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消費税を減税したら、経済にどんな変化が起きるか メリット、デメリットを考える

消費税

消費税を減税したら、経済にどんな変化が起きるか メリット、デメリットを考える
写真はイメージです(CORA / PIXTA)

緊急事態宣言の解除後、新型コロナウイルスは再び感染拡大を続けており、第二波が到来しています。沖縄県や愛知県では再び県独自の「緊急事態宣言」が発出される中、夏休みや「Go-Toトラベルキャンペーン」も相まって、感染が収まる気配はありません。

一方で、経済がダメージを受けているのも事実であり、企業破綻を防ぐためにも経済対策が求められています。その手段として、野党はもちろん、与党内からも消費税を減税すべきとの声が挙がっています。

しかし、消費税については社会保障費の財源でもあり、「絶対に下げることはできない」との主張も根強く残っています。消費税を減税することのメリットやデメリットはどのようなことがあるのか、消費税減税の是非について考えみたいと思います。(ライター・メタルスライム)

●消費税減税のメリット

(1)一時的にウイルスの感染拡大を防止することができる

消費税減税がアナウンスされると、消費税減税後に消費しようと考えるため、減税前に消費は落ち込みます。消費活動が抑えられると行動も抑制されるため、結果としてウイルスの感染防止につながる可能性があります。

(2)消費が拡大する

時限的に消費税が減税されるとなると、その期間に消費しようということになるため、その期間の消費が拡大します。特に高額商品や高額なサービスについて、消費税減税のメリットがあるので、大きな経済効果が期待できます。

(3)全業種の消費喚起に有効である

Go-Toトラベルキャンペーンのように特定の業種に対する補助ではなく、あらゆる業種に対する消費喚起につながるので、不公平感がありません。コロナ禍によって、ダメージを受けた企業は多くありますが、その全ての業種に十分な補償がなされているわけではないので、広範囲に消費を拡大できることは大きなメリットになります。

(4)給付金等と異なり細かな要件がないのでわかりやすい

政府はこれまで、持続化給付金などを支給してきましたが、支給要件が複雑で、申請手続きも難しいという問題がありました。その結果、審査にも時間が掛かり、給付を受けるのに数カ月も要していました。それに対し、消費税の減税の場合、特別な申告は必要なく、適用要件を検討する必要もないというメリットがあります。

●消費税減税のデメリット

(1)ウイルスの感染拡大につながるおそれがある

消費税減税が実施されると、経済活動が活発化し、外出することも増えるようになるため、ウイルスの感染拡大につながるおそれがあります。

(2)企業が消費税減税に対応しなければならなくなる(システム改修等)

消費税減税をする場合、値札が税込み表示の場合、差し替えが必要になります。特に、令和3年4月1日からは総額表示が義務付けられるため、消費税を含めた金額で表示しなければならなくなります。また、レジや会計ソフトなども減税に対応させなければならならなくなります。

(3)税の計算が複雑になる

事業年度の途中で消費税が減税されると期間ごとに税率を変えなくてはならないため計算が複雑になります。また、減税の期間が終了すると10%に戻るため、同じように計算が複雑になります。

(4)税収が減る

コロナ禍により、多くの企業業績が落ち込む中、法人税や所得税の税収の増加はあまり期待できない状況にあります。一方で、給付金やコロナ対策費に莫大な財政支出があります。ただでさえ、日本の財政が厳しい中、消費税まで減税すると税収が不足し、国債依存度が益々高くなるという問題があります。そのようなことから、むしろ、消費税を増税すべきだという議論さえあります。

(5)貧困層にあまりメリットがない

消費税の減税は、お金を使う場合に支払いが少なくなるというものなので、元々お金がなくて買い物ができないという場合には消費税減税のメリットを享受することができません。他方、富裕層や給与が全く減らない公務員などは、コロナ禍の影響をあまり受けていないのに消費税の減税によって、利益を受けます。

(6)公共料金の変更に手間がかかる

商品の値札のように簡単に値段を変えられるものはいいですが、郵便料金などの公共料金の変更は、国の許可が必要なものもあるため、簡単には変えられません。特に、時限的に減税を行う場合、元に戻す手間も掛かるため、不要なコストが発生します。

(7)消費税率を上げるには政治的コストがかかる

時限的とは言え、一度消費税を下げると、それをまた戻すと言った場合に、「景気回復が十分でない」など反発を受け、なかなか戻すことができなくなる可能性があります。税金を下げるのは簡単ですが、上げるのは結構大変なので、政治的コストが発生します。

●ドイツなど各国で消費税の減税

ドイツでは、2020年7月から12月にかけて、消費税率を19%から16%に引き下げられています。食料品に対する消費税も7%から5%に引き下げられます。また、イギリスも飲食や宿泊、娯楽などの業種で7月15日から来年1月12日まで、付加価値税の税率を20%から5%に引き下げる政策を開始しました。その他、多数の国で時限的な消費税の減税が行われています。

ただ、ドイツの場合、2019年の財政黒字が過去最高の135億ユーロに達しており、政府予備費も潤沢にあるので、日本とは財政状況が大きく異なります。また、消費税率も19%と高く、それを16%に引き下げたところで、日本より高い水準にあります。イギリスは財政状況が良いとは言えませんが、飲食や宿泊などに限定しており、一律消費税の減税というわけではありません。

●自民税調は消極的

自民党の税調会長である甘利氏は、8月8日のBSテレ東の番組で、新型コロナウイルスで落ち込んだ景気刺激策として消費税を減税することには否定的な見解を示しています。その理由として、減税後、税率を戻す難しさを挙げ、それよりも、「現金給付した方が、経済の刺激効果がはるかに高い」と述べています。

税調のトップがこのように考えているとすれば、消費税の減税は現時点では難しいと言えるでしょう。ただ、秋に衆議院を解散するとの噂もあり、もしそうであるとするならば、コロナ対策での失策続きの自民党としては、サプライズ的に消費税を減税すると打ち出す可能性はあります。

●実現は難しそうだが、政府・与党の秋の動きに注目

理屈で考えると、上記で述べたとおり、デメリットの方が多く、日本の財政を考えると安易に引き下げるべきではないという結論になります。ただ、行動経済学が示すように、経済は理屈通りには動かないので、人の心理的要因を動かすという意味では消費税の減税はかなりの効果があるように思います。貯蓄好きな日本では、現金給付を行っても、貯蓄に回るだけなので、あまり経済効果が見込めないという事情もあります。

問題は、消費税の減税を実施する場合に、その時期と期間をどうするかということです。実施時期と期間によってその効果は大きく変わると考えられるからです。また、減税の内容も税率を「8%」とかではなく、思い切って「0%」にするなど大胆な減税をした方が当然効果は大きくなります。

つまり、減税のアナウンスから減税導入時期が遅く、減税期間が短い場合、導入前の買い控えと導入後に商品の買い占め等が発生する可能性があります。他方、減税のアナウンスからすぐに減税を実施すれば、買い控えはそれほど発生しないで済み、期間もある程度長期にすれば、買い占め等が起こることもなくなります。ただ、この場合、税収の落ち込みが長期にわたるというデメリットがあります。

また、消費税の減税を実施する場合、法律改正が必要になることから、根回しも含めて事前に相当の準備が必要になります。消費税減税のアナウンスからすみやかに減税の実施を行うことが重要になるので、年末の税制改正大綱に間に合わせるなら今から準備をしておく必要があります。これらの大変さを考えると消費税減税に財務省は難色を示すと思うので、実現は難しいと思いますが、政府・与党はどう考えるのか秋の動きが注目されます。

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