ポイ活で稼いだら確定申告が必要?税金がかかる意外な落とし穴とは
税金・お金

物価高騰や不況の影響などにより、スキマ時間に手軽にできる「ポイ活」は家計の負担を軽減する節約術として多くの人に活用されている。
ポイ活とは、クレジットカードや電子マネーの利用、買い物ほか、クレジットカード作成や証券口座の開設、アンケート回答など、さまざまな方法でポイントを貯めて利用することをいう。
最近では、年間に数十万〜数百万ポイントを稼ぐ「ポイ活インフルエンサー」も登場している。生活費を補うことができるほどのポイントが稼げるのであれば、ぜひ挑戦したいものだが、税金はどうなるのだろうか。岸知史税理士に聞いた。
●原則ポイントに税金はかからないが、課税対象となるケースもあるので注意
ーーポイ活で貯めたポイントに税金はかかるのでしょうか。
ー岸知史税理士
下記、国税庁のタックスアンサーのとおり、原則としてポイ活で貯めたポイントは確定申告の必要はありません。
“No.1907 個人が企業発行ポイントを取得又は使用した場合の取扱い
原則として、確定申告をする必要はありません。
1 商品購入に対する通常の商取引における値引きを受けたことによる経済的利益については、原則として課税対象となる経済的利益には該当しないものとして取り扱っています。
2 一般的に企業が発行するポイントのうち決済代金に応じて付与されるポイントについては、そのポイントを使用した消費者にとっては通常の商取引における値引きと同様の行為が行われたものと考えられますので、こうしたポイントの取得または使用については、課税対象となる経済的利益には該当しないものとして取り扱うこととしています。”
国税庁タックスアンサーより(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1907.htm)
前述のとおり、原則としてポイントに税金はかからないが、中には例外もあるようだ。
ーーポイントの獲得・利用方法により、課税対象となるケースもあるのでしょうか。
ー岸知史税理士
以下のようなケースの場合は、前述と同様に所得税の課税対象とはなりません。
・一定の店舗での買い物の金額に応じて付与されるポイント
・クレジットカード利用に付与されるポイント
一方で、以下のようなケースに該当する場合は、所得税の課税対象となる可能性があります。
・一定の店舗での買い物で獲得したポイントで金融商品を購入した場合
→一時所得として申告が必要な場合があります。
・ポイントサイト等で一定のタスクを行った際に得られるポイント
→雑所得で申告が必要な場合があります。
・ポイント付与キャンペーンや、懸賞に当選して得られるポイント
→臨時・偶発的に取得したポイントについては、通常の商取引における値引きに該当しません。そのため、そのポイントを使用した際に、その年の一時所得として申告が必要な場合があります。
・クレジットカード未払金にポイントを充当した場合
→事業所得として処理している場合は、雑収入として計上する必要があります。
このように、ポイント付与に対する課税の判断は難しいため、課税対象となる可能性がある場合は、所轄の税務署に相談するとよいでしょう。
●基礎控除額ほか課税対象となるかについて、所轄の税務署に相談も検討
ーー給与所得者・給与所得者以外の人で、それぞれ「雑所得」「一時所得」に該当する場合に、確定申告が必要となる所得金額についてお教えください。
ー岸知史税理士
令和6年度までの税制に基づき、基礎控除が48万円であることを前提に回答します。
給与所得者は、給与所得および退職所得以外の所得(「雑所得」や「一時所得」を含む)の金額の合計額が、20万円を超える人は確定申告が必要です。
給与所得者以外は、「雑所得」や「一時所得」を含むすべての所得が、48万円を超えている場合に確定申告が必要です。
ただし、令和7年度分より基礎控除が変動的に変わる予定となっています(基礎控除額48万円から58万円に引き上げ、所得金額に応じて基礎控除額の上乗せ など)。
そのため、ご自身の基礎控除額を確認した上で正しく計算するほか、不明な点があれば所轄の税務署に相談してもいいでしょう。
【取材協力税理士】
岸知史(きし・ともふみ)税理士・公認会計士
有限責任監査法人トーマツで多岐にわたる業種の助言・指導サービスを提供。独立開業後は、顧問業務や確定申告業務を中心に、300件以上の税務業務の経験。自らも参画するインターネットビジネスの事業支援、資金繰り、会計・税務処理を得意分野としている。「すべてのクライアント様に笑顔と安心を」をモットーにサポートを行う。
事務所名:岸会計事務所
事務所URL:https://kishikaikei.com/