令和8年度税制改正で「不動産節税」にメス。取得後5年以内の貸付用不動産、時価評価へ。これからできる対策は? - 税理士ドットコム

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令和8年度税制改正で「不動産節税」にメス。取得後5年以内の貸付用不動産、時価評価へ。これからできる対策は?

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令和8年度税制改正で「不動産節税」にメス。取得後5年以内の貸付用不動産、時価評価へ。これからできる対策は?
viola / PIXTA

不動産を活用した相続税節税スキームが抑制されることになりそうだ。「令和8年(2026年)度税制改正大綱」が発表され、他人に貸すことを目的に購入したマンションやオフィスビル等(貸付用不動産)について、相続税を計算する際の不動産の評価方法の見直しが図られることになった。

そもそも相続時において不動産は、土地は路線価(時価の80%)、建物は固定資産税評価額(新築の場合、時価の70%)で評価される。つまり、1億円の土地を現金で購入した場合、相続時の評価額は2割圧縮することができる。なお、賃貸に出している不動産は、利用の制限があるとみなされ、さらに評価額が下がることになる。これが不動産を活用した相続税節税のスキームというわけだ。

税制改正大綱によると、貸付用不動産の市場価値と相続税評価額との乖離の実態を踏まえ、取得後5年以内の貸付用不動産について、原則時価で評価されることになる。

なお、2024年1月以降に相続・遺贈・贈与された分譲マンション(評価額が時価6割未満となるマンションが対象)等の区分所有不動産については、評価方法が改定されている。通達が適用されない貸付⽤不動産に関して、今回見直しが図られる。

もし、貸付用不動産の相続税節税スキームが封じられた場合、相続の際にどのような影響があるのだろうか。岩永悠税理士に聞いた。

●評価差が大きい不動産ほど影響を受ける可能性大

ーー税制改正により、相続時の貸付用不動産の評価額が是正された場合、どのような影響があると考えられるでしょうか。

今回の改正で最も影響を受けるのは、相続税対策を主な目的として、相続発生時期を意識しながら貸付用不動産を取得した方、または今後その取得を検討している方です。

本改正は、2024年の区分所有マンション評価見直しに続き、取得価額(市場価値)と相続税評価額との乖離を是正することを目的としています。そのため、新築・築浅のマンションや一棟収益物件など、評価差が大きくなりやすい不動産については、影響を受ける可能性が高いと考えられます。

一方で、今回の見直しは「取得後5年以内」という時間的要件が設けられている点が特徴です。そのため、長期保有を前提として賃貸経営を行っている方にまで、広く影響が及ぶものではありません。

今回の改正は、「節税効果のみを狙った短期的な不動産取得」を抑制する趣旨が強く、相続税対策のためだけに不動産を購入するという考え方そのものに、一定の歯止めをかける流れといえるでしょう。

●影響を受けるのは2027年以後に発生する相続等から

ーー相続税対策のために、貸付用不動産を既に購入している人は、どのような対策を講じる必要があるでしょうか。

まず重要なのは、現状を正確に把握することです。今回の改正は、令和9年(2027年)以後に発生する相続等から適用される予定であるため、直ちに影響が出るわけではありません。

一方で、改正の影響を受ける可能性がある方については、令和8年中に相続税の試算を行い、「想定される相続税額」「納税資金の確保」「財産の分け方」などを整理しておくことが重要です。そのうえで、

・財産の組み替えが必要か
・不動産事業として法人化を検討すべきか
・ 贈与の活用余地があるか

といった点を、専門家を交えながら総合的に検討していくべきでしょう。

その際、「節税できるかどうか」だけを基準にするのではなく、一族に資産をどのような形で、どの世代に引き継いでいくのかという視点で考えることが、これからはより重要になると考えています。

●短期的な単一スキームに依存せず、総合的かつ長期的な視点での相続・承継設計が不可欠

ーー不動産を活用した相続税対策が難しくなった場合、今後はどのような方法で対策していけばいいと考えられますか?

相続税対策に限らず、法人税や所得税の分野でも同様ですが、税制は常に見直されており、単一の節税スキームに長期間依存することは難しい時代になっています。過去にも、合法とされてきたさまざまな節税手法が登場しては、制度改正によって見直されてきました。

そのため、今後は短期的な単一スキームに頼るのではなく、総合的かつ長期的な視点での相続・承継設計が不可欠になります。

相続対策は、家族構成や資産内容によって無数の組み合わせがあり、早い段階から検討することで選択肢も大きく広がります。

「誰に」「いつ」「どの資産を」「どのような形で」承継させるのかを中長期で考えていくこと自体が、これからの相続対策といえるでしょう。

税制は政策によって変化していきます。今回の改正を一つの契機として、税金対策にとどまらず、一族にどのように資産を残していくのかを見据えた設計を行うことが重要だと考えています。

【取材協力税理士】
岩永 悠(いわながゆう)税理士
アイユーコンサルティンググループ代表/税理士法人アイユーコンサルティング代表社員。
西南学院大学卒業。京都大学経営管理大学院 上級経営会計専門家(EMBA)プログラム修了。2007年中堅の税理士法人に入所。26歳で税理士登録後、国内大手税理士法人に入所し福岡事務所設立に参画。13年独立開業、15年法人化。「日本のミライに豊かさを」をビジョンに掲げ、税理士法人を母体に15拠点・総勢約190名体制でグループを運営している。24年1月には事業承継専門部隊「承継アドバイザリー部」を設立。主な著書「事業承継を乗り切るための組織再編・ホールディングス活用術」(23年改訂版発刊、24年重版)。
・事務所名 :
アイユーコンサルティンググループ
税理士法人アイユーコンサルティング
・グループサイト:https://bs.taxlawyer328.jp/
・採用サイト:https://iu-recruit.taxlawyer328.jp/

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