ジャニーズがタレントにあげた「お年玉」は経費にならず 私的な支出との違いは?
税金・お金

「ジャニーズ事務所」とその関連会社が、事務所の所属タレントにお年玉として配っていた約9000万円について、東京国税局が経費ではないと判断し、所得税の源泉徴収漏れがあったと指摘したと報じられている。
朝日新聞(2022年12月27日)によると、藤島ジュリー景子社長は2018年〜22年の5年間、年末年始に現金が入った封筒を渡し、「交際費」として経費処理して税務申告していたという。追徴税額は不納付加算税を含めて約4000万円。
今回はお年玉が「個人的な支出」と判断されたようだが、個人的な支出と経費とはどのように区別されるのだろうか。福留聡税理士に聞いた。
●お年玉は直接事業に関係ないので賞与になる
交際費等とは、交際費、接待費、機密費その他の費用で、法人が、その得意先、仕入先その他事業に関係のある者などに対する接待、供応、慰安、贈答その他これらに類する行為のために支出するものをいいます。
そのため、お年玉は直接事業に関係なく、交際費等の定義を満たさないため、基本的に個人的な支出のため経費になりません。会社から従業員にお年玉が渡された場合は、賞与となり源泉所得税の対象になります。
また、従業員や取引先のご子息にお年玉をあげる場合は、事業に直接関わる費用ではなく、個人的な支出との区別がしづらいことから、経費として認められる可能性は極めて低いと考えられています。
●110万円を超えるお年玉→贈与税がかかる
贈与税がかからない場合に、「個人から受ける香典、花輪代、年末年始の贈答、祝物又は見舞いなどのための金品で、社会通念上相当と認められるもの」とあり、お年玉はこの中の「年末年始の贈答」に該当しますので、贈与税はかかりません。
ただ、贈与税は1月1日から12月31日までの1年間にもらった財産の合計額から基礎控除額の110万円を差し引いた残りの額に対して課税されますので110万円を超えるお年玉をもらった場合は贈与税がかかります。
【取材協力税理士】
福留 聡 (日本・米国ワシントン州)公認会計士、(日本・米国)税理士、行政書士
監査法人で上場企業の監査業務等を経験後、IPO支援、決算支援、IFRS導入支援、日米の法人の税務顧問等を行っている。本、雑誌、DVD等で約50の出版をしており、代表的な著作として『7つのステップでわかる税効果会計実務入門』がある。
事務所名 : 福留聡税理士事務所、福留聡国際会計アドバイザリー株式会社、福留聡クラウド会計給与合同会社
事務所URL:http://www.cpasatoshifukudome.biz/