印紙税ってなに?収入印紙を間違えたり多く払ったときの「印紙税の還付手続き」まとめ

収入印紙は、印紙税を徴収するための証票としての役割を担っています。
収入印紙が必要になる代表的な書類のひとつが「領収書」です。コンビニなどでアルバイトをしたことがある方は、領収書に収入印紙を貼ったという経験がある方もいるでしょう。
印紙税は、領収書だけではなく、一定額以上の取引で作成される契約書などの文書に対して課税されます。
そもそも印紙税とはなにか、どんな文書に課税されるのか、間違えた金額を貼ってしまったり、収入印紙を貼った文書が不要になってらどうすれば良いのか。など、印紙税にまつわる様々な疑問を解説いたします。
目次
印紙税とは
印紙税とは、国に納める「国税」のひとつで、印紙税法に定められている一定の文書に対して課税されるものです。
印紙税を課す理由について簡単に説明すると「文書で取引事実を明確にすることにより、経済取引が安定するから」とされています。詳しい内容については”内閣参質162第9号”から知ることができます。
どんな文書に課税されるの?
印紙税が課せられるのは、以下の全てに該当する文書です。
- 印紙税法別表第一(課税物件表)に掲げられている20種類の文書に記載があるもの。
- 当事者の間において課税事項を証明する目的で作成された文書であること。
- 印紙税法第5条(非課税文書)の規定によって課税のされない非課税文書でないこと。
課税文書は身近なところだと「領収書」「株券」「土地賃貸借契約書」等があります。
原則として、印紙税は課税文書に課される印紙税相当額の収入印紙を課税文書に貼り付ける方法で、印紙税を納付します。この際に、貼り付けた収入印紙に消印または署名をするのを忘れないように注意しましょう。
間違えて納付した印紙税はどうする?
もし、印紙税を間違って払った、多く(少なく)払っていた、収入印紙を貼り付けた文書が不要になったという場合はどうすればよいのでしょうか。
還付手続きができる
還付が必要となるケースで一番多いのは、「1千円でよかったのに、2千円の収入印紙を貼り付けてしまった。」など、必要以上の金額を貼り付けてしまったという理由ではないでしょうか。
誤って収入印紙を貼り付けてしまった場合は、所定の手続きを行えば印紙税の還付や充当を受けることができます。
印紙税の必要のない文書の場合
もし、印紙税の必要のない文書に印紙を貼った場合、例えば「契約書を作成して印紙まで貼っていたのに先方の変更で急遽の書き直しを要求された」というケースはどうなるのでしょうか。
国税庁によると、還付の対象となるものは以下の3つに当てはまる場合とされています。
- 貼る金額が多すぎたもの
- 印紙税の納付を必要としない文書に収入印紙を貼ったもの
- 使用する見込みの無くなった課税文書
印紙税の納税義務は、書類作成時ではなくその文書を目的に沿って行使した際に発生します。
つまり、上記のケースだと契約物が納品されてない文書(使用する見込みの無くなった課税文書)に該当するので還付可能です。
印紙税を貼り忘れたまたは少なかった場合
印紙税を貼り忘れたり、少なかった場合は、気がついたときに正しい金額に直しましょう。
税務調査で貼り忘れや金額の誤りを指摘されると、その納付しなかった印紙税の額とその2倍に相当する金額との合計額、すなわち当初に納付すべき印紙税の額の3倍に相当する過怠税が徴収されることになります。
再利用はできないの?
もし、消印(または署名)がされていない収入印紙であれば、剥がして再度使用することが可能では?と考える方も中にはいるかもしれません。
しかし、印紙税法第8条によると、収入印紙を貼った時点で税金を納付した事になるとのことです。
納付したことになるとすると、それを無断で剥がしてもそれはもう印紙ではなくなり、再度貼りなおしても印紙税法第22条により、偽りその他不正の行為となって、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金が科せられる可能性があります。
よって、剥がして再利用をするのではなく、印紙税の還付の手続きや充当を受けるのが一番良いということです。
還付手続きの方法
それでは、具体的な還付の方法についてみていきます。
必要なもの
還付に必要な手順は、以下の3つの物を準備して納税地の税務署長へ持っていくだけなので、意外に簡単に手続きが完了します。
- 印紙税過誤納確認(充当)申請書
- 印紙税が過誤納となっている文書
- 印鑑、法人の場合は代表者印
申請先
納税地は、文書の種類や記載内容などによってそれぞれ異なる場合があるので注意しましょう。税務署の所在地は国税庁HPの「所在地及び管轄」から確認できます。
還付手続きにおける注意点
還付を申請する前に、知っておくべき点もあります。
手数料
還付にかかる手数料は、無料です。
「手数料がかかりそうだから少額の還付ならしなくていいや」と思っていた人もいるのではないでしょうか。
もし、過誤納をしている印紙税があれば、ぜひ還付手続きを行ってみてください。
提出時期
過誤納となっている文書の還付手続きは作成した日付から5年以内に行う必要があります。
過誤納となっている文書を長年溜めていて、期限が過ぎていた、ということがないように気をつけましょう。
逆に数年前の書類を見直して、5年以内の過誤納したまま置いていた文書を見つけて還付手続きをすれば、少しトクをした気分になるかもしれません。
還付方法
過誤納が確認、受理されれば銀行口座振込または郵便局を通じての送金となるため、還付金を実際に受け取るまでには数日かかってしまいます。つまり、その場で現金を受け取れるわけではありません。
収入印紙の交換制度を利用する
未使用か、白紙又は封筒のような明らかに印紙税の課税文書でないものに貼り付けたものであれば、1枚につき5円の交換手数料はかかりますが、最寄りの郵便局で交換が可能です。
貼り間違えた印紙はあるけど、「還付金の受取に時間がかかるのが嫌だ」、「手続きをしにいくのが面倒だ」という方はこちらの制度も利用してみてください。
おわりに
還付手続き事態は簡単ですが、手間になってしまうので、普段から収入印紙を貼り間違えていないかのチェックを癖付けておくとよいでしょう。
また、同じ内容でも電子文書には印紙税がかかりません。電子文書でのやり取りにすると、印紙税を節約することができるので、おすすめです。