発達障害と診断されて…「苦手なことは人に頼る」姫野桂さんのライフハック - 税金やお金などの身近な話題をわかりやすく解説 - 税理士ドットコム

税理士の無料紹介サービス24時間受付

05075861865

  1. 税理士ドットコム
  2. 税金・お金
  3. 発達障害と診断されて…「苦手なことは人に頼る」姫野桂さんのライフハック

発達障害と診断されて…「苦手なことは人に頼る」姫野桂さんのライフハック

発達障害と診断されて…「苦手なことは人に頼る」姫野桂さんのライフハック
姫野桂さん

ライターの姫野桂さん(31)にとって、2018年は変化の多い年だった。夏には初の単著『私たちは生きづらさを抱えている 発達障害じゃない人に伝えたい当事者の本音』(イースト・プレス)、年末には『発達障害グレーゾーン』(扶桑社)と、発達障害にかかわる本を立て続けに出版した。

その一方、オーバーワークでダウンしたことも。心療内科で検査したところ同年春、自身も発達障害の当事者であることがわかった。

姫野さんは学習障害(LD)と診断されている。小さい頃から、足し算・引き算の繰り上がり、繰り下がりが苦手。ライターになる前の会社員時代は経理を担当し、ミスも多かったという。

加えて、ASD(自閉スペクトラム症)とADHD(注意欠如・多動性障害)の傾向も見つかった。人に合わせようとしすぎることや、細かい部分が気になって完璧主義になりやすいことから、疲弊しやすいのだという。

姫野桂さん著書

診断を受け、姫野さんは、できることに力を入れ、できないことはなるべく避けるか、人に任せることを意識するようになったという。具体的にはどうしているのだろうか、新著の内容とあわせて聞いた。

●「マンション断水」の張り紙に気づかず

取材当日、姫野さんの住むマンションでは、工事のため一時断水となったという。住民には張り紙で周知されていたが、姫野さんは気づかなかったそうだ。

「朝、水道が出なくて、大家さんに電話したら、2週間前から目立つところに張り紙があったって言うんです」

気がつかなかったのには、姫野さんの持つADHDの傾向が関係しているようだ。検査では、視覚分野の不注意傾向が強いという診断が出ている。「普通」なら気がつく部分に、目が行きづらい。

ライターの仕事をしていて、困ることはないのだろうか。

「私、逆に細かい部分は気になるんです。ライターって、周りがやらないことをやった方がうまくいくじゃないですか。切り口とかも。みんなの目が行くところに目がいかないのは、むしろ強みかもしれないですね」

●人に任せ、プライベートの時間を確保

一方で、細部が気になることで完璧主義に陥りやすいという診断も出ている。そこで人を頼るようにした。

「今まで人にあまり頼ってこなかったので、オーバーワークになりがちでした。締め切りがきついときや原稿に詰まったときは編集さんと相談するようになったし、ちゃんと人に頼むようになりましたね」

たとえば、取材のテープ起こし。最近は、謝礼を払って知り合いのライターに依頼することが多いという。

プライベートの時間も確保するようにした。

「フリーだから休んだらいけないと思っていたんです。休むことに罪悪感がありました。でも、休まなかったら身体を壊した。今は毎月4~5日、『この日は休み』と決めて、取材予定が入りそうでも『この日はダメです』と言うようになりました」

姫野さんの趣味はライブに行くこと。これまでは、チケットを持っていたのに、仕事でキャンセルすることも多かったが、「今は先に予定を入れたライブを優先しています」。

姫野桂さん

●税の過払い3年、税理士に頼んで還付

人に任せるという点では、税理士もつけるようになった。

確定申告では、たくさんの欄への記入が必要だ。しかし、姫野さんはLDで計算が苦手なことや、ADHD傾向による不注意からか、確定申告で何年も税金を払い過ぎていた。

「先輩のライターに紹介してもらって、業界で有名な税理士さんにお願いするようにしました。毎月、通帳のコピーと領収書を送るだけなので、本当に楽になりました。モチはモチ屋ですね。自分でできる人は良いですけど、私はできないので」

2018年は初の単著も出したが、執筆中はほかの仕事が減るので、印税が入るまで苦労したという。それだけに、税理士に過去の修正申告をしてもらい、3年分の80万円相当が還付されたのは大きかったようだ。

「そりゃ生活は苦しくなるよなってくらい損していました。手元に現金があると、こんなに心に余裕ができるんだって思いました」

●支援が届かない「発達障害グレーゾーン」

姫野さんは発達障害と診断され、ショックも受けたが、自身が抱える「生きづらさの謎」が解けて、納得した部分もあったと話す。診断を受けたからこそ、特性に合わせた対処を意識するようにもなったそうだ。

一方、新著『発達障害グレーゾーン』で取材したのは、発達障害の傾向はあるものの、発達障害そのものとは診断されない人たちだ。障害とまでは言えないから、障害者手帳や障害者雇用の対象にならない。困っているのに、公的な支援を受けられないのだ。

「仕事のミスが多いけど、診断は出ていないから、努力不足なんじゃないかと自分を責めてしまう。周りに言っても、『発達障害じゃないんでしょ』『ただの怠慢でしょ』と返されるのがオチだから、打ち明けることもできず、一人で悩んでしまうんです」

そうなると、自分が周りに合わせるしかない。結果、オーバーワークでつぶれてしまう人もいるという。

最近は、こうした悩みを語り合う当事者会が人気だといい、姫野さんの著作にも現場のルポが収められている。

●苦手なことはなるべく避ける

グレーゾーンの人(通称・グレさん)が生じるのは、「グラデーション状」という発達障害の特徴のためだ。

そして、グラデーションであるがゆえに、障害かどうかの線引きは曖昧でもある。当事者の中には、発達障害の診断を得るため、複数のクリニックを渡り歩くという人もいる。

診断が出れば、対策も立てられるし、「障害のせい」と良い意味で開き直ることもできる。だが、そうでなければ、自分を責め続けることになる。自己肯定感の低下は「生きづらさ」を抱える人に共通する特徴だ。

「発達障害に限らず、真面目な人ほど苦手なものに正面からぶつかって、より生きづらくなってしまうんです」

姫野さん自身にもそうした傾向があったが、ライターに転職し、文章を書くという得意分野を仕事にしたことで、生きづらさが緩和されたという。

姫野桂さん

姫野さんは「発達障害は『できること・できないことの差が大きい』という障害」だと強調する。得意・不得意があること自体は、発達障害もグレさんも定型発達(健常者)も変わりはない。

「たまに『生きづらさって何?』という人がいるんです。よく話を聞くと、たとえば大学受験なら、得意な科目で受けられる私立に入っている。徹底的に『苦手』を避けているんです」

得意なことを生かしつつ、苦手なことをどうカバーしていくか、あるいはどう避けていくかが重要だという。

もちろん、ときには周囲がそんな生き方を許してくれないときもあるだろう。その風当たりの強さを解消するためにも、姫野さんは今後も書き続け、「生きづらさ」を抱える人たちへの理解を促していきたいという。

(税理士ドットコム トピックス)

税金・お金の他のトピックスを見る

新着記事

もっと見る

公式アカウント

その日配信した記事やおすすめなニュースなどを、ツイッターなどでつぶやきます。

協力税理士募集中!

税理士ドットコムはコンテンツの執筆・編集・監修・寄稿などにご協力いただける方を募集しています。

募集概要を見る

ライター募集中!

税理士ドットコムはライターを募集しています。

募集概要を見る

「税理士ドットコム」を名乗る業者にご注意ください!