くまモン、批判乗り越えたモン 「得体の知れないクマに税金使うな」
経理・決算

「得体の知れないクマに税金を使うな」。熊本県をPRするキャラクター「くまモン」に対し、当初は地元で批判の声が上がっていたという。その様子がNHK「プロフェッショナル 仕事の流儀」で1月14日に放送され、Twitter上で大きな話題になった。
実際のところ、いつからどれくらいの税金が投入されたのだろうか。そして、それに見合うだけの効果が上がっているのか。熊本県庁の担当者に聞いた。
●これまでに20億円超の税金を投入
くまモンは、九州新幹線の全線開業を翌年に控えた2010年3月にデビューした。熊本県知事公室くまモングループによると、この時は「くまもとサプライズ!」というキャンペーンのロゴにつく「おまけ」だったため、特段の費用はかかっていないという。
2010年度に初めてついた、くまモンのための予算が1471万円。2011年度に1億3390万円の予算がつくと、その年の11月、「ゆるキャラグランプリ」で優勝し、知名度は全国区に。大手食品メーカーとのタイアップ商品の開発なども大きかった。
以降は、ほとんど右肩上がりでくまモンの予算は増えた。2013年度は2億1135万円と2億円台を突破し、2017年度は3億995万円。2018年度は3億4891万円だった。これまでに累計で20億円超の税金が投じられているという。
●関連商品の売上高、5000億円突破
これで、くまモンのPR効果が感じられないと、冒頭の「得体の知れないクマに税金を使うな」という批判は勢いを増しそうだ。だが、くまモンを使ったグッズなど商品の売上高の伸びは、目を見張るものがある。
一番最初の2011年が25億円、翌2012年は10倍超の293億円となり、2015年には1007億円と1000億円を突破。直近の2017年は1408億円となっている。2011年以降の売上高は累計で5000億円を超えた。
「『よくぞここまで伸びてくれたな』というのが感想でありますし、『もっと伸びて欲しい』というのが、熊本の方々、日本の方々の率直な希望だと思います」。昨年3月20日の定例会見で、蒲島郁夫・熊本県知事はこう語った。
●「ブーム、永遠には続かない」海外展開を期待
では税収や経済効果はどうか。
くまモングループに対し、くまモンのPRによって県の税収が上がったとか、客観的に経済効果をまとめた資料がないかを尋ねた。すると、回答は「ありません」。
ネットなどで探していると、日本銀行熊本支店が公表したレポートが見つかった。時期は2013年12月と少々古いが、参考になりそうだ。
そのなかでは、くまモンが「ゆるキャラグランプリ」で優勝した2011年11月以降の2年間を対象に試算。熊本県にもたらした経済波及効果は1244億円、広告効果は90億円以上で、経済効果は「相当大きいものと評価できる」と指摘していた。
いまはこの時より大きな予算をつけ、関連商品の売上高も伸びている。今後は「頭打ち」になる可能性も意識しつつ、海外市場で関連商品の売り上げが伸びることを期待するという。
蒲島知事は同じ定例会見で、「ブームと言うのは、永遠に続くことはありませんよね。だから、国内でも伸びる確率はあると思いますけども、多分大きく伸びるのは海外の方が大きいのではないかなと思います」と述べていた。