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「沖縄の米軍基地、近くにシングルマザー世帯が多い」北大教授ら、各地を比較して分析

「沖縄の米軍基地、近くにシングルマザー世帯が多い」北大教授ら、各地を比較して分析
北海道大学大学院経済学研究院の安部由起子教授

国際シンポジウム「子どもの貧困と政策:日本とアメリカ」が3月、都内で開かれた(首都大学東京「子ども・若者貧困研究センター」主催)。シンポジウムには国内外の研究者が参加。日本のシングルマザーの地域的な分布についての共同研究を、北海道大学大学院経済学研究院の安部由起子教授(労働経済学)が発表した。

発表によると、中規模の地方都市でシングルマザー世帯の出現率が高かったほか、沖縄では特に米軍基地のある市町村で出現率が高いことがわかったという。安部教授は「米軍人男性と日本人女性の間の婚姻関係が不安定なことや、未婚で出産するケースが多いこと、米軍基地近隣に就業の機会を求めるケースがあるのではないか」と仮説を立てている。

●大都市や地方より、中規模地方都市に母子家庭が多い傾向

日本におけるシングルマザー世帯数は、1990年に55万2000世帯だったが、2015年には75万5000世帯と増加している(母親と子どもだけで、祖父母など他の家族は含まない世帯)。安部教授らは、6歳未満の子どもがいるシングルマザー世帯率(1990年、2000年、2010年)のデータと、18際未満の子どもがいるシングルマザー世帯率(2000年、2010年)をもとに分析した。それによると、北海道・沖縄・九州の一部地域で、特に比率が高くなっていた。

安部教授によると、他にも地理的状況によって、傾向があるという。

「人口の集中している東京、名古屋、大阪の大都市圏ではそれほど高くありません。一方、人口密度の低い地方でも同じでした。しかし、中規模の地方都市でその比率が高くなる傾向がありました」

その理由として、安部教授はこう指摘した。

「大都市圏では、住宅費用や子育てにかかる費用などのコストが高く、シングルマザー世帯にとって生活することが厳しい状況にあるのだと思います。また、地方では大都市地域のような意味でのコストは高くないものの、伝統的な社会規範が強いことから、シングルマザーの世帯が少なくなっているのではないかと考えています」

●米軍基地のある市町村とない市町村を比較すると…

安部教授によると、母子世帯は北海道、沖縄、九州の一部の地域でも比率が高かったという。次に安部教授は、特に母子世帯の比率が高く、国内にある米軍専用施設の70%が集中していることで知られる沖縄県に着目した。

そこで、国勢調査から1990年と2010年の市町村レベルで集計されているデータを使い、米軍基地のある市町村、米軍基地のない市町村、自衛隊基地のある市町村、自衛隊基地のない市町村の4つにグルーピング。それぞれ、地域における18歳未満の子どもの人口のうち、母子世帯で育っている子どもの比率を調査した。沖縄県だけでなく、本土の市町村も同じようにグループ分けして比較した。

「まず、本土は米軍基地の影響がとても小さいと言えます。基地がある市町村(0.042ポイント)と、基地がない市町村(0.040ポイント)における母子家庭の子どもの比率は大きな差がありません(1990年)。2010年のデータも同様です。

しかし、沖縄では、米軍基地がある市町村(0.055ポイント)と米軍基地がない市町村(00.85ポイント)では、大きな違いがあります(1990年)。沖縄では米軍基地の影響が非常に大きくなっているといえます。影響の大きさは、2010年よりも1990年の方がより顕著でした。

また、自衛隊の基地がある市町村と基地がない市町村のデータを比較すると、影響は小さいですが、基地がある市町村の方が比率が高い傾向にありました」

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●米軍基地の近くにシングルマザーが多い背景とは?

安部教授はさらに、米軍基地の海軍、空軍、海兵隊など配属ごとのデータで、沖縄と本土を比較。すると、沖縄では海兵隊が配属されている基地の近くで母子世帯の子どもの出現率が高くなっていたという。これらの結果について、安部教授は次のように説明した。

「この母子世帯出現のメカニズムについて仮説を立てています。米軍人男性と日本人女性と間で子どもができた場合は、その婚姻関係は不安定であったり、未婚で出産するケースが他のカップルの場合より多いため、シングルマザーが増えているのではないか、ということです。

ただ、これで全てが説明されるわけではないと思います。当然のことながら、基地の近くでシングルマザーになったとしても、別の地域に転居する可能性もあります。2つ目の仮説としては、基地の周辺は、シングルマザーにとっての就業機会が他の地域より多いのではないかということがあります」

一方で、1990年に比べると、2010年には沖縄の米軍基地のある地域と、それ以外の地域の差は縮まっていて、基地の影響は以前よりも顕著でなくなりました。それは、基地のない地域でシングルマザー比率が上昇したことによるものです。

安部教授は、現在そうした仮説を立てているものの、まだ包括的に説明できるところまでには至っていないと説明。現在、所得の状況や離婚率などの分析を行っており、「軍事基地の要因だけでなく、広く経済的な要因の影響を明らかにしたい」とした。

このシンポジウムでモデレーターを務めた首都大学東京「子ども・若者貧困研究センター」のセンター長、阿部彩教授は、安部教授の発表後に次のようにコメントした。

「母子家庭になる要因は、若年出産だったり、離婚だったり、様々ですが、母子世帯という家族構成自体が悪いことではありません。母子世帯の過半数が貧困に陥ってしまうことが問題であり、その状況をよくすることが必要だと考えています」

(税理士ドットコム トピックス)

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