「税関」が戦う違法な輸出入、ついには「ゴーン入りケース」まで…その内情とは - 税理士ドットコム

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「税関」が戦う違法な輸出入、ついには「ゴーン入りケース」まで…その内情とは

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「税関」が戦う違法な輸出入、ついには「ゴーン入りケース」まで…その内情とは
カルロス・ゴーン被告人

カルロス・ゴーン被告人の国外逃亡事件は師走の世に震撼を走らせました。報道によるとその手口は、米警備会社の協力を得て関西国際空港にチャーター機で持ち込まれた音響機材ケースに潜み、同じチャーター機で国外脱出したというもの。なぜ見つかることなく脱出することができたのでしょうか。今回の出国にポイントとなったのはどうやら「税関」のようです。そもそも税関の役割とは何なのでしょうか。(ライター・拝田 梓)

●貨物に隠れるという、まさかの「抜け穴」に目をつけた

ゴーン被告人が日本脱出に使ったのはチャーター機だったと報道されています。関西国際空港では国際線ビジネスジェット機専用のターミナルがあり、チャーター代として数千万円(例:日本⇔ハワイ往復で2千万円~)と多額の資金が必要となること、搭乗する乗客が限られることからセキュリティチェックが一般に比べ厳しくないのは関係者には自明で、元・関西国際空港某航空会社地上勤務職員A氏は、「チャーター機を使うというゴーン氏の手口なら国外逃亡できるとピンときた」と語ります。

これが偽のパスポートを用意し、他人と偽って国外脱出したなどならば、担当は出入国在留管理庁になるところ。しかし貨物に隠れていたため、管轄は税関や民間の保安検査員ということになります。

一般論として、海外旅行者の携帯品や別送品などは、チャーター機であろうとも、日本に持ち込む貨物および日本から持ち出す貨物の品名および価格については、税関に申告して許可を得なければならないという法律上の定めがあります(関税法67条)。

ですが、出国時の輸出手続きは申告制。貨物を日本に運び込む際に受けた「中身は音響機材」という説明を信じ、出国時に中身を確認しなかった旨報道がなされています。つまり、ある種の「抜け穴」になってしまっていたのです。

事件を受け、成田国際空港や関西国際空港などにあるプライベートジェットの大型貨物の保安検査が義務化されました。

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●旅客情報を取得・解析、怪しい人物には目を光らせている

そもそも税関の任務とは、輸出入の通関、関税等の徴収、密輸の取り締まりなどです。税関が徴収した関税・消費税等は、年間8.6兆円(2017年度)。これは日本の国税収入の1割超にもあたります。国内で完結する商品などほとんどない現代において、我々の生活にとって実はとても縁深いのが税関です。

しかしその仕事ぶりを目にすることは少なく、多くの人にとって税関と接触する機会があるのは、海外に渡航するときでしょう。

日本を出国する日本人の場合、出国時は外国製品や多額の現金など申告するものがある場合のみカウンターへ行く方式。逆に入国時には必ず書類(携帯品・別送品申告書)を提出し税関のチェックを受ける必要があります。

□出国
航空会社カウンターでチェックイン→保安検査→(税関検査→)出国審査

□入国
(検疫審査→)入国審査→手荷物受取→(動物検疫・植物検疫→)税関検査
※( )内は申告するべきものがある人だけ

となります。

入国時の税関では、荷物や人への直接的な検査のほか、「PNR」という事前情報を総合的に見ているといいます。PNRとはPassenger Name Recordの略。航空会社などから報告された旅客情報のことで、関税法15条にその定めがあります。情報の内容は氏名や国籍、生年月日に加え、予約年月日、旅行日程など計35にも上ります。こういったデータをリスク分析することにより、ある程度怪しい人物については絞り込みが行われています。

では、税関が警戒しているのはどういった事柄なのでしょうか。

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●不正薬物から動物まで、摘発相次ぐ

税関が目を鋭く光らせているのは、やはり覚せい剤や大麻、麻薬といった不正薬物です。

・置物の中をくりぬいて隠す
・服や靴などの縫い目の中に隠す
・バッグを二重底に細工して隠す

などその手順はある程度パターン化しているそう。

「体内に飲み込んで運ぶという手法には驚愕したが、その後特別斬新な手口というのはない」(東京税関)といいます。

不正薬物の捜索に活躍するのは、皆さんご存じ麻薬探知犬、通称麻犬。全国で130頭ほど活躍中です。手荷物、貨物、郵便物など、外国から来るものをチェックしています。さらにはテロを警戒して爆発物を探知するよう訓練された爆発物探知犬もいますが、「稼働場所は非公開」(同)。

また、ワシントン条約に反した、絶滅の恐れがある動物の密輸などもチェック対象です。

最近多いのは「かわいい」と“人気急上昇”のコツメカワウソ。人気の高騰で、取引価格は80~160万円にもなるといいます。5匹密輸しようとしたものの、その内4匹が死亡したなどの悲惨な事件も。

他にかねてから密輸件数が多い動物に、スローロリスというサルの一種がいます。遅い動きと大きな目が魅力の小さなサルで、摘発されるケースもあります。

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そのほか、最近増えてきているのが、金の密輸。2013年度には133kgだった押収量が、2017年度には6,236kgと5年間で実に約47倍にも増えました。金自体は関税の対象ではありません。密輸する人間が狙っているのは、無課税の金を消費税込みで売却し、消費税の分だけ利益が出る点です。つまりは、消費税の脱税です。

金は細工したり小さくしたり、様々な手段で持ち込まれており、中には「金属反応があり身体検査をしたら肛門から出てきたなんて例もある」(同)。

逆に日本から海外に持ち出される物品の例が、象牙。国際的に象牙取引への取り締まりが厳しくなっている中、日本国内では数多く流通していることから国外へ持ち出す例も多いといいます。変わった例では、サファリパークで働いていたゾウ飼育員が、死亡したゾウの遺体を掘り返して象牙を持ち出そうとした事件も。

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●訪日外国人が増加、税関は人員を増やして対応

グローバル化が進み国を越えた人の動きが激しくなる現代、新しい時代の税関を象徴する出来事として、電子申告ゲートの登場があります。

事前にダウンロードしたアプリに必要事項を記入し、発行されたQRコードとパスポートを読み取って顔認証し、スピーディに税関を通ることができるというものです。2019年8月から成田国際空港第3ターミナルでIC旅券を使用する全ての旅客の方が利用できるようになり、2020年春からは日本各地の国際空港で運用が開始される予定です。

なお、入国審査と税関は管轄が別なため、この電子申告ゲートはあくまで税関だけのものなので要注意。

全体的に削減方向の公務員定員数の中で、訪日外国人が増加の一途をたどる今、税関だけは定員数増を果たしています(2014年度末8,791人→2018年度末9,396人)。それでも人員不足で現場では悲鳴が聞こえるとの声もあります。

水際対策の重要性が増す中、今回のゴーン被告人のような「まさかのケース」まで起きてしまいました。新手の不正を防ぐにはどうすればいいのか。今後も激しい攻防が繰り広げられそうです。

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