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没収された「現金7億円」と「金の延べ板」は誰のもの?…福岡・金塊事件、二審も有罪

没収された「現金7億円」と「金の延べ板」は誰のもの?…福岡・金塊事件、二審も有罪

違法薬物や犯罪で使用された物などは、有罪判決後、どこにいくのだろうか。中には高額な商品や現金などもあるはずで、それらは刑期を終えたら手元に戻ってくるのか疑問に思う人もいるだろう。

福岡高裁は6月19日、関税法違反などの罪に問われた韓国籍の被告4人を懲役2年6カ月(執行猶予4年)の判決を言い渡した。金塊や現金の没収も認めた一審・福岡地裁判決を支持し、被告らの控訴を棄却。日経新聞(6月19日)によれば、被告人らは2017年4月、金の延べ棒、金塊取引で得た現金7億3000万円を無許可で国外に持ち出そうとしていた。

今回のように没収された金塊や延べ板は、その後、どうなるのか。元警察官僚の澤井康生弁護士に聞いた。

●「国庫に帰属させられ国の予算として使われる」

「没収とは、犯罪に関係のある物の所有権を剥奪して国庫に帰属させる処分をいいます。その趣旨は(1)犯罪から得る利益を剥奪する(2)対象物が再び犯罪に結びつくのを防止する、この2つの目的があるとされています。

したがって、今回の事件のように没収の判決を受けた場合、没収された物は国庫に帰属させられ、国の予算として使われることになります。刑期を終えて刑務所から出てきても手元には戻りません」

犯罪に使用された物は、どのような場合に没収されるのか。

「要件を満たした場合に必ず没収される『必要的没収』(麻薬取締法や銃刀法などの特別法で規定されている場合が多いです)と、要件を満たした場合に裁判官の裁量により没収できる『任意的没収』とがあります。

本件では任意的没収が問題となります」

●「任意的没収」ができる4つのケース

どのような要件を満たせば、任意的没収ができるのでしょうか。

「『任意的没収』できる場合は、大きく分けて4つあげられます。

1つ目は犯罪組成物件にあたる場合です。犯罪組成物件とは犯罪行為の不可欠な要素をなす物です。例えば、偽造文書行使罪における偽造文書は、それ自体が犯罪行為を構成する不可欠の要素になりますから、没収されます。

2つ目は犯罪供用物件にあたる場合です。犯罪供用物件とは犯罪行為に不可欠な要素ではないが、その行為をするために提供したり使用したりしたものです。例えば、殺人行為に使用した拳銃は、殺人をするのに不可欠な要素ではないですが、殺人のために使用された物なので没収されます。

3つ目は犯罪生成物件、犯罪取得物件、犯罪報酬物件にあたる場合です。犯罪生成物件は例えば通過偽造罪における偽造通貨など、犯罪行為によって作り出されたものを指します。

犯罪取得物件は例えば強盗行為によって得た金品など、犯罪行為によって取得したものです。また、犯罪報酬物件は、例えば殺し屋が殺人を請け負った場合の報酬金など、犯罪行為の報酬として得たものです。

4つ目は上にあげた犯罪生成物件、犯罪取得物件、犯罪報酬物件の対価物件にあたる場合です。これは上記3つの物件を売却して換金していた場合に、その対価となる現金などです。例えば窃盗罪で手に入れた貴金属を売却して現金で持っていた場合には、その現金が没収の対象となります。

上記4つの要件に該当する場合、裁判官の裁量により没収されるか否かが決められます。その判断基準は一般に利益剥奪ないし再犯防止の必要性と没収対象物の財産的価値のバランスを考慮して決められます。

今回の事件では、金の延べ棒、金塊取引で得た現金7億3000万円は関税法違反との関係で、1つ目の『犯罪組成物件』にあたるので、没収の対象となりました。その上で裁判所は、金塊の密輸入と現金の密輸出を循環する犯行の構成物で、没収の必要性が高度に認められると判断しました」

●過去の裁判例では

没収の相当性が裁判で争われたことはあるのでしょうか。

「没収の相当性が問題になったケースとして、例えば次の3つの裁判例があります。いずれも裁判所は、没収とした量刑が相当であるとしてその判断を認めました。

・11回もの無免許運転や速度違反運転を行った被告人に対し、普通乗用自動車が犯罪組成物件にあたるとして没収された事件(福岡高裁昭和55年11月19日判決)

・電子メール送信によるストーカー行為を行った被告人に対し、メール送信に使用したパソコン2台が犯罪供用物件として没収された事件(東京高裁平成14年12月17日判決)。

・特殊な漁船を使用して花咲ガニの密漁を行った被告人に対し、当該漁船を犯罪供用物件として没収した量刑が相当とされた事件(最高裁平成2年6月28日決定)」

【取材協力弁護士】

澤井 康生(さわい・やすお)弁護士

元警察官僚、警視庁刑事を経て旧司法試験合格。弁護士でありながらMBAも取得し現在は企業法務、一般民事事件、家事事件、刑事事件などを手がける傍ら東京簡易裁判所の非常勤裁判官、東京税理士会のインハウスロイヤー(非常勤)も歴任、公認不正検査士の資格も有し企業不祥事が起きた場合の第三者委員会の経験も豊富、その他各新聞での有識者コメント、テレビ・ラジオ等の出演も多く幅広い分野で活躍。現在、朝日新聞社ウェブサイトtelling「HELP ME 弁護士センセイ」連載。東京、大阪に拠点を有する弁護士法人海星事務所のパートナー。代表著書「捜査本部というすごい仕組み」(マイナビ新書)など。

事務所名:弁護士法人海星事務所東京事務所

事務所URL:http://www.kaisei-gr.jp/partners.html

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