サイゼみたいに「豪華視察旅行」 本物知る旅、経費になる?
計上

社員全員を視察のため、イタリアへ行かせたーー。イタリア料理チェーン「サイゼリヤ」創業者の正垣(しょうがき)泰彦氏が、NIKKEI STYLE(2018年12月14日掲載)でそんなエピソードを明かした。
「最高のホテルに泊まって最高の服を来ておいしい料理を食べるから、どこが優れているかよく分かる」「視察旅行には多額のお金を使いました」というかなり本格的なもの。それだけ情熱とお金を注がなければ、支持される味は生まれないのだろう。
サイゼリヤにかぎらず、「本物」を知ることは、良いアウトプットにもつながる。「多額のお金」とまでいかなくても、一般の会社でも業務として視察するケースもあるだろう。
では、商売をする上で必要な「経験」である視察旅行は、経費として認められるのだろうか。田林倫税理士に聞いた。
●「通常のグレード」であれば経費として認められる可能性
ーー「視察」は一般的に、経費として認められるのですか
「視察を兼ねて海外でおいしい料理を味わうことができるなんて羨ましい話です。
視察が業務において必要なものであり、かつ、通常必要と認められる金額に限り、会社の経費として認められます。別の言い方をしますと、会社の業務に必要とは認められない場合や、必要額を超える場合には、原則として役員や使用人に対する給与とされます」
ーー業務において必要であるかどうか、どのような点が検討されるのですか
「必要な視察かどうかは目的、旅行先、旅行経路、旅行期間などによって判断されます。旅行が単なる観光目的であれば経費にはできないでしょう。
飲食店を事例に検討すると、旅先で体験した料理やおもてなしを自社の新メニュー開発や接客サービスの向上といった帰国後のレストラン経営に活かす目的であれば、視察は会社の業務に必要だったと言えます。
その場合には、旅費や宿泊など通常のグレードの範囲で経費にすることができます」
ーーつまり「通常の」といえるかどうかが、ポイントになりそうですね
「そうですね。何が『通常』かは、旅行の目的や期間から合理的に判断することになり、個別のケースごとに異なるため、一概には言えません。
また、視察旅行代を全て経費にできず、一部を会社が負担するケースもあるでしょう。その場合、その分については、役員や従業員への給与となりますので、源泉所得税の源泉徴収と納付の手続が必要です」
【取材協力税理士】
田林 倫 (たばやし・とも)公認会計士・税理士