改正をうけて、2026年10月までの10年間で段階的に酒税の見直しを実施していく予定となっています。ただし、この見直しは消費者や酒類製造者への影響を考慮したり、経済等の影響を考慮したうえで行われるとされれています。そのため、あくまで2017年4月時点における改正予定ですので、ご注意ください。
おわりに
酒税は複雑な税制度であるため、今後10年間をかけて見直しをしていきます。この見直しによって安くなるお酒もあれば、高くなるお酒もあります。一般的な家計にも関係のあることだからこそ、今後の改正実現が気になるところですね。
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