堀江氏も利用する「社用車のカーリース」。節税だけじゃないメリットは?
税金・お金
日本自動車リース協会連合会(JALA)の統計によると、令和3年の新車販売に占めるリース車比率は15.29%と、年々増加傾向にある。この比率には個人ユーザーも含まれるが、法人におけるカーリースの割合が高いことが想像できる。
実業家の堀江貴文氏は以前、YouTubeの動画内で「社用車用にトヨタのサブスク(KINTO)を契約し、3年ごとに新車に乗り換えている」という旨の発言をしていた。確かに新車の高級車を社用車にすることで、対外的な信頼やステータスを得られるといった側面もあるかもしれない。
しかし、ローンで購入した場合に比べ、一般的に総支払額はカーリースのほうが高くなるのだが、カーリースを選択するとどんな利点があるのだろうか。会計上のメリットなどを、門田 睦美税理士に聞いた。
●初期費用がかからず、会計処理が簡易というメリットが
社用車のリース契約を選択した場合には、購入の際に必要となる頭金や、その他諸経費に関する初期費用がかかりません。また、一度購入すると気軽に車の乗り換えができなくなりますが、リース契約では契約変更(一定期間継続することが求められる契約もあるので注意が必要)により、車種の変更も可能であることもメリットでしょう。
さらに購入や売却の際の消費税を考慮した複雑な会計処理を行わずに、支払時にリース料を計上すればいいので、会計処理が簡易になります(一定のリース契約を除く)。
購入の場合には、車両の減価償却処理が必要であり、法人の場合、定率法が法定償却方法であるため、事業年度の損益への影響が大きく、特に購入当初は償却費が多く計上できることが利点ではあるものの、損益見込みが複雑になります。そのような会計の負担が軽減されることも、リース契約を選択する際のメリットと考えられます。
●リース契約でも「リース」と認められないケースも
――カーリースで社用車を契約した場合の、会計処理上の注意点をお教えください。
リース契約は大きく「オペレーティングリース」と「ファイナンスリース」に分けられます。さらにファイナンスリースは「所有権移転ファイナンスリース」と「所有権移転外ファイナンスリース」に分類されます。
オペレーティングリースは賃貸借として取り扱い、会計上はリース料の勘定科目を使用することが一般的です。ファイナンスリースについては資産を認識することになり、複雑な会計処理になります。ただし中小企業の場合にはファイナンスリースに該当しても、所有権移転外ファイナンスリースであれば、上記オペレーティングリースと同様の会計処理が認められています(中小企業会計要領・中小会計指針の適用)。
なお、所有権移転ファイナンスリースに該当するのは、以下のように実質的に所有権が借手側にある取引の場合です。
・リース期間終了後またはリース期間の途中で所有権が借手に移転することとされている
・リース期間終了後またはリース期間の途中で著しく有利な価格で買い取る権利が与えられている
・リース資産が借手のオーダーによる特別仕様で、第三者に再びリースまたは売却することが困難であるもの
その場合には、リース債務とリース資産を計上します。リース債務は支払いのタイミングで利息分を計上し、同時にリース資産は減価償却処理を行います。当該処理はかなり複雑ですが、通常の車両ではあまりケースがなく、中小企業であればほとんどのケースでリース料を計上することになると思います。
●スポーツカーでも社用車として認められる要件とは?
――社用車をリースする場合、経費と認められるための要件はありますか?
もちろん事業の種類によっては、社会一般的な常識では、社用車として派手な車種の利用が認められないようなケースもあると思います。ただ実際は車種の問題というよりは、どの程度業務に使用しているかが問題となります。また利用のエビデンスを残す必要があります。
たとえばスポーツカーしか保有していない法人でも、その使用のすべてが社用であり、走行距離やガソリン給油、その他営業日報により使用が確実である場合には、当該車両に関する費用、リース料についても事業関連費として損金計上が認められると解します。
逆に当該車両が一般的なもの、または軽自動車であっても、社用である証明ができない場合や私用での利用が明らかに多い場合においては、事業関連費用と認められない場合があります。仮に私用で使いたい場合には、ガソリン代などその他私用の場合のコストも分けて費用分担することも大事だと思います。
【取材協力税理士】
門田 睦美税理士
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