就職氷河期世代から目を逸らすな 日本総研・下田氏「不遇の世代をもう生まない」 - 税金やお金などの身近な話題をわかりやすく解説 - 税理士ドットコム

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就職氷河期世代から目を逸らすな 日本総研・下田氏「不遇の世代をもう生まない」

就職氷河期世代から目を逸らすな 日本総研・下田氏「不遇の世代をもう生まない」
日本総研の下田裕介・副主任研究員(2019年5月8日、下山祐治撮影)

就職氷河期という言葉にどれくらいの人がピンとくるだろうか。就職活動は学生優位の「売り手市場」が近年続く。学生や就活を終えて数年の若者たちには、よくわからない表現だろう。ただ、正社員として就職することが今よりはるかに難しい時期は、確かに存在した。(編集部・下山祐治)

●多くは非正規のまま社会に

約30年前、バブル経済で活況だった日本企業は採用者数を軒並み増やした。その後、バブル崩壊に伴う金融危機や景気低迷が、若者たちの採用を大きくしぼった。志望企業群の正社員になれた層はひと握りで、多くは非正規のまま社会に出ることを余儀なくされた。

就職氷河期の問題に詳しい日本総研の下田裕介・副主任研究員によると、就職氷河期世代とは現在30代後半〜40代後半の人たちのこと。2018年時点で36歳から48歳として、総人口ベースで約2,300万人(男:1,170万人、女:1,140万人)だという。

大卒社会人の場合、バブル崩壊後の1993年〜2005年ごろに、社会に放り込まれた若者たちをさす。この世代は、バブル期に社会に出た世代が同じ年齢だった頃に比べ、非正規雇用の割合が高いという。今後はますます、親の介護という問題にも直面する。

一方、政府の経済財政諮問会議(4月)では、就職氷河期世代を「人生再設計第一世代」と位置付け、再チャレンジを支援する仕組みをつくることなどが提言された。

「今さら遅い」などとネットではネガティブな反応が広がったが、放置することも得策ではないはず。問題の背景や対策などについて、5月8日、日本総研の下田氏に話を聞いた。

●数年の差で社会に出ただけ

ーー就職氷河期世代に対し、どのような手を打っていくべきでしょうか

まず、正社員としてバリバリ働きたい、チャレンジしたいという意欲があるのに、正規への転換ができずにいる人たちにはしっかりサポートする必要があります。政府として、スキルアップにつながる教育訓練をレベルに合う形で充実させるべきでしょう。

必ずしも正社員でなくてもいいという人たちもいます。そうした人たちは非正規のままであっても、しっかり待遇改善がなされるべきです。

また、政府はこれまで、就職氷河期世代も支援対象にした「特定求職者雇用開発」「トライアル雇用制度」などをつくり活用を促してきました。ただ、利用状況は伸び悩んでいるといいます。実態にそぐわない面は柔軟に修正していくべきでしょう。

ーー伝統的な日本企業では年功序列賃金で、30代、40代と賃金が上がっていく「賃金カーブ」を描くところがまだ多いと思います。就職氷河期世代の人たちはいかがでしょうか

非正規の人たちはそもそも賃金が低く、正規であっても昔より厳しくなっています。グラフにしてみると、かつてよりもフラットな状態です。生涯獲得賃金で見たときに、大きな差が生じてしまいます。

数年の違いで社会に出ただけなのに、その差が固定化してしまって、逆転することがきわめて難しい状況であることはあまりにも不幸です。

●多様で柔軟な採用スキームを

ーー日本企業の多くが続けてきた「新卒一括採用」にも問題があるのではないでしょうか

メリットがある一方で、ほころびが出てきているのも確かです。新卒一括採用は日本独特の慣習です。

若者を20代前半でしっかり就職させ、若年層の失業を抑えるという効果はあります。また、年功序列賃金・終身雇用という前提のもと、専門性がまだ乏しい若者をとり、自社のノウハウを長年かけて教えこむという手法は、かつては合理的だった面もあるでしょう。

でも今はこれだけグローバル化が進み、働く環境も、働くことへの価値観も多様化しています。20代前半のわずか1度ないし2度のチャンスを逸したからといって、その後もなかなか正社員になれないということでいいのでしょうか。

新卒一括採用だけにこだわる必要はありません。すでに経団連は大学側と議論を始めていますが、新卒一括採用のメリットもいかしつつ、多様で柔軟な採用スキームがもっと広がるべきだと思います。不遇の世代をもう生まないために、産業界としてできることをすべきです。
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●今後は、親の介護に直面

ーー就職氷河期世代の支援をすることが政府の経済財政諮問会議で提言されたことに対し、「今さらか」という冷めた反応が続出しました

このタイミングになって遅すぎるとの言葉は多く聞かれました。政府だけのせいにはできませんが、政府のみならず、企業や社会も含めた国全体として、就職氷河期世代を救う手立てを十分に講じてこなかったのは確かです。

なかには両親の収入(年金収入の場合も)を頼りに、「引きこもり」になってしまっている人もいます。今頃になって「政府がサポートするからバリバリ働こう!」と呼びかけても、本人の心理的負担から困難な面も多いでしょう。

長い期間、効果的な対策をとってこなかったことを踏まえると、就職氷河期世代の熟練度や就労への意識の幅は大きいので、色々な政策対応を多面的な形でやっていかないといけません。

正社員になることだけをゴールだと決めつけることにも注意が必要です。非正規のままで待遇改善をしてほしいという声もあります。

ーー就職氷河期世代のなかでも年が上の40代後半の人たち(団塊ジュニア)は、特に今後、親の介護の問題が大きく負担になる可能性があるでしょうか

はい。社会構造も一緒に考えたいのですが、兄弟姉妹が昔より少なく、経済的理由で結婚を諦めざるを得ない人も少なくないため、親の介護に直面した時にかかる時間的負担は上の世代より多くなります。経済的負担も大きいです。

自身は無職で、親の年金収入を頼りに暮らしている場合、特に介護をきっかけに生活が不安定になり困窮度合いは増すことが懸念されます。こうしたケースを対象に試算すると、上の世代よりも多い33万人くらいが、親の介護で生活が不安定になりかねないとみられます。

その後は自身の老後の備えが十分できず、「高齢貧困」になる恐れがあります。団塊ジュニアが大量に生活保護を求めることになれば、財政へのインパクトも大きいでしょう。

(税理士ドットコム トピックス)

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