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マスクの購入に税制支援はないの? セルフメディケーション税制のメリットと限界

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マスクの購入に税制支援はないの? セルフメディケーション税制のメリットと限界
写真はイメージ(Road17 / PIXTA)

コロナ騒動の収束する見通しが立たない中、マスクや消毒液の需要が大幅に高まっています。市販薬をたくさん購入するとセルフメディケーション税制(以下、セルメ税制)を受けられるのですが、マスクや消毒液には適用されないのでしょうか。結論として、残念ながら得をすることはありません。では、セルメ税制とは、どのような制度なのでしょうか。(ライター・見習い師)

●言葉は知っていても、利用しづらい現状

2019年6月24日、日本OTC医薬品協会、日本一般用医薬品連合会の公表した「セルフメディケーション税制に関する生活者16万人調査」によると、「セルフメディケーション税制」という言葉を聞いたことがある人は71.3%、利用したい人は11.0%との結果となりました。言葉は知っていても、利用しづらい現状があります。

以下が、セルメ対象品目の見分け方です。

(セルメ対象)
・市販用医薬品の内、医療用と同じ成分を含むもの

(セルメ対象外)
・ばんそうこう、マスク、ガーゼ、綿棒などの薬でないもの
・消毒液
・血圧計、体温計などの医療機器
・のど飴、健康食品などの食品
・市販用医薬品の内、医療用と同じ成分を含まないもの
・発毛剤

つまり、何が対象になるのか、がわかりにくい制度です。

薬局・ドラッグストアの店員に聞いてみれば、対象になるもの、ならないものを教えてくれることがありますが、それも確実ではありません。

勉強していない店員ではわかりません。薬剤師でも、勉強していない薬剤師ではわかりません。「セルフメディケーションマーク」で見分けるのが最も確実です。

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また、セルメ対象品目の領収書には、「※セルフメディケーション対象品目」と記載されます。

税制上の仕組みについてですが、年間1万2千円を超えたら、超えた金額について、課税される所得から控除されます。なお、医療費について、年間10万円を超えた分を控除できる医療費控除の仕組みもありますが、セルメ税制とは併用ができないので注意が必要です。

●コロナ感染を避けて病院受診せずネットで花粉症の薬を購入すれば、セルメのチャンス

では、セルメ税制にメリットが大きいのはどのようなパターンでしょうか。例えば、花粉症の市販薬には、セルメ対象品が多いです。

花粉症の薬は、病院を受診して処方してもらう方が多いですが、実は、病院受診せず、ネット通販で市販薬を買うとお得になることもあります。コロナ問題が深刻化している現状では、メリットがあるといえるでしょう。

病院受診し、薬局で調剤を受けた時の3割負担は、市販薬より高くなることがあります。

例えば、市販のアレグラFX14日分(28錠入り)は、1222~1969円(カカクドットコムにて調査)で販売されています。

一方、3割負担の人が初診で病院受診し、料金の高い薬局(立地や業務内容により、薬局の料金は変わります)で先発品14日分の調剤を受けた場合の病院の自己負担額、薬局の自己負担額を合わせると2070円と、市販薬よりも値段が高くなります。さらに、紹介状なしで大病院を受診すると、医療保険自己負担分に加えて、5000円以上の保険適用外の選定療養費がかかります。

同様に、アレジオン、エバステル、ザジテンでも、3割負担の医療費よりも市販薬の最安値の方が安く購入できます。

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そのため、医療費3割負担、年に3カ月程度のアレルギーの薬しか飲まない場合、セルメ税制を受けられる分、市販薬の方が得になることもあります。

なお、上記の病院、薬局の費用は、1箱あたりの日数で、先発品の飲み薬1剤だけ処方された場合の料金です。目薬、点鼻薬も一緒に処方されている場合、ジェネリック医薬品利用の場合または処方日数が長い場合は、病院、薬局の方が安くなることもあります。

●セルメ税制があまり普及しない理由

一定のメリットもあるセルメ税制ですが、なぜ普及しないのでしょうか。いくつかの理由があります。

制度の問題として、セルメ税制対象品目が少ないこと、分かりづらいことがあります。医師や薬剤師のような薬の知識のある人でないと、対象品目の判別は困難です。そのため、対象品目を狙って領収書を集めようとしても、対象品目でない品目を購入するなどしてしまい、なかなか1万2千円に到達しません。

医療用と同じ成分の市販薬(これをスイッチOTCと言います)の品目を増やすことについて、日本医師会からの反対が強く、なかなか品目数が増えません。例えば、緊急避妊薬は、ほとんどの先進国では、医師の処方なしに薬局で購入可能です。市販薬とすることで、必要とする人がすぐに購入できるメリットがあるのですが、日本医師会の反対により、市販薬になりませんでした。

確定申告の際にも、さらに面倒な手間がかかります。病院受診は必要なかったことを証明するための書類を添付しなければなりません。具体的には、インフルエンザ予防接種の領収書や予防接種済証、または健康診断の領収書や結果通知表の添付が必要です。

さらに、日本の患者は、体調が悪いときには、薬局で市販薬を購入するより、病院を受診することが多いです。これは、自己負担0~3割で医療を受けられること、予約なしでも当日に病院を受診できるシステム(海外では予約なしで当日診察を受けられることは少ないです)、薬剤師の信用度が低いことなどが理由だと思われます。しかし、上記のように、市販薬を購入するだけの方が安く済むこともあります。

ただの風邪であれば、実は受診する意味はほとんどありません。抗菌薬は、ウイルスの風邪には効果がありません。アレルギーの薬や咳止めなどの対症療法には、治療効果はありません。病院や薬局は、密閉・密集・密接の「3密」空間なので、他の人から別の感染症をもらってしまうこともあります。

また、ただの風邪に、様々な検査をしたあげく、10種類以上の薬を処方するという信じられない医師もいます。筆者は、実際にそんな処方を見たことがあります。

●セルメ税制普及のための提案

利用しにくいセルメ税制を普及させるため、2019年7月17日、日本一般用医薬品連合会、日本OTC医薬品協会から厚生労働大臣へ、以下の提案が提出されました。

・医療用と同じ成分の薬だけでなく、市販薬全てを対象とすること。
・1万2千円以上ではなく、0円以上を対象とすること。
・インフルエンザ予防接種の証明や健康診断の証明を不要とすること。

現在のところ、この提案に対し、厚生労働省からは一切のリアクションはありません。ただし、厚生労働省でも市販薬推進の必要性は感じています。2025年には、団塊の世代が75歳以上の後期高齢者となり、医療費が切迫、勤労世代の負担がさらに上昇することがわかっています。あと5年以内に抜本的な対策が必要です。

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