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消えた「アソウノミクス」 大企業の交際費特例廃止、内部留保を引き出す効果なし

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消えた「アソウノミクス」 大企業の交際費特例廃止、内部留保を引き出す効果なし
大企業の接待などが活発な銀座の繁華街(まちゃー / PIXTA)

2020年度の税制改正大綱で、資本金100億円超の大企業の接待飲食費を減税する交際費特例が廃止になりました。企業の現預金を引き出すために、2014年度に始まった麻生太郎財務相の肝煎り特例でしたが、大きな成果は上がらず、静かに消えることになりました。特例はなぜできたのか、企業の交際費はどれぐらい増えたのか調べました。(ライター・国分瑠衣子)

●「気持ちよく使おうよ」麻生財務相が呼び掛け

取引先の接待や、贈答品を購入する法人の交際費は原則、経費とは認められません。交際費特例とは大企業と中小企業の飲食代のうち、上限を設けた上で、経費と認められるものです。大企業の交際費特例は景気を下支えするために2014年度から導入されました。取引先を接待する場合、1人当たり5000円以上の飲食代は、年間の総額のうち半分を経費として、法人税の課税所得から控除できる制度です。ちなみに資本金が1億円以下の中小企業は、800万円まで損金に算入することができます。

この特例は麻生太郎財務相が導入に意欲を示し、財務省に検討を指示しました。2013年10月7日の朝日新聞デジタルによると、麻生財務相が当時280兆円ある企業の内部留保について「一番手っ取り早い方法は、交際費課税の撤廃。接待、お歳暮、お中元。280兆円、気持ちよく使おうよ」と発言したという記事が載っています。当時は「アソウノミクス」という言葉まで生まれ、2014年度の税制改正大綱に大企業の交際費課税撤廃が盛り込まれました。

●交際費増えず、「現預金の減少に寄与していない」

では、特例で大企業の交際費は増えたのでしょうか。国税庁が毎年公表している「会社標本調査」を調べると、資本金1億円以上の企業の損金算入額は、大企業の交際費特例ができた2014年度は622億円です。以降2015年度は864億円、2016年度は872億円、直近の2017年度は883億円と800億円台で推移しています。一方、交際費全体を見ると、2017年度は5603億円で、制度が始まった2014年度の5560億円と比べてもわずか0.8%の増加にとどまります。企業の交際費そのものが増えていないということは、国は減税して法人税をおまけしただけに終わったと言えるのではないでしょうか。

20年度の税制改正大綱では「特例によって交際費が大きく変化している状況とは言えず、現預金の大幅な減少に寄与していない」と指摘し、資本金の額等が100億円超の大企業は特例から外すことになりました。

●「冗費・濫費の抑制」の趣旨に逆行し、本末転倒だった

税法上、交際費は「冗費・濫費」と呼ばれる“無駄遣い”とされていて、損金算入しないという考え方です。租税法が専門の香川大学法学部の青木丈教授は、「交際費課税の本来の趣旨が『冗費・濫費の抑制』ということに鑑みれば、麻生財務相のリードで実現した大企業の交際費減税は本来の趣旨に逆行し、本末転倒だったと言わざるをえません」と指摘します。また「本来は冗費・濫費であるはずの飲食代の損金算入を『期間限定で認めてやるから無駄遣いしなさい』というのは、下品な発想ではないでしょうか」と話します。

今回の改正では資本金100億円超の法人が特例から除外されましたが、中小企業や資本金が100億円に満たない大企業の特例は22年3月まで延長されます。青木教授は「租税特別措置である以上、他の大企業や中小企業もどれだけこの特例を利用したかという検証が必要です」と指摘します。

企業の内部留保を引き出したいという狙いがうまくいかなかった交際費の減税。財務省によると、2018年度の内部留保は463兆円と7年連続で過去最大を更新しています。2020年度の税制改正大綱では、企業の内部留保を投資に回すために、ベンチャーに投資した企業に税を優遇する特例を盛り込みました。今度はうまくお金を引き出すことができるでしょうか。

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