漫画家や作家、イラストレーターの税理士費用はいくら?顧問料実例を紹介

漫画家や作家、イラストレーターの税理士顧問料実例を紹介します。あわせて、顧問契約のメリットや税務のポイントについて、佐藤全弘税理士事務所の佐藤全弘税理士に解説いただきました。
目次
税理士顧問料はどのくらい?料金実例を紹介
税理士に確定申告のみを依頼した場合、その費用は「5万〜15万円程度」が一般的な相場といわれています。
では税理士と「顧問契約」をした場合、顧問料は年間でどのくらいかかるのでしょうか。
ここでは、約10万件の相談実績(※)をもとに、漫画家や作家、イラストレーターにおける税理士顧問料の実例を紹介します。
※税理士ドットコムの「税理士紹介サービス」における相談実績
実例1)年間顧問料:150,000円
漫画家(個人事業主)/売上高400万円
漫画家をされている個人事業主の方より、確定申告と節税対策について相談できる顧問税理士をお探しというご相談です。
経費などの判断や自計化のために、記帳の指導を希望され、条件に合う税理士と確定申告料込み年間15万円でご契約されました。
実例2)年間顧問料:200,000円
イラストレーター・デザイナー(個人事業主)/売上高1,500万円
これまでご自身で青色申告をされていましたが、ゆくゆくは法人化を目指しているため、今後のサポートをしてくれる税理士を探しているというご依頼です。
海外展開を検討されており、デザインやアートに詳しい税理士をご希望でした。
ご面談で好印象だった税理士と、確定申告料込み年間20万円でご契約となりました。
実例3)年間顧問料:190,000円
作家・小説家(個人事業主)/売上高1,000万円
契約中の顧問税理士が業種への理解がなかったり、ミスが多かったりと対応に不満があるため、別の税理士に変更をしたいという作家の方のケースです。
オンラインでの対応が可能であり、業界への理解度が高い税理士をご希望で、確定申告料込み年間19万円でご契約となりました。
実例4)年間顧問料:270,000円
イラストレーター(法人成り)/売上高2,000万円
売上が増えているため法人化を検討しており、そのサポートしてもらえる税理士をお探しというケースです。
事務所の最寄り駅からアクセスしやすい場所にあり、記帳代行も込みでなるべく安く対応してもらえる税理士が良いというご希望でした。
条件に合う税理士をご紹介し、記帳代行、決算申告料込み年間27万円でご契約となりました。
実例5)年間顧問料:430,000円
漫画家(法人成り)/売上高3,000万円
合同会社としての法人化を検討されており、これを機に顧問税理士を探しているというケースです。
複数の税理士をご紹介し、そのうちの2名と面談され、より好印象だった税理士と決算申告料込み年間43万円でご契約されました。
漫画家や作家、イラストレーターに税理士は必要?
そもそもどのような場合に顧問税理士が必要なのかがわからない、という方もいるでしょう。
そこで、顧問契約すべきケースや顧問契約のメリット、税理士選びのコツについて、佐藤全弘税理士事務所の佐藤全弘税理士に伺いました。
Q.顧問税理士が必要になるケースを教えて下さい
ー 佐藤全弘 税理士
個人の確定申告については、自身で領収書等の管理や帳簿作成ができれば、基本的に税理士と顧問契約の必要はありません。国税庁のホームページの案内にしたがって確定申告書を作成することができます。
一方で、漫画家やイラストレーターなどの場合、平均課税など特殊な論点があるため、適用の可否や必要経費の判断に迷う人は顧問契約するのが良いのではないでしょうか。
税理士と顧問契約することで、日々の記帳や資金繰りの相談はもちろん、煩雑な事務作業をまかせて仕事に集中することができます。
なお、消費税の課税事業者になる場合でも、簡易課税方式であれば自分で確定申告することも十分可能なため、税理士報酬との兼ね合いで検討してみても良いでしょう。
- 顧問税理士のメリット - 必要性や依頼するときの注意点
- 税理士をつけるタイミングはいつがベスト?顧問契約が必要になるケースを解説
- 平均課税とは?所得が変動したり一時的に収入が増えたときに知っておくべき節税制度
Q.漫画家や作家、イラストレーターは、どのような税理士と顧問契約するのが良いでしょうか?
ー 佐藤全弘 税理士
同業種の顧問先があるなど、業界への理解がある税理士が良いでしょう。
どの業種においても共通して言えることですが、業界特有の慣習等を知らないと質問の意図が伝わらなかったり、適切なアドバイスを受けることができなかったりという懸念があります。
そのほかでは、担当者との相性もあるため、同世代を希望する場合や同性が良いなどの要望があれば顧問契約前に確認しましょう。
知っておくべき税務・会計のポイント
顧問税理士の必要性は感じているが費用面が心配、という方は、自身で記帳を行う(自計化する)ことで費用をおさえることもできます。
漫画家や作家、イラストレーターなどの方が自計をする際に注意すべき税務・会計のポイントについて、引き続き佐藤税理士に話を伺いました。
ー 佐藤全弘 税理士
個人の確定申告は、売上から必要経費を差し引いた利益(所得)を計算し、そこから基礎控除などを引いて税金を計算します。
漫画家などの場合、仕事柄、必要経費の判断に迷う部分があるかもしれませんが、そのほかに注意すべき税務のポイントが2つあります。
一つ目は、売上について源泉徴収がされていることです。
原稿料や印税収入については、所得税が既に源泉徴収されているため手取り額ではなく総額で売上計上する必要があります。
そして二つ目が平均課税制度です。
所得税は「累進課税」のため、利益が増えると段階的に税率も高くなりますが、利益の変動が大きい漫画家などはこの「平均課税制度」を利用し、利益を平均化することによって税率を抑えられ、納める税金を少なくできる可能性があります。
なお、平均課税を適用するには要件があり、「変動所得・臨時所得の平均課税の計算書」を確定申告書と一緒に提出する必要があります。
最後に、消費税の免税事業者である場合については、今後、インボイス制度によって適格請求書発行事業者(課税事業者)への登録が必要となるかもしれないため、あらかじめ登録の要否などについて確認・準備をしておくのがよいでしょう。
税理士をお探しの漫画家や作家、イラストレーターの方へ
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