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コロナ経済対策、自動車の税金を下げられるか 燃料系の税金や重量税は本当に必要?

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コロナ経済対策、自動車の税金を下げられるか 燃料系の税金や重量税は本当に必要?
写真はイメージです(Graphs / PIXTA)

新型コロナウイルスの影響によって、日本経済は大きなダメージを受けていますが、自動車産業も例外ではありません。一般社団法人日本自動車販売協会連合会の統計資料「車種別販売台数」を見ると、前年比で4月が74.5%、5月が59.8%、6月が74.0%、7月が79.6%と大幅に販売台数が減少しています。

若者の車離れで新車販売台数が伸び悩む中、テレワークによる残業代の減少により所得が減り、先行きの不安と活動自粛から消費は大きく落ち込みました。また、企業も業績の落ち込みから設備投資は減り、自動車産業にとって今後も厳しい状況が続くことが予想されます。

このような状況を受け、政府は、2021年3月末に期限を迎える自動車税(環境性能割)の減税措置を再延長する検討に入りました。年末の税制改正作業で本格的に議論される見通しです。経済対策として、環境性能割の減税の延長だけで十分なのでしょうか。(ライター・メタルスライム)

●自動車取得税が廃止された代わりに導入された「環境性能割」

2019年10月に消費税が10%に引上げられたことに伴い、かねてから二重課税と批判されていた自動車取得税は廃止されました。しかし、それに代わって導入されたのが「自動車税環境性能割」です。つまり、名前を変えただけで、結局は自動車の取得にかかる税金は存続されたということです。

環境性能割は、燃費性能に応じて税率が異なります。自家用自動車の場合、電気自動車や2020年度燃費基準を+20%達成した車両に関しては「非課税」、+10%達成の車両は「1%」、達成のみであれば「2%」、それ以外の車両については「3%」の税率で課税されます。軽自動車の場合、電気自動車や2020年度燃費基準を+10%達成した車両に関しては「非課税」、達成のみであれば「1%」、それ以外の車両については「2%」の税率で課税されます。

なお、臨時的軽減措置として、本来の税率から1%分が軽減されています。この臨時的軽減措置は、新型コロナウイルスによる感染症緊急経済対策における税制上の措置として、期限が「2020年9月30日」から「2021年3月31日」まで延長されています。この期限をさらに延長しようというのが今回取り上げた経済対策です。しかし、1%の環境性能割の減税を延長するだけで、自動車の販売台数は伸びるでしょうか。

●自動車関連の税収は国の租税総収入の8.1%

自動車にかかる税金は、①取得時に支払う税金、②毎年支払う税金、③燃料購入時に支払う税金、④車検時に支払う税金があります。一般社団法人日本自動車工業会の「日本の自動車工業2019 」「日本の自動車工業2020 」によると、自動車に関連する税収は、次のとおりです。

(金額は2019年度、2020年度の順)

【車購入時に支払う税金】
自動車取得税(環境性能割):870億円 1332億円
消費税(車体):1兆6328億円 1兆8576億円

【毎年支払う税金】
自動車税(種類割):1兆5902億円 1兆5294億円
軽自動車税:2699億円 2755億円

【燃料購入時に支払う税金】
揮発油税:2兆3030億円 2兆2040億円
地方揮発油税:2464億円 2358億円
軽油取引税:9537億円 9641億円
石油ガス税:140億円 120億円
消費税(燃料):8807億円 9177億円

【車購入時と車検時に支払う税金】
自動車重量税:6510億円 6799億円

合計:8兆6287億円 8兆8092億円

この2020年の8.8兆円という数字は、国の租税総収入109兆円の8.1%に当たります。あくまで当初予算なので、変動しますが、国全体の約1割、約9兆円ものお金が自動車の所有者から取られているわけです。

自動車取得税が廃止されたので、少しは税金が安くなったと思っている人が多いと思いますが、自動車取得税の代わりに導入された環境性能割の税収は2019年度より増える見込みとなっています。実は、環境性能割にはエコカー減税が適用されないため、電気自動車でも買わないかぎり、以前よりも多くの税金が取られる可能性が高いのです。

●減税の可能性を検討

それでは、ここからは減税の可能性を検討してみましょう。

(1)燃料購入時の税金

自動車関連の税金で税収が減っているのは、燃料系の税金です。低燃費車の増加やハイブリッド車、電気自動車などの普及により、燃料の消費が落ちているからです。なお、ガソリン等には本来の税率に加え、特例税率が課せられており、暫定的なものであるにも関わらず国の財政が厳しいという理由から、長年負担させられています。少なくともこの分はすぐにでも廃止すべきです。燃料費が安くなれば、車の販売台数の増加だけでなく、旅行が増えることも期待できます。

(2)車購入時の税金

車購入時の税金としては、「消費税」と「環境性能割」がありますが、消費税は増税されたばかりで、環境性能割も導入されたばかりなので、この2つの税について廃止や減税はないでしょう。ただし、環境性能割の1%減税は延長される予定なので、景気が回復するまでは延長を繰り返すことが予想されます。なお、車という観点ではなく、全体の経済対策として一時的に消費税を減税すべきとの議論がなされていますが、次期総理の有力候補者は消費税の減税には否定的なため、減税はされない可能性が高いでしょう。

(3)車購入時と車検時の税金

自動車重量税は、重量が重い車は道路を傷めやすいので税金を課すということで導入された税金です。しかし、既に道路の補修に使われる道路特定財源ではなく、一般財源となっているので、自動車所有者が負担すべきものではなくなっています。車検代が高いため車を購入しないという人もいるので、重量税は廃止すべきものと言えます。

(4)毎年支払う税金

自動車税(種類割)と軽自動車税は、車を所有しているというだけで、毎年課税される税金です。かつて車は高価なものだったので、車の所有者に課税をすることは、富裕層に対する課税として許容されてきました。しかし、現代においては、特に地方では車は必需品となっており、生活をする上でかかせないものです。そう考えると、車を所有しているからという理由で課税するのは時代錯誤と言えます。

一般社団法人日本自動車工業会の「税負担の国際比較」によると、排気量2000cc 、車両重量1.5t以下の車を13年間保有した場合の重量税と自動車税(種類割)を合わせた額は、日本は62万8000円で、イギリスの約2.2倍、ドイツの4.8倍、アメリカの30倍となっています。ヨーロッパでは、日本の消費税にあたる付加価値税が高いので、購入時の税負担は日本よりも大きいのですが、保有にかかる税金は日本が高いと言えます。すぐに自動車税(種類割)を廃止することは難しいとしても、普通自動車については、段階的に軽自動車並みの水準に引き下げるべきだと思います。

●減税をして、国内需要を喚起することが重要

自動車産業は、自動車メーカーだけではなく、塗装、ガラス、ゴム、プラスチック、金属、電装、電子機器、タイヤメーカーなどさまざまな産業と関わりを持っています。日本経済の牽引役であることは間違いなく、自動車産業の発展は関連産業や雇用も含めて日本経済に大きな影響を与えます。

内閣府が8月17日に発表した「2020年4~6月期四半期別GDP速報 (1次速報値) 」によると、前期比で7.8%減、年率換算は27.8%減と戦後最悪のマイナス成長となっています。世界的に消費が落ち込む中、日本の政府にできることは、国内需要を喚起することです。そのためには、減税をして、車を買いやすい環境にすることが重要です。

具体的には、①重量税、②ガソリン税の特例税率、③自動車税(種類割)を廃止あるいは減税することが考えられます。重量税の廃止によって車検の負担が軽減され、ガソリン税の特例税率を無くせば、燃料費の負担が減ります。さらに、自動車税(種類割)を廃止すれば、維持費を気にすることもなくなります。これらの減税が実現すれば必ず販売台数は増えるでしょう。

しかし、重量税の税収は約7000億円、自動車税(種類割)の税収は1兆5000億円、ガソリン税の特例税率分は約1兆円あるので、合計3兆2000億円もの額になります。一気に3兆円も減税するということは財政状況が厳しい中、実現は難しいと言えます。

実際には、これらの内、どれかを廃止あるいは減税するというのが現実的なラインかもしれません。この場合、財務省や総務省が別の財源を求めてくるはずですが、一般財源である以上、広く国民から徴収すべきものであり、自動車の所有者に課されるべきものではありません。

Go-Toキャンペーンの補正予算額が1兆6794億円であることを考えると、ガソリン税の特例税率をすみやかに廃止して、環境性能割を暫定的に経済が回復するまで非課税にするなどの措置はできるのではないかと思います。経済効果の規模は未知数ですが、そうすることで、自動車を購入する人が増え、旅行をする人も増えれば、経済は自然と活性化していくのではないでしょうか。

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