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ふるさと納税「駆け込み」「電子化対応」で大忙し 地方公務員の憂うつ

ふるさと納税「駆け込み」「電子化対応」で大忙し 地方公務員の憂うつ

「今は一番憂うつな季節ですね」ーー。関東のある自治体で働く公務員の男性がため息をつく。男性は通常業務のかたわら、ふるさと納税も担当している。年末は駆け込み利用や問い合わせが増えるため、多忙をきわめるという。

「うちはポータルサイト運営業者に委託していないんです。ふるさと納税の業務はすべて職員がやっています」

ふるさと納税で「減収」の自治体であっても、年末は通常月に比べ、3~4倍ほど寄付が増えるという。

「制度が分からない」という問い合わせも増える。通常月では1日1~2件ほどの電話が、12月に入ると10件近くになる。1件あたり最低でも10分ほど。長いと30分~1時間近くにもなるそうだ。

寄付の処理業務もあるため、年末・年始は本業の時間がほとんど取れないほどだという。戦場と化す、ふるさと納税の現場について聞いた。

●「ギリギリのふるさと納税」翌年分になることも

「年末ギリギリにネットで寄付(ふるさと納税)する人がいるでしょう」と男性は切り出す。カード決済のタイムラグで、年内にふるさと納税ができず、翌年分になってしまうことがあるという。

「なんとかならないのか」という問い合わせは「新年の恒例行事」。しかし、なんともならないそうだ。年末年始はとにかく電話対応が多い。

制度をよく知らず、自分で調べようともせず、「流行っているから」あるいは「良いことをしているから」と安易な気持ちで役所に電話する――。それが職員たちの負担になっているようだ。

●なくても良いのに…「マイナンバー」の扱いに困る

確定申告しなくても寄付控除が受けられる「ワンストップ特例」にともなう事務処理も多い。

ふるさと納税をした人から、ワンストップ特例の申請書を送られた自治体は、「この人がふるさと納税しました」と、その人が住む自治体に連絡しなくてはならない(申告特例通知書)。住所地の自治体はそれをみて、ふるさと納税をした翌年度の住民税から控除する。

つまり、自治体としては、ふるさと納税を受ける場合と、住民が他の自治体にふるさと納税した場合の2種類の処理が発生する。

男性の自治体では、この処理を別々の部署が担当していて、男性はふるさと納税を「受ける側」の業務を担当している。

ワンストップ特例の申請書は1月10日が締め切り。男性は、それまでに届いた申請書(手書き)をチェックし、ふるさと納税者の住所地の自治体に送る「通知書」をつくらなくてはならない。正月気分もすぐに吹っ飛ぶ。

「申告特例通知書にマイナンバーを記入するので、保管や持ち出しの手続きが無駄に厳重になるのも困りものです。本来マイナンバーがなくても機能するはずなので、このあたりはマイナンバーを普及させたい総務省の思惑を感じます」

申請書に記入ミスがあっても、マイナンバーが絡むため「気軽に転送や返送ができません。連絡や調整を含めるとかなりの負担になります」という。

●電子送信「楽になるけど、直前で対応きつい」

「申告特例通知書」は、紙でやりとりされてきたが、総務省の通知により、2018年分のふるさと納税から原則として、eLTAX(地方税ポータルシステム)を通じた、電子送信に切り替えなければならない。ところが、この変更への対応がまた大変だったらしい。

「話自体は4月から出ていましたが、eLTAXの運営団体(一般社団法人地方税電子化協議会)から詳しい仕様の確定やデータ作成のためのツールが提供されたのは11月の半ば過ぎでした」

そこから庁内の複数の関連部署と猛スピードで調整を重ね、ようやく対応マニュアルができたのは、12月下旬だったという。年末年始の連休が挟まる中、大急ぎで庁内に周知していくことになる。

電子送信になれば、「申告特例通知書」を受け取る部門の作業はかなり省力化される。ただし、男性のように寄付を受ける部門では、出力方法が紙から電子になるだけだから、データ入力等の主業務の労力は変わらない。

●ふるさと納税「存続させる必要があるのか?」

男性の11月の残業時間は70時間ほど。12月や1月も月80時間に近い時間が見込まれる。それでも実際に申請しているのは半分程度だ。

「超勤代(残業代)は、申請した分だけ出ることにはなっていますが、『働き方改革』で上からの超勤時間を減らせというプレッシャーが強くなっています。タイムカードを押してから超勤するなど、過少申告することが当たり前になっています」

業務量は減らないのに、時短圧力は強まる――。そんな問題も起きているようだ。

ふるさと納税は本来、生まれ育った街への「恩返し」や愛着がある自治体への「応援」という趣旨で始まった。しかし実際は、実質の自己負担金2000円でどれだけ得ができるかという部分に注目が集まりがちだ。

ふるさと納税によって得られた寄付金のうちの一部は、返礼品やポータルサイトなどの業者にわたる。本来なら、福祉などに使われていたはずのお金だ。返礼品が地場産品ならまだ地域経済の活性化という見方もできるが、自治体との関係性が読み取れないものもある。

勤め先の自治体は減収なのに、自身の仕事量はむしろ増える。だからこそ、男性はふるさと納税の課題を強く感じる。

「ふるさと納税はそもそも『受益者負担の原則』に反します。寄付文化の醸成というのなら、返礼品を一律禁止しなければならないでしょう。現状はお金持ちほど、寄付金控除額が多く、節税対策になっています。

また、地方交付税を受けている自治体なら、ふるさと納税によって減った住民税の75%分は実質的に地方交付税で補填されています。国の税金で尻ぬぐいしてまで続けるべき制度なのでしょうか」

(税理士ドットコム トピックス)

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