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金価格最高値更新!金の売却益にかかる税金は?購入価格がわからない場合の対処法も解説

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金価格最高値更新!金の売却益にかかる税金は?購入価格がわからない場合の対処法も解説
kai / PIXTA

2025年10月21日、国内の金価格の指標となる田中貴金属工業の店頭小売価格は、1グラムあたり2万3,370円となり、最高値を更新した。2020年10月の参考小売価格は1グラム約6,500円のため、5年間で3倍以上に高騰したこととなる。

ウクライナ侵攻や中東情勢の緊迫化など、地政学的リスクの高まりを受け、安全資産である金の需要が強まったことなどが要因だ。なお、10月22日には金価格が急落。昨今の金価格高騰を受け、利益確定売りが広がったと見られている。

このように、昔購入した金を売却した場合には、どのような税金がかかるのだろうか。

また中には、親や祖父母などから金地金や金貨を譲り受けたという人もいるだろう。購入価格がわからずに売却した際の対処法などについて、大久保優里加税理士に聞いた。

●譲渡目的によって、利益に対して課税される税金が異なる

ーー個人が所有していた金を売却して利益が出た場合、どのような税金がかかるのでしょうか。

個人が金を売却して利益が出た場合、原則として所得税と住民税がかかります。

金を売却した年の確定申告では、金の保有期間や売買の目的に合わせて所得を計算します。確定申告した内容を元に、市区町村で住民税の税額の計算処理が行われ、翌年納付する住民税の額に反映されるという流れです。

金を売却した際には、譲渡目的によって所得区分が異なり、以下のように申告する必要があります。

・一般の会社員などの個人が金を売却した場合は「譲渡所得」
・営利目的で継続的に行われている場合は、その実態に応じて「事業所得」または「雑所得」

そのほかにも、金に関わるものとして、「金投資口座」や「金貯蓄口座」などからの利益がありますが、通常の金地金の売却とは異なり、源泉徴収のみで終了し確定申告は不要です。

●金の所有期間が5年を超えると、譲渡所得を半分に圧縮できる

ーー金を売却して利益が出た際の、計算方法を教えてください。

個人の方が、営利目的以外で保有していた金地金を売却し、利益が出たケースで解説します。前述のとおり、この利益は税法上「譲渡所得」として扱われます。

売却によって得られた利益から、課税の対象となる譲渡所得を計算し、給与など他の所得と合算した合計額に、所得税の税率(5%〜45%の累進課税)をかけて所得税額が計算されます。順を追って説明していきましょう。

ステップ1)金地金の譲渡益の計算

金を売却した時にかかる税金は、売却金額全体にかかるわけではありません。売却金額(譲渡価額)から、取得に要した費用や売る際にかかった費用を差し引いた「譲渡益」が計算の対象となります。

譲渡価額-(取得費+譲渡費用※)=金地金の譲渡益

※取得費: 金を買ったときの金額(購入手数料などを含む)、譲渡費用: 売る際にかかった費用(売却手数料など)

ステップ2)譲渡所得の計算

譲渡所得は、所有期間に応じて計算方法が変わります。

<所有期間5年以内の場合>(短期譲渡所得)
・金地金の譲渡益-特別控除50万円=課税される譲渡所得の金額

<所有期間5年超の場合>(長期譲渡所得)
 (金地金の譲渡益-特別控除50万円)✕1/2=課税される譲渡所得の金額

金の所有期間が5年を超えると譲渡所得を半分に圧縮できるので、所有期間が5年を超えてから売却した方が納税額は少なくなる点がポイントです。

また、特別控除として差し引ける金額が50万円あるので、譲渡益が50万円以下の場合は所得が0円となり、確定申告は不要です。

ステップ3)所得税の税額の計算

計算した「課税される譲渡所得の金額」が、給与所得など他の所得と合算され、その合計額に応じて所得税の税率が決まり、最終的な税額が決定します。

金地金以外にも譲渡所得があるときは、もう少し複雑になりますので税理士にご相談ください。

●2020年に1kg購入した金を売却すると、譲渡所得約740万円!

ーー以下のケースの場合、課税対象となる譲渡所得はいくらになるでしょうか。
【前提条件】2020年10月に6,500円(1グラム)✕1kgで購入し、仮に2025年11月に2万1,805円(1グラム)✕1kgで売却(購入・売却手数料は考慮しない)

まず譲渡益を計算してみましょう。

・金地金の譲渡益=(2万1,805円✕1,000g)-(6,500円✕1,000g)=1,530万5,000円

今回のケースでは、金の所有期間が5年を超えているので、譲渡所得の金額は「(1,530万5,000円-50万円)✕ 1/2 =740万2,500円」となります。

●取得費が不明だと、売却金額の95%が譲渡益となってしまうので注意

ーー贈与や相続で得た金地金等で、取得費がわからない場合は、どのように対処すればいいのでしょうか。

両親や祖父母などの親族から金地金を譲り受けた場合、取得費がわからないという方は多くいらっしゃいます。このような場合は、取得費は「売却金額 ✕ 5% 」として扱います。

前述のシミュレーションで、取得費が分からないときは以下のような計算になります。

・金地金の譲渡益=(2,180万5000円)-(2,180万5000円 ✕ 5%)=2071万4,750円

このように、取得費が明確なときより、約500万円も譲渡益が多くなってしまい、譲渡所得の計算上不利になってしまいます。

購入金額が分からない場合は「譲渡益は売却金額の95%」となり、税負担が大きく増えることになります。

金地金を贈与する場合や、子どもに相続させたい場合は、領収書や買付明細書などの書類を一緒に保存しておくことを強くおすすめします。

【取材協力税理士】
大久保 優里加(おおくぼ・ゆりか)税理士
自身の経験から「わからないことを何でも聞けるフレンドリーな雰囲気」を大切にし、相談される方のお困りごとにゆっくり耳を傾け、専門用語を使わないわかりやすい説明でご案内することを心がけている。「税理士に頼りたい、相談したいすべてのお客様にとって、優しい税理士であり続けたい」をモットーに、法人から個人まで、会計知識及び経験に裏付けされたサービスを提供している。
事務所名:おおくぼ税理士事務所
事務所URL:https://okubo-kaikei.com/

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