平成30年度税制改正で何が変わる? 基礎控除の見直しや所得拡大促進税制の拡充など

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平成30年度税制改正で何が変わる? 基礎控除の見直しや所得拡大促進税制の拡充など

監修: 林 聰 税理士

2017年12月22日に、政府は「平成30年度税制改正の大綱」を閣議決定しました。そこで所得税や事業承継税制、所得拡大促進税制、国際観光旅客税、たばこ税など、一般の方にも関係しそうな改正内容をピックアップしてお伝えします。しっかりと覚えて税制度を有効に活用してください。

目次

基礎控除などの各種控除の見直しが行われる

所得税分野では、各種控除額の見直しや金融証券に関する税制措置、土地住宅に関する税制措置など、さまざまな分野で新たなルールが採択されています。このうち多くの方に関係してくる内容が「各種控除額の見直し」だと言えます。

  • 基礎控除額は一律10万円引き上げる(現行:38万円)
  • 給与所得控除額は一律10万円引き下げる
  • 公的年金等控除額は一律10万円引き下げる
  • 青色申告特別控除は一律10万円引き下げる(現行:65万円)
  • 配偶者控除の対象所得金額を95万円以下に引き上げる(現行:85万円以下)

今回の大きな改正ポイントとしては基礎控除額が増額したことで、平等に控除を受けられやすくなった点です。

ただし、そのほかの多くの控除額が引き下げられているので、給与所得控除や青色申告特別控除などを受けている人には変化は見られません。むしろ、給与所得控除の上限額が「850万円超」となり控除額が「195万円」に引き下げられるので、以前よりも税負担が重くなるように変更されています。

事業承継税制の特例の拡充が行われる

資産課税とは資産や財産に対して課税されることを言い、具体的には相続税や贈与税、固定資産税や自動車税などが当てはまります。この資産課税関連で注目された内容が「事業承継税制の特例の拡充」だと言えるでしょう。

この内容は分かりやすく言えば、一定の条件を満たすことで「事業承継時に納税負担がなくなる」という内容です。今までも事業承継税制の特定が設けられていましたが、あくまで「発行株式数の3分の2までの課税価格で、猶予割合が80%として」相続税が猶予されていました。それが「上限がなくなる」、「猶予割合が100%になる」と変更され、実質、相続税負担がなくなるように変更されたのです。

さらに、今まではこの制度を適用し続けるためには「雇用維持用件(5年平均で80%を維持する)」を満たす必要がありました。しかし、自治体へ理由を報告したり、支援機関による指導・助言を受けたりすることで猶予され続けることになったのです。したがって、今まで以上に事業承継制度が使いやすくなると考えられます。

所得拡大促進税制の拡充が行われる

法人税分野では、所得拡大促進税制や情報連携投資税制、地方拠点強化税制などの見直しが行われています。このうち働く方にとって関係してくる税制として「所得拡大促進税制の拡充」があります。

この制度は従業員の給与等支給額を増額させた場合に、法人税の税額控除が適用されるというものです。まず今回の拡充により、「賃上げの基準年度が前年度比へと変更される」ことになります。

さらに、より多く給料を支払った場合に、控除率が拡大されることが決まりました。本制度を活用することで企業は税金ではなく、給与として支払だろうと期待されています。

国際観光旅客税の創設やたばこ税の見直しなどが行われる

消費課税分野も身近な税金なので、生活に大きく関係してくるでしょう。消費課税分野では国際観光旅客税の創設やたばこ税の見直しなどが行われました。

国際観光旅客税とは今回新しく創設された税制度です。簡単に制度を説明すると飛行機や船舶などで海外へ出国する際に、「出国1回につき1,000円を納付する」必要がある制度を言います。現在は2019年1月7日以降の出国から適用されることになっています。昨今は海外旅行に行く人も増えており、そういった方にとっては負担が重くなったと言えるでしょう。

また、今回の税制改正ではたばこ税の見直しも行われています。たばこ税は国税と地方税として徴収されていますが、改正により「合計で1本あたり3円」も税金が高くなります。さらに加熱式たばこの課税方法も見直しが行われており、段階的に引き上げることが決定されました。喫煙者からしてみれば負担が重く、さらにたばこを吸いにくくなってしまうでしょう。

そのほか自動車税などの見直しも実施されています。

おわりに

平成30年度の税制改正大綱で注目されている内容についてピックアップしてきました。これだけでも相当なボリュームがありますが、そのほかにも様々な改正が行われています。もし興味があれば税制改正について調べてみるのもいいかもしれません。なお、実際に制度を活用したい場合には、税理士や税務署などに相談したうえで、正しく適用できるように手続きをしましょう。

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