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「今こそマイナンバーを使い、本当に困っている人に給付を」森信氏、脱バラマキへ提言

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「今こそマイナンバーを使い、本当に困っている人に給付を」森信氏、脱バラマキへ提言
森信茂樹氏(2019年撮影)

新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、政府・与党がまとめる緊急経済対策の内容が議論されています。新聞各紙の報道によると、一部の世帯に限り、世帯20万円程度の現金を給付する案が浮上しています。また、経済対策として、消費税を当面0%にしようという提言も自民党の有志議員から飛び出しました。

そんな中、大蔵省(現・財務省)主税局総務課長を務めた、東京財団政策研究所の森信茂樹研究主幹は「今こそマイナンバーを使って、バラマキではない給付をするべき」と訴えています。社会保障の財源の切り札として10%に引き上げられた消費税を簡単にゼロにすべきではない、本当に給付金が必要な世帯に絞って給付しようという考えです。森信氏に聞きながら、マイナンバーの本来の目的や意義、過去の給付金の事例を調べました。(ライター・国分瑠衣子)

●「効果的な社会保障の給付に使われた事例は皆無」

マイナンバーは、日本に住民票を置く全ての人に付番される12桁の番号で、基本的に一生同じ番号を使います。社会保障、税、災害対策の3分野で活用するために2016年に制度が始まりました。内閣府のホームページには、マイナンバーの3つの目的として(1)公平・公正な社会の実現(2)国民の利便性の向上(3)行政の効率化――が挙げられています。

また、内閣府はマイナンバーの意義について「所得や他の行政サービスの受給状況が把握しやすくなるため(中略)、本当に困っている方にきめ細かな支援を行うことができます」と説明しています。しかし、森信氏は「今のところ、国の一方的な情報提供にとどまり、効果的な社会保障の給付に使われた事例は皆無です」と指摘します。

行政では、税や社会保障など106項目の事務でマイナンバーの利用が始まっています。誰がどのような場面で使用するかは法律や条例で決められていて、具体的には年金や雇用保険の資格取得や確認、生活保護や児童手当といった福祉分野の給付を受ける際に必要になります。

また、マイナンバーとマイナンバーカードは混同されがちですが、マイナンバーとカードは別のもので、カードは個人が申請手続きをしなければ発行されません。

●リーマンショックの全員給付から学ぶべきこと

コロナによる緊急経済対策の給付金の対象を巡っては、インターネット上では全員給付を求める声も上がっています。「福祉対策ではなく景気対策であるべきで、お金を回すという意味においては、富裕層への給付は効果がある」「税金を多く払っている世帯にも還元してほしい」「一部世帯への給付は時間がかかりそうなやり方。とにかく迅速な対応を」など、全員平等な給付を望むという意見です。

森信氏は「給付金とはいえ、国民の税金から捻出される。給付の必要がない高所得者にまで配るのは無駄です」と言い切ります。その根拠として、2008年に起こったリーマン・ショックの経済対策を挙げます。

リーマン・ショックの時は2009年3月に、国民全員に自治体を通じて給付金が支給されました。支給額は65歳以上と18歳以下は1人当たり2万円、それ以外の人は1万2000円です。給付総額は約2兆円に上ります。所得制限はなく、高所得者にも配られました。

この給付金が本当に消費を喚起したのか、内閣府が2010年と12年に検証報告書を出しています。報告書によると、全国1万5000世帯を対象に調査したところ、「全額使いきった」と回答した世帯が半数を占める一方で、「一切使わなかった」とする世帯が約3割ありました。使い道としては、テレビやカメラ、ゴルフクラブ、映画の入場料、インターネット接続料といった「教養娯楽」がトップで支出額の約4割を占めています。2番目は食料で11.7%です。

また、報告書では定額給付金は累積で受給額の25%に相当する消費増加効果があり、子どもがいる世帯では40%、高齢者がいる世帯は37%と全世帯を上回る効果がありました。森信氏は「25%では、消費を喚起する効果はそう大きくない。大半は貯蓄に回ったということ」とみています。一方で、子どもや高齢者がいる世帯では効果が大きかったといいます。

●「政府が国民のために活用しようという気持ちがない」

森信氏は「2009年の時点では、マイナンバーが導入されていなかったため、高所得者の把握が難しかったが、今は国民全員にマイナンバーが付されているので、個人や世帯の所得情報が分かります」と説明し、コロナによる経済対策の給付対象として、雇い止めにあった給与所得者や、大きく所得が減った個人事業主やフリーランス、子育て世帯などを挙げています。

それにしても、ここまできてもマイナンバーの活用が話題に上らないのはなぜなのでしょう。森信氏は「政府が国民のために活用しようという気持ちがないから」と指摘します。「これは各諸官庁の問題というより、内閣全体の問題です。内閣府の番号室は機能しているのに、権限が各省に所在していて包括的な対応ができない仕組みになっている」と構造的な問題があるとみています。

新型コロナウイルスの感染拡大を受けた緊急経済対策は、4月に取りまとめられます。森信氏は「緊急時の今こそ、マイナンバーを活用してデジタル時代にふさわしい社会インフラを構築してほしい。それが後世への対策にもつながる」と話しています。

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