服飾・アパレル業で税理士は必要?費用相場や顧問税理士のメリットを解説

「服飾・アパレル」業界における税理士費用実例について、卸売や製造、販売、ECなど事業内容別にご紹介。
また、税理士と顧問契約するメリットや、知っておくべき会計・税務のポイントに関して、門田 睦美税理士事務所の門田 睦美税理士に伺いました。税理士をつけるタイミングについても解説しています。
目次
服飾・アパレル業における税理士顧問料の相場は?
まず最初に、顧問税理士をつけるか検討されている服飾・アパレル業を営む方にとって、もっとも気になるのは「税理士費用はいくらかかるか?」ではないでしょうか。
税理士ドットコムでご契約された相談実績を見ると、服飾・アパレル業のお客様における税理士顧問料の平均は、個人事業主で年間約23万円、法人で年間約30万円となっています(※)。
なお、こちらはあくまで平均であり、実際には税理士に依頼する業務内容や売上規模などによって、かかる費用は異なります。
※税理士ドットコムの「税理士紹介サービス」に寄せられた相談実績より
実例を紹介!服飾・アパレル業の税理士顧問料はいくら?
それでは顧問契約した場合の税理士費用について、税理士ドットコムの「税理士紹介サービス」にこれまでに寄せられた約10万件の相談実績の中から、服飾・アパレル業で、実際に税理士と顧問契約された方の料金実例を紹介します。
実例1)年間顧問料:120,000円
売上高500万円(見込)/アパレル販売代行(宮城県・個人事業主)
はじめての顧問税理士探しをされているというケースです。確定申告以外に、具体的にどういったことを依頼できるのかというところから提案していただきたい、というご希望でした。
オンラインでの対応ができ、開業したての特別料金としてお安く契約いただける税理士と確定申告料込み年間12万円(税別)でご契約されました。
実例2)年間顧問料:230,000円
売上高1200万円(見込)/アパレル卸売(兵庫県・個人事業主)
開業されたばかりの個人事業主の方より、記帳代行や定期的な税務相談ができる税理士を探しているというご相談です。
2名の税理士とのご面談を予定されていましたが、最初にご面談された方が大変好印象だったため即決で、記帳代行、確定申告料込み年間23万円(税別)でご契約となりました。
実例3)年間顧問料:140,000円
売上高700万円/服飾デザイン(東京都・法人)
スタイリングやコスチュームデザインなど服飾業の法人の代表者様より、顧問税理士を探しているというご相談です。設立して間もなく売上もまだないため、できるだけ安めの報酬金額で顧問契約できる税理士をお探しでした。
事務所から近場の税理士がご希望で、決算申告料込み年間14万円(税別)でご契約となりました。
実例4)年間顧問料:270,000円
売上高2000万円/アパレルパターン製作(東京都・法人成り予定)
法人成りを検討されている個人の方からのご相談です。
これまでご自身で申告をされてきましたが、事業拡大及び従業員の増員を検討されているとのことで、法人設立のタイミングなどご相談ができ、その後の顧問をお願いできる税理士をお探しでした。
記帳は自計化をされているとのことで、料金の相談に応じてもらえた税理士と、決算申告料込み年間27万円(税別)でご契約となりました。
実例5)年間顧問料:300,000円
売上高2000万円/アパレルEC販売(東京都・法人)
設立したばかりの法人の代表者様より、創業時サポートの経験が豊富な税理士の先生をお探しというご相談です。
年間30万円のご予算で、電話やWEBで定期的に税務相談ができることと、経営面もアドバイスがもらえる税理士を条件としてお探しし、ご紹介しました。
ご面談でも好印象だったため、記帳代行込み、決算申告料込み年間30万円(税別)でご契約となりました。
実例6)年間顧問料:365,000円
売上高6000万円(見込み)/アパレル卸売(大阪府・法人)
アパレル卸売業の会社を始められる予定の方より、税理士をお探しというケースです。仕入先が韓国・中国となるため、海外からの輸入等に理解がある税理士を希望されていました。
近くの税理士と面談され、記帳代行、法定調書作成、決算申告料込み年間36万5000円(税別)でご契約となりました。
服飾・アパレル業で税理士は必要?
税理士との契約パターンは、「顧問」か「スポット」かいずれかです。
顧問契約は継続的な契約となるため、会計・税務の悩みをいつでも気軽に相談できる、節税対策や資金調達のアドバイスを受けられる、といったメリットが挙げられます。
一方スポット契約では、その都度業務を依頼します。そのため顧問契約より、一度にかかる費用が抑えられるという点では有利ですが、継続的なサポートがないため節税や資金繰りの相談は望めないでしょう。
昨今アパレル業界では、低価格志向などにより市場自体が縮小傾向であることや、余剰在庫による利益圧迫といった課題があります。そのため税理士にサポートをお願いするとしても、予算等の関係で顧問かスポットかで迷う経営者は多いのではないでしょうか?
そこで、服飾・アパレル業での税理士の必要性について、門田睦美税理士事務所の門田睦美税理士に伺いました。
Q.服飾・アパレル業において税理士と顧問契約をするメリットは?
ー 門田睦美 税理士「手数料や売掛金など適切に処理できる」
旧来からの在庫管理の問題、つまり商品棚卸し高の金額により、決算における仕入れ高が変わります。
仕入れの金額により、原価率が大きく異なり、支払う税金に大きな影響を与えるのです。また、この金額は翌期の数字にも影響を与えます。
そのため、「計上基準」や「消費税を含む税金」についてきちんと把握することが必要です。顧問税理士がいれば、適切なアドバイスが受けられ、決算期に早めに当該数値を正しく把握することができます。
加えて、昨今アパレル業でも、ネット上での店舗経営やホームページを利用したECビジネスなど、実際の店舗でない業態での取引が多くなってきています。
その場合の手数料の計上や売掛金把握など難しくなっていますので、税理士と顧問契約をすることで、こういった部分についても適切に処理することが可能になります。
ー 門田睦美 税理士「決算期をまたぐ場合は要注意」
前述したECビジネスの「売上計上基準」の注意点も解説します。
1)アマゾンなどのECサイトを利用する場合
商品が売れたとき(販売時)に売上を認識します。
入金される際は、ECサイトの手数料を控除されていますが、手数料分も含めて販売価格を売上として計上します。
借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|
売掛金 | 9,500円 | 売上 | 1万円 |
販売手数料 | 500円 |
しかし実際には、サイトから入金があった際に売上が確定するように認識されていることが多くあります。
このような場合には、決算時に発生主義に変更する必要があるため、決算月の売上も認識する追加計上の必要があります。
2)自己ECチャンネルから銀行振込があった場合
販売と入金が同時であれば、そのまま入金時の売上計上で構いません。
異なる場合には1)同様に、販売時に売上を認識する必要があります。銀行手数料が控除されて入金されている場合には、当該手数料相当額も売上に含める処理が必要です。
借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|
普通預金 | 9,500円 | 売上 | 1万円 |
振込手数料 | 500円 |
もし、先に代金を受け取っている場合には、商品は発送されるまで「前受金」として計上します。「前受金」として計上される場合、決算期をまたがる場合は特に注意が必要です。
服飾・アパレル業の方が顧問税理士をつけるタイミングは?
一般的に、法人化している場合は、日々の会計処理や決算申告を正確に行うために、顧問税理士にサポートを依頼するケースが多くなっています。
個人事業主であっても、日々の会計作業に手が回らなかったり、年間の売上高が1000万円を超え、消費税申告が必要となった際に、顧問税理士を検討する方が多くいらっしゃいます。
実際に税理士ドットコムでご契約された服飾・アパレル業のお客様についても、開業や会社設立を機に顧問税理士をお探しというご相談がたくさん寄せられています。中には売上高が1000万円を超えたり、インボイスへの対応で消費税申告が必要になったため、税理士をつけたいと希望される方もいらっしゃいました。
このように、会社設立(開業)や決算申告(確定申告)、消費税申告を行う際には、税理士のサポートを検討するひとつのタイミングであるといえるでしょう。
服飾・アパレル業で税理士をお探しの方へ
「創業したてなのでなるべく安い税理士が良い」「資金調達が得意な税理士を探している」「服飾・アパレル業の顧問経験が豊富な税理士を紹介してほしい」など税理士探しでお悩みの方は、税理士ドットコムの「税理士紹介サービス」までお問い合わせください。経験・実績豊富なコーディネーターがご要望に合う税理士をご提案します。
もっと記事を読みたい方はこちら
無料会員登録でメルマガをお届け!