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「マイナンバー」を他人に知られてしまったら、いったい何が起きる?

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「マイナンバー」を他人に知られてしまったら、いったい何が起きる?
写真はイメージ(aijiro / PIXTA)

個人情報保護委員会の年次報告 によると、平成30年度のマイナンバーを含む個人情報の漏えい事案は、134機関、279件となっています。その内、重大な事案は3件あり、内容は、①行政機関において、ウェブサイトに1人分のマイナンバーを誤って掲載した事案、②事業者において、約170人分のマイナンバーが記載された書類を紛失した事案、③事業者において、約2,520名分のマイナンバーが記載された書類を相互に入れ違えて、地方公共団体に送付した事案というものでした。

これを見ると、結構個人情報が漏れていることがわかります。会社員であればマイナンバーを会社に提出していると思いますが、それが外部に漏れてしまった場合、どのような支障があるのでしょうか。今回は、意外と知らないマイナンバーの安全性について解説したいと思います。(ライター・メタルスライム)

●マイナンバーとは

マイナンバーとは、日本に住民票を有するすべての人に交付される12桁の番号です。原則として生涯同じ番号を使います。マイナンバー制度は、これまで役所ごとにバラバラだった情報を連携させ、行政を効率化するために導入されました。現在は、社会保障、税、災害などの分野で活用されていますが、将来的には医療などの分野でも連携が考えられています。

●「通知カード」と「マイナンバーカード」の違い

マイナンバーは、住民票のある市区町村から世帯主宛に発送されています。封書には「通知カード」が入っており、そこに12桁の番号が記載されています。この「通知カード」が「マイナンバーカード」だと思っている人もいますが、これはあくまで、マイナンバーを通知したカードにすぎません。

「マイナンバーカード」は、自分で市区町村に申請をして発行してもらう必要があります。マイナンバーカードは、プラスチック製のICチップ付きのカードで、氏名、住所、生年月日、性別、マイナンバー(個人番号)と本人の顔写真が表示されています。公的な身分証明書として利用できるほか、自治体のサービスや税務申告(e-Tax)にも利用できます。

●マイナンバーカードのリスク

12桁のマイナンバーを知られてしまうと、大変なことになると思われている方もたくさんいるようですが、マイナンバーだけを知られても、それだけで個人情報が洩れるということは基本的にありません。とはいえ、マイナンバーは個人を特定する情報として個人情報の最たるものなので、知られないようにしなければなりません。

マイナンバーカードのICチップには最新のセキュリティ技術が盛り込まれており、情報を抜き取ることは非常に難しくなっています。仮に盗まれたとしてもICチップの中には最小限の情報しか入っておらず、納税の情報や年金の情報など、プライバシー性の高い情報は記録されていません 。そのため、マイナンバーカード自体が盗まれたとしても大した情報は盗まれません。

システム面についても、情報の一元化はされておらず、分散管理されています。たとえば、税情報であれば国税庁、社会保険関係であれば厚生労働省というように、別々の機関で情報が管理されているため、仮にある機関が不正アクセスにより情報が漏れたとしても、全ての個人情報が知られるということはありません。

マイナンバーが漏れる場面というのは、①盗難、②本人の不注意でマイナンバーカードを紛失したり、番号を教えてしまったりした場合、③マイナンバーを取得した事業者が情報を漏らす場合、④権限を持った公務員による不正ということが考えられます。

ただ、窃盗犯や事業者は、個人情報にアクセスする権限がないので、被害は限定的と言えます。また、公務員については、外部の情報にアクセスできる職員は限定されており、必要な情報にのみアクセスできる「機関別符号」での照会になるため、公務員だからと言ってすべての情報にアクセスできるわけではありません。また、次のとおり罰則も厳しいものになっています。

【罰則】

■個人番号の事務等に従事する者が、正当な理由がないのに、その業務に関して取り扱った個人の秘密に属する事項が記録された特定個人情報(個人番号をその内容に含む)ファイルを提供したときは、4年以下の懲役若しくは200万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

■個人番号の事務等に従事する者が、その業務に関して知り得た個人番号を自己若しくは第三者の不正な利益を図る目的で提供し、又は盗用したときは、3年以下の懲役若しくは150万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

■情報提供ネットワークシステムの事務に従事する者が、秘密を漏らし、又は盗用した者は、3年以下の懲役若しくは150万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

■人を欺き、人に暴行を加え、若しくは人を脅迫する行為により、又は財物の窃取、施設への侵入、不正アクセス行為その他の個人番号を保有する者の管理を害する行為により、個人番号を取得した者は、3年以下の懲役又は150万円以下の罰金に処する。

■国の機関、地方公共団体の機関等の役員・職員が、その職権を濫用して、専らその職務の用以外の用に供する目的で個人の秘密に属する特定個人情報(個人番号をその内容に含む)が記録された文書、図画又は電磁的記録を収集したときは、2年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する。

このように複数の安全対策がとられているのですが、マイナンバーカード自体を紛失または盗まれ、パスワードまで知られてしまった場合には注意が必要です。なりすましにより住民票や印鑑証明書が取得されたり、各種届出がなされたりする可能性があるからです。また、ポータルサイトから情報を閲覧されてしまう可能性もあります。このような時は、すみやかに届け出することにより、新たなマイナンバーとカードを再発行してもらうことができます。

●あまりに低いマイナンバーカードの普及率、今後の課題は?

導入から4年近く経ちますが、マイナンバーカードの普及率はわずか13.0%(平成31年4月1日現在)と惨憺たる状況です 。セキュリティについて漠然とした不安を抱いている人が多く、大したメリットもないマイナンバーカードに時間と手間をかけてまで取得しようという人が少ないのは当然とことと言えます。

政府は、マイナンバーカードの普及率を上げようと必死で、既に行政機関の国家公務員の身分証明書はマイナンバーカードに切り替えられています。また、改正健康保険法が5月15日成立し、2021年3月からマイナンバーカードに健康保険証機能を付与することが決定しました 。さらに、デジタル手続法が5月24日に可決し、「通知カード」が廃止されることになりました 。

このように、マイナンバーカードの発行を促す政策が次々に打ち出されていますが、短期間で普及率を上げるのは難しいでしょう。マイナンバーカードを取得するには、基本的に本人が市役所等に行かなければならず、その負担が大きいからです。また、健康保険証機能を付加するためには、マイナンバーカードのICチップにその機能を書き込まなければならず、短期間で書き込みに対応するのは難しいと考えられます。

●まとめ:このままでは「住基カード」の二の舞に

以上のとおり、マイナンバーカードについては、一定程度の安全性は保たれており、罰則も厳しいので、自分自身がカードを紛失しないようしっかり管理していれば、安全性についてそれほど心配する必要はありません。

政府は、マイナンバーカードに健康保険証機能を付加することで一気に発行が増えると目論んでいますが、現行の健康保険証が使えなくなるわけではなく、マイナンバーカードとの併用を認めたことから、おそらく普及は進まないでしょう。このままでは、失敗した「住基カード」の二の舞になりそうです。

人は、何らかのインセンティブがなければ動きません。もし、マイナンバーカードを普及させたいのならば、たとえば、マイナンバーカードを持っていないと消費税の軽減税率の適用を受けられないとか、逆に、マイナンバーカードを持っていると一定の税額控除を受けられるなど、思い切った政治的な決断が必要なのではないでしょうか。

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