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すき家の「60円過剰徴収」問題。もし返金されなかったら、そのお金は誰のもの? 税理士が解説

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すき家の「60円過剰徴収」問題。もし返金されなかったら、そのお金は誰のもの? 税理士が解説
ponta2012 / PIXTA

2026年3月、牛丼チェーン大手「すき家」で、一部商品の価格設定に誤りがあり、計4商品で60円ずつ過剰に徴収していたことが判明した。

運営するゼンショーホールディングスは、対象期間に当該メニューを購入した顧客に対し、差額(商品1点あたり税込60円)を返金するとした上で、利用日と時間、店舗名を問い合わせ窓口へ連絡するよう案内している。

ところが、少額の返金であることから、手間を考えて諦める顧客も多いと予想されており、徴収した差額のすべてが返還されるわけではないと考えられる。

ここで気になるのが、企業側に残る「返還されなかったお金」の行方だ。1件あたりは少額でも、すき家は全国に約2000店舗あることから、総額は数百万円、数千万円にのぼる可能性もある。意図せぬ形で会社に残ってしまったこのお金は、税務上どのように処理されるのだろうか。森田道生税理士に聞いた。

●過剰に受け取ったお金は「不当利得」に該当し、返還義務がある

ーー徴収した差額は税務上どのような扱いになるのでしょうか?

過入金によって過剰に受け取ったお金は、「不当利得」に該当します。不当利得とは、法律上の原因なく利益を受け、そのために他人に損失を及ぼすことをいい、返還義務があります(民法703条)。

不当利得の返還請求の時効は、「債権者が権利を行使することができることを知った時から5年間行使しないとき」、または、「権利を行使することができる時から10年間行使しないとき」になります(民法166条1項)。

なお、交付したレシート等についても誤りであった場合は、修正したレシート等の交付が必要になります。

最終的に、返金対応期間が終了し、返済義務が消滅したお金については、その時点で収益(益金)として計上することになります。

●返金対応の費用は「損金」となり、税負担を軽減する

ーー今回の事態を受けて、すき家側には返金対応の人件費ほか費用が発生すると思います。これらは税金の計算上、どのように処理されるのでしょうか。

前述のとおり、過入金を受け取った段階では、それは会社の利益ではなく、仮受金などの「返還義務のある債務」となりますので、その額に対して直接法人税がかかることはありません。

ただ、顧客との合意や時効の成立などにより返済義務がなくなった時点で、収益(益金)となり、税金が発生します。

一方で、返金対応に係る費用については、基本的には発生した時点の経費(損金)となります。これらは利益から差し引かれるため、結果として税負担を軽減する効果があります。

●返還義務がなくなったお金を寄付した場合の税務

ーー過去の事例では、余ったお金を「寄付」する企業もあります。寄付をすれば「経費」として認められて、税金が安くなるといった仕組みはあるのでしょうか。

時効成立などにより返還義務がなくなった過入金(収益)を寄付することにより、税金は減額されます。

ただし、税務上の寄付金には、会社規模や寄付の支払先に応じた上限額が設定されており、その範囲で経費(損金算入)が認められています。その上限の範囲内であれば、寄付によって課税対象となる利益を圧縮し、税額を抑えることが可能です。

【取材協力税理士】
森田 道生(もりた みちお)公認会計士・税理士
スタートアップ・ベンチャー企業へのサービスを強みとし、税務ほかIPO支援業務、内部管理体制の構築・強化支援業務、FAS関連業務など経営に関する各種領域について専門サービスを提供する。
そのほか、日本公認会計士協会にて、税制改正意見書の取りまとめや税務委員会研究報告書の執筆を行っている。
事務所名 :森田道生会計事務所/合同会社日本会計センター
事務所URL:https://mm-cpa.jp.net/

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